温泉クンの旅日記

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鍵曲がり 山口・萩

2009-11-25 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <鍵曲がり>


 ひとは、いろいろな理由で旅をする。
 紅葉、名花、名勝地、名物、古刹、想い出、温泉、さまざまなきっかけで旅を
する。

 写真だったり、ポスターだったり、テレビの画像だったりを見ていて、ある
風景とかに眼がとまって、そこにどうしても行ってみたい、とわたしは思うこと
がある。
 たまに、読んでいる小説の場面描写の文章のこともある。
 風景とか建物とか場所、とかが妙に心に残るのだ。

 そう思ったら最後、いつまでも胸の中のどこかにその気持ちがずっと占め続け
るのだ。
 鹿児島の知覧が、酒田の山居倉庫がそうだった。
 幸い、二箇所とも今年訪ねることができた。

 萩にも、実はいってみたかったのである。
 萩といえば日本海に面したかつての毛利氏三十六万石の城下町、山陰の小京都
である。いまでも江戸時代の城下町の姿をあちこちに残している。
 この萩は、明治維新に吉田松陰や高杉普作、木戸孝允、伊藤博文など多くの
偉人を送り出した。





 萩にいったら、ぜひとも観てみたい、歩いてみたい風景があった。
 それは、「鍵曲がり」と呼ばれる路地だ。「かぎまがり」ではなく「かい
まがり」と読む。
 それは、平安古(ひやこ)という、とても読めそうもないところにそれはあ
った。「ひやこのかいまがり」である。とてつもなく難しい読みである。

 平安古は、中級武士の屋敷地であった。



 両側に高い土塀が続く。
 土塀が途中で曲がっているのは、敵の侵入に備えてである。



 知覧の武家屋敷の通りと同じように、侵入してきた敵に道がいちどきに見渡せ
ないように鍵状に、現代風にいうとクランク状に曲げられている。



 幸い観光客はだれもいない。
 きっと萩を訪れても、有名な観光地を巡っているのだろう。萩には萩城跡、
明倫館、川島、萩駅周辺、松下村塾など見どころは多い。



 日差しの強い日であったのだが、この路地を歩いている自分はすっかりそんな
ことも忘れていた。



 この静かな雰囲気のなかに身をおいてみたかったのである。



 かすかに柑橘系の爽やかな匂いが漂うのは、夏蜜柑の木があるからであろう。

 路地を抜けたところが、きれいな河原につながっていた。
 橋本川である。



 路地を抜けるのには、時間にして十分くらいのものだったが、歴史を一歩一歩
踏みしめているような密度の濃いひとときであった。



  →「知覧武家屋敷(1)」の記事はこちら
  →「山居倉庫」の記事はこちら


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