<東海道をひとの身体にたとえるなら、頭の天辺がスタートの江戸日本橋で、足の先がゴールの山城国三条大橋、現在でいう静岡県は長い長い胴体にあたる>新居といえば、静岡が長い胴体ならば、愛らしいお臍を通り越し、もうブラジリアンカットのビキニボトムあたりまで到達していると言えるのである。静岡県は脱出目前、次の愛知県はすぐそこだ。ここで止めるテはない . . . 本文を読む
今日の昼は喫茶店と心に決めていた。ところが、弁天島の手前に去年の車旅のときカレーライスを食べた喫茶店があったのだが、営業していなかったのだ。宿まで十分くらいのところで「GRANDMA」という喫茶店が眼に飛び込んできた。良かった・・・砂漠でオアシスとはこのことだ。駐車するスペースもかなり広い。アイスコーヒーとトーストを注文した。腹が減り過ぎているはずなのに、疲労のせいか食欲がいまひとつ出ない。今日のゴールが近いせいか気がゆるみ、トーストを食べながらママさんと話が弾んでしまう。何年もかけて東海道を歩いていることを打ち明けると、「そんで、それをブログにしたりしているの?」と、恐ろしく勘がいいので吃驚した。娘さんもブログをやっているのだと言う . . . 本文を読む
朝五時起床、戸塚駅6時24分発の東海道線に乗り小田原駅へ向かった。小田原駅発7時36分の新幹線「こだま633号大阪行き」の自由席に乗った。さすがに早い時間なのでガラガラに空いている。掛川駅には8時43分に到着した。一服して万歩計をリセットすると歩き始めた。今日の歩く目標距離は約七里である。江戸時代に東海道を旅した人たちは、一日に八里(32キロ)から十里(40キロ)歩くというからそれに近い。今回から宿泊が伴うウォーキングである . . . 本文を読む
「あのぉ・・・すいません」大井川を渡ってしばらく歩いていると、前方から来た自転車がわたしの前を塞ぐように止めて話しかけてきた。キャップの下の顔がよく陽に焼けた中年男性である。「旧東海道って、この道でいいんでしょうか」「いえ、ここではなく、旧東海道はもっと下流方向だと思いますが」「そうですか。でも、この道をいけば東京まで行けるでしょうか」おや、この人も東海道を逆方向から旅しているのだろうか。ちょっと興味が湧く。聞けば岡山から東京まで、ママチャリで制覇する途中だそうである。そりゃまた凄い。同好の士か、とちょいと嬉しくなりこちらも日本橋から京都まで東海道を歩いている途中だ、と明かす . . . 本文を読む
戸塚7時10分発の沼津行きに乗り込み、終点沼津で乗り換える。西焼津駅に10時10分に到着した。なんと一年数ヶ月ぶりの東海道である。決して投げたりあきらめたわけではない。千円高速の魅力には抗いがたく、去年は一度も歩かなかった。東海道をひとの身体にたとえるなら、頭の天辺がスタートの江戸日本橋で、足の先がゴールの山城国三条大橋、現在でいう静岡県は長い長い胴体にあたる。国でいうと三つ、伊豆(一宿)、駿河(十二宿)、遠江(九宿)と合計二十二宿もあるのだ
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「どうやって帰るんですか」なんとか歩いて帰れる距離に住んでいる同僚が心配してくれた。平成23年3月11日午後二時四十六分、それは未曾有の震度7、岩手の三陸沖地震が引き金で始まった。瞬時に「10メートル以上」という途方もない大津波警報が追うように発令された。沿岸各地を大津波が蹂躙し、福島県の相馬では最大波7.3メートルの峻烈な大津波にひと呑みに襲われ、街は壊滅状況となった。岩手三陸から遥かに離れた東京でも震度5強の地震と、続く同程度の大きな余震で首都圏の鉄道は地下鉄を含めすべて完全にストップしたのだった。運行再開の見通しもたたない。「このオフィスから住んでいる横浜の戸塚まで、約四十五キロあるからなあ・・・。でも、歩くしか選択肢はないよ」
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戸塚駅を8時ごろ出発して、静岡駅には11時ちょい前に到着した。利用したのは前回と同じ組み合わせの電車である。今日は、鞠子まで2キロ、そこから岡部までは8キロ、合わせて10キロの比較的楽ちんなコースだ。(そう、そのはずだった)途中に、ナントカ峠という文字をみたので無理をしないように設定したのだ . . . 本文を読む
今年の3月以来の東海道である。そのあいだといえば、ETC割引を使用してずっと長距離の旅ばかりをしていたのだが、さすがに車旅では足腰が弱ってきたような気がする。もっとも安全運転のためには、あまり足腰に過度の負担をかけないという理由もあるのだが。「助さん、格さん。もぉーいい、でしょう」ではないが、季節もだいぶ歩きやすくなったし、そろそろすこしは足腰を使った旅も必要である . . . 本文を読む
薩埵(さった)峠への道は、登りがきつそうなので敬遠した。広重の「由比薩埵峠」の壮大な景観は見たいが、再開初日からきつい山道はやめておくほうが無難であろう。それに、振り返ればあれほど晴れていたのが、曇り始めて峠に登っても富士山も見えそうにない . . . 本文を読む
戸塚7時10分発の沼津行きになんとか飛び乗って静岡方面に向かう。連休なので、短い10両編成のなかは乗客でいっぱいである。網棚にも旅の荷物がいっぱいだ。「いま入った連絡によりますと、午前7時15分ごろ、原駅の近くで人身事故が発生
いたしたとのことです。この電車に影響があるかどうかわかり次第にお知らせしま
す」大船を過ぎたあたりで、車内アナウンスがあった . . . 本文を読む