温泉津温泉・・・「ゆのつおんせん」と読むのだが、これをいきなり読めるひとは、関東あたりではまずいないと思う。日本海の海岸線を分割して走破していたころ、ちょうど山陰あたりを走っているときに地図でこの温泉をみつけたがまったくもって読めなかった。温泉津港から山際に沿って続く温泉町には、いかにも時代がかった鄙びた宿が両側に並ぶ。静かな街並みだ。まったく歓楽街などの雰囲気はない。あのフーテンの寅さんが泊まるような宿ばかりだ . . . 本文を読む
由布院では秋から冬にかけて冷え込む朝、盆地にたちこめる幻想的な朝霧が有名であるが、この金鱗湖から流れ出る川の水蒸気が原因であるといわれている。このほとりに一軒の宿がある。亀の井別荘である。森と庭園のようなここの敷地は一万坪と広大だ。作家山口瞳は「温泉へ行こう」という著書のなかで、ここを桃源郷と書いた格式ある宿である。門は開け放たれているのだが、そこには宿泊客でなければ相当にはいりずらい威厳がたしかにある . . . 本文を読む
わたしは由布院が大好きである。近場の熱海、草津、那須以外には、あまり同じ温泉になんどもいかない。なのにである、横浜の人間なのに、九州大分の由布院には五度以上訪れている。由布院にいけば、たいていは泊まる。安い宿にも高い宿にも泊まったことがあるのだが、その毎回がそのどこでもが決して失望させない温泉地なのだ . . . 本文を読む
薄暗い本館をそのまま通り抜けて、サンダルに履き替えて外に出た。左手にランプ小屋がある。渓流に架けられた吊り橋を使って対岸に渡る。渡った右側が混浴の露天風呂である。その向かいに、新しい「滝見の湯」という建物があったので、そちらへ向かった . . . 本文を読む
今年の3月以来の東海道である。そのあいだといえば、ETC割引を使用してずっと長距離の旅ばかりをしていたのだが、さすがに車旅では足腰が弱ってきたような気がする。もっとも安全運転のためには、あまり足腰に過度の負担をかけないという理由もあるのだが。「助さん、格さん。もぉーいい、でしょう」ではないが、季節もだいぶ歩きやすくなったし、そろそろすこしは足腰を使った旅も必要である . . . 本文を読む
青荷温泉は黒石駅からバスで30分くらい走って「虹の湖公園前」のバス停で下車して、宿の送迎バスでひと山を登っていき、谷を降りていく。雪がなければ、10分ちょっとくらいだ。クネクネと舗装路を登っていくのだが、曲がり角ごとに津軽弁で書かれた立て札があり、わたしなどは実にうっとおしいのだが、青荷ファンにはたまらないのかもしれない . . . 本文を読む
先週末の中秋の名月、とてもきれいでしたね。シルバー・ウィークには、よせばいいのにまたまた、津和野・萩方面まで足を伸ばしてしまった。GWから、毎月コンスタントに三千キロ前後の長距離をこなしつづけてさすがに疲れてきました。萩では素泊まりだったので、東萩駅前の呑み屋に夕方五時くらいから暖簾をくぐってしまった . . . 本文を読む
JR五所川原駅から中心部に向かってまっすぐ伸びる広い道を二、三分ほど歩くと、右手に立派な立佞武多の館の建物が見えてくる。街をめぐる道路がすっきり整然としているのは、すべて祭りのためだろう。五所川原の立佞武多(たちねぷた)は、青森のねぶたと構造は基本的に同じであるが、高さがべらぼうで、最大二十メートル以上の巨大な山車が運行されるのだ . . . 本文を読む
津軽の拠点ともいえる、五所川原駅である。その駅前には・・・なんと、まだ「平凡食堂」があった。ずいぶん前にこの店で、とんでもないラーメンを食べたことがあるのだが、まだ営業しているとは驚きである。もしかしたら、店主が五所川原の顔役とか大地主であるのかもしれない。あるいは代が変わって、いまは旨い料理を提供して繁盛しているのかもしれない。でも、きっと暗い店内では、津軽の爺様たちが午前中から酒をかっくらっているに違いない
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