「いつまで旅を続けるんですか」焼き鳥を頬張りながら、切り込むように訊かれて困った。まるで<なんのために生きているんですか>と訊かれたようで、答えられない。誰から聞いたのか、わたしを旅好きとしっているようだった . . . 本文を読む
寒ブリ推しのメニューには二千円、三千円がずらずら並び、なんとも観光客目当ての高めの料金設定だ。今日は二食付きで氷見泊まりだから、わたしの旅のセオリーどおり昼は軽めにしたい。それに氷見だから夕食にきっと寒ブリは出るだろう、とのわたしの読みである。久しぶりで氷見うどんでいくか。冷えが足元から容赦なく這い昇る今日は、温かい氷見うどんが嬉しい . . . 本文を読む
氷見から立山連峰をみることができるのは、一年に五十日あまりだそうだ。つまり三百日はみることがかなわない。しかも、みることができても<一日中>というのは稀も稀なことという。よほどの強運を持っていないと絶景にはお目にかかれないのである . . . 本文を読む
ただ、ソースが凄い。ソース好きのヒトのために丼に小皿のソースがついているのが泣かせる。ウスターベースのソースはあっさりしているが、たしかな甘みのなかにひと筋、ふた筋の爽やかな酸味がある。甘みの草原に吹きわたる風のように。ただただ甘い果物より酸味のある味わいがわたしの好みである。 . . . 本文を読む
北陸本線を福井で降りてホームを歩きだし、ギョッとして立ちどまる。(な、なんだ、アレは?!)ずいぶんデカイ人が座っていると思ったら、恐竜じゃないか。しかも右手に学術書らしいぶ厚い本、左手に恐竜の頭骨を持っている。改札口へ降りて行く階段の途中には、感染症予防のためだろう、同じ恐竜がマスクをしていた . . . 本文を読む
いまなんらかの事情で旅できない人にはあのころそのころの懐かしい記憶や気持ちや情景を一瞬でも呼び起こせればと
いまも旅する人には「そこ行ってみたい」みたいなという一抹の旅情を掻きたてられればとただただ願っています . . . 本文を読む