「てげてげ」という宮崎弁がある。「大概」が由来で、「ほどほどに、適当に」という意味だそうだ。なんとなく判る。ところがこの「てげてげ」に「運転」がくっつくと、すこし意味が違ってくるようである。宮崎を走行していると「てげてげ運転追放運動」というスローガンをよく眼にする。なんでもこれは運転中に読書、お化粧、髭剃り、考え事等をやめて緊張感をもって運転し、交通事故防止を図る運動だそうだ。「てげてげ運転」って、いったいぜんたい何のことだろうと、かえって旅人に考え事をさせてしまうと思うのだが・・・ . . . 本文を読む
驛・・・。出逢いがあり、別れがある。嬉しい思い出も、悲しい思い出もそこにはある。それは都会の駅だけではなく、旅先の小さな駅でもおなじことだ。驛には、必ずといっていいほど無数の人生のドラマがある . . . 本文を読む
銀座の中央区立泰明小学校。1878年創立というから歴史は古い。そのそばにある、中華料理の「鳳鳴春(ほうめいしゅん)」。坦々麺が食べたくなるときがたまにあって、そんなときに思いだす店が何軒かあり、この店もそのひとつである。坦々麺で一番に思いだすのが赤坂見附にあった「四川料理 カンフ」という店なのだが、この前モティのカレーを食べに行ったときに探してみたが、見つからなかったのである。あとで閉店してしまったことを知った。地下にあったスナックみたいな店で、昼時には誰もが坦々麺を食べていた。小ぶりの白っぽい丼の坦々麺と無料のご飯が、安かったこともあり気にいって通ったものだった . . . 本文を読む
まだ明るいが薄めの焼酎水割りを舐めながら、何枚かもらった周辺の店の案内図を検討する。B&Bなので、今宵の酒場探しである。蕎麦屋と焼鳥屋が多い。蕎麦屋は煙草が吸えない店が多いし、焼き鳥はわたしの基準が意外と高い。一時間ほど検討したが、これといった店が決まらない。どうせ、それほど広くない温泉町だ。歩いて探すことにした。できれば観光客目当てではなく、地元客が集まるような店がいい。そうと決まればもうひと風呂浴びることにしよう . . . 本文を読む
丸の内の、正式名称「国際ビルヂング」であるこのビルのなかのオフィスで十年近く働いた。いまはもう無いが、この立派なビルのなかに、なんと立ち食いそば「梅もと」が入っていたころだ。地の利がいいので、銀座四丁目ぐらいまで昼食を食べにいったものだ。もちろん、このビルのなかにも名店がたくさんあってしょっちゅう利用した。最近ではあの人気のタニタ食堂も入っている。地下一階の東京會舘のレストランも、マカロニサラダとトーストが定番のモーニングだった喫茶店ジャパンも、いまはない。だが、老舗はいくつか健在であった。 . . . 本文を読む
温泉がいよいよ切れてきた。身体中の関節たちや頚椎腰椎が、「ねえねえ温泉へ行こうよ」としきりに誘う。よし、そろそろ今年の旅を本格的に始動しよう。どこにしようか・・・走りやすい関越道を使おう。今年は春になるのが遅れているので、長野でも北信のほうはまだ雪深い。となると、雪のない戸倉上山田(とぐらかみやまだ)温泉あたりがいいだろう。あそこはたしか硫黄泉だ . . . 本文を読む
JR成田駅を成田山新勝寺のあるほうへ出て、線路沿いを佐原方向に進む。短い下り坂をおりて五、六十メーターくらい行ったら右に折れる。「さわらや」がそこにある。全国各地の銘酒が外から見えるように山ほど並んでいる。カウンターに座るのも気づまりなので、座卓が三つある小上がり風の座敷にあがった。さて、なにを呑もうか。焼酎は「魔王」以外はすべて四百円。芋焼酎でも二十種類近い。ちょっと狂喜してしまう。呑みものをオーダーして、さてつまみをなににしよう。白身の魚の刺し身がいい。鯛がないから平目にした。ついでにもろきゅうも頼む。(えっ、これが頼んだ刺身か・・・ . . . 本文を読む
高千穂神社。天孫降臨の地である高千穂の八十八社の総鎮守である。創建は古く、千九百年前に遡る。「高千穂皇神社」として「続日本紀」にもその名が見られる歴史のある神社である。境内は静寂そのもので、周りをうめつくす緑は深く、とても濃い。さきほどの白クマのことなどすべて忘れ自分を取り戻したわたしは、ゆっくり歩を進めるのであった . . . 本文を読む