温泉クンの旅日記

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温泉津温泉(2) 島根・大田

2009-11-01 | 温泉エッセイ
  <温泉津温泉(2)>

 さて、腹もいっぱいになったし次は温泉である。食べてすぐの入浴はいけない
のは承知のうえだ。

 温泉津のロケーションは、ひと言でいえば不便だ。遠い。
 石見銀山観光とセットで宿泊するのであればまだしも、温泉津温泉の日帰り
だけを目的に来るひとは、まずそんなにいまい。
 宿泊客もだいたい三時到着だろう。だから昼過ぎでもあるし、二軒ある共同浴
場も地元客と連泊客くらいでそれほど混むはずはあるまい。
 これがわたしの能天気な読みである。

 濁り湯の多くは湧出したときは無色透明なのだが、空気に触れることにより
酸化し色がついたり濁ったり変化する。
 この温泉津温泉もそうで、透明から茶褐色に変化する。飲泉もできるが苦い。
効能は高く、原爆症にも効く湯でも知られている。泉質は含土類食塩泉、源泉
温度は約50度である。
 
 ここ温泉津には「元湯泉薬湯」と「薬師湯」の二軒の共同浴場がある。ありが
たいことに、どちらも源泉に加熱とか加水とか一切手を加えない生の温泉が使わ
れている。



 元湯泉薬湯の開湯は古く、千三百年前と伝えられている。
 伝説では旅の僧が湯に浸かって傷を治している狸を見つけたとか、縁結びの
神様大国主命が病気のウサギをお湯に入れて救ったことから始まったともいわれ
ている。

 ここには熱めの浴槽(44度~46度)と温めの浴槽(40度~42度)がある。浴槽
の縁や浴場のあちこちには、流れ出した湯の花が鍾乳石のように附着したり堆積
したりしている。



 入り口の横には、その湯の花の塊が置かれていた。
 たしかに湯が熱かったのと、強烈な湯の花の塊が浴場中にあったことを思い
だす。
 前回ここにはいっているので、もう一軒の共同浴場を試すことにする。



 薬師湯は2005年に日本温泉協会の新基準による審査の結果、全項目「オール
5」の最高評価の天然温泉として認定された。「オール5」の評価を受けた温泉
は中国・四国ではここだけだそうだ。

 料金表をみると大人三百円だ。その上には貸切風呂(家族風呂)が五百円と
ある。なんとも安い料金である。貸切風呂でも通常の入湯料金くらいである。
 共同浴場は、他の客がいるので画像を取るチャンスはめったにない。貸切風呂
ならその点だいじょうぶだ。
 空いてるかどうかを訊いたら、すぐにでもはいれるという。
 というわけで、貸切風呂に決めた。



 ちょっと熱めだが、いい湯である。
 仮眠を二回くらいしかしていない疲れきった身体に染みわたる濃い温泉だ。
眠気が汗となって流れ出ていくようだ。



 薬師湯は浜田地震(1872年)によって湧出したことから「震湯」とも呼ばれ、
また以前の名前は「藤乃湯」であったが、薬効豊かな湯質と温泉の守りとして
薬師如来をまつっていることから、「薬師湯」になった。

 あがって帰ろうとすると、三階がテラスになって無料の珈琲を提供している
からと勧められた。



 二階の休憩スペースには洒落た椅子が並んで休めるようになっていて、宿泊
施設もひと部屋かふた部屋あるようだ。
 三階で紙コップに珈琲をいれて、屋上の休憩スペースから温泉街を眺めながら
一服する。



 これで儲かるのだろうか。三百円とか五百円でたっぷり温泉を楽しんで、珈琲
がつくとはなんともサービスがいい。

 国道に戻る途中、酒の醸造元をみつけ、すこし通り過ぎたところであわてて車
をとめた。



 夜に呑む酒でも買っていこう。銘柄も「開春」とはなんとも意味深というか
良さそうな名前である。


  →「温泉津温泉(1)」の記事はこちら

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