温泉クンの旅日記

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高岡から、氷見へ(2)

2021-01-24 | ぶらり・フォト・エッセイ
  <高岡から、氷見へ(2)>

 氷見駅周辺だが、右手に、スタンド看板は出ているが休業中の喫茶店が一軒と、左手すぐにカフェがあるだけで、とにかく駅前一帯はきれいさっぱり、ガラーンとしていた。
 孤独のグルメの井之頭五郎じゃないが、
「それにしても、腹が・・・減った!」
 朝から菓子パン一個にコーヒーだけである。
 
 氷見駅から放射線状に三本の路が伸びている。氷見港に続く北へ向かう路、西の国道415号へ向かう広い路、同じ国道につながる細い路である。
 カフェは最終手段にとっておいて、西へ延びる広い路から飲食店の探索を始めた。
 国道に出るまで飲食店まったく無し、国道の左右を見渡すがそれらしい看板もない。そんなー、がっくし。そこで国道を左に進んでいくと、ついに一軒みつけた。

 

「海鮮料理 氷見うどん おがわ」・・・か。
 他に選択肢もなさそうなのでこの店で手を打つしかないだろう。
 引き戸を開けて狭い店内に入り、入口近い二人用の席に座った。

 ふたつ卓を置いたところに鍋を挟んでカップルが座り、奥の小上がりに四、五名のグループ客がいた。
 どちらも観光客で寒ブリのしゃぶしゃぶを注文したようである。豪勢だが、前日に和倉温泉にでも泊まり共通クーポン券でも入手したのではあるまいか。カップルのそばに立ち、あれこれ鍋の作法を指南しているのが店主だろう。
 おばちゃん一人で切り盛りしているらしく、お茶とメニューが運ばれてくるまで間があった。

 

 寒ブリ推しのメニューには二千円、三千円がずらずら並び、なんとも観光客目当ての高めの料金設定だ。今日は二食付きで氷見泊まりだから、わたしの旅のセオリーどおり昼は軽めにしたい。それに氷見だから夕食にきっと寒ブリは出るだろう、とのわたしの読みである。
 久しぶりで氷見うどんでいくか。冷えが足元から容赦なく這い昇る今日は、温かい氷見うどんが嬉しい。

 氷見うどんなんて知らないという人のためにちょっと書いておくと、有名な稲庭うどんは江戸時代の初期が始まりで350年の歴史がある。氷見うどんはといえば、宝暦元年(1751年)に、輪島のそうめんの技法を取り入れて作り始めたというから、ほぼ同じ歴史を持つうどんなのである。

「あの、A定食を」と、この店で一番安いセットを注文した。店主の「はいよ」の返事が心なしか元気がなかったように思えた。
 
 厨房から「ジャァ―ッ!」という揚げもの音が響き、続いて「ピピピピピ」とタイマーの電子音が鳴った。ひょっとして乾麵の茹であがり時間だろうか。
 やってきました、盆に載せられたわたしのセットが。

 

 盆にはなんと、寒い日はこれでしょうの冷えた氷見うどん(!?)と、まるで得体の知れない揚げ物、以上じゃんか。
 しかも器は素朴で盛付けも芸なし。これは千三百円というより七百円でしょう。
 洗練された稲庭うどんとはほど遠いが、久しぶりの冷たい氷見うどんを、一味唐辛子をたっぷり振りかけたつゆで食べる。あれっ、悔しいが旨いぞ。

 

 よっぽど腹が減っていたのか、量が少ないのか、あっと言う間に食べきってしまう。
 さて、うどんがなくなったので、得体の知れない皿をちょっとだけいってみるか。

 

(たしか、白えびと地魚の“天ぷら”だったはずなんだけど・・・)
 恐々、箸で皿からひとつ摘み口中へ。
(えっ!)
 天ぷらでなく“揚げ物”、いや「唐揚げ」と思えば相当にこいつは美味しい。白えびの味はわかるが、魚はなんだかわからないがものすごく旨かった。たまらず、ご飯か熱燗二合欲しくなるほどに。さっきは七百円といったが、九百円くらいに急上昇。
 店主は寒ブリ客にべったり貼りついているので、ご飯も熱燗もあきらめ、この皿も食べきってしまう。満足したが少し足らない。

 氷見駅に戻り、到着時チェックしてあった喫煙場所で一服する。

 

 駅前のロータリーには、今夜の宿からの送迎車がまだ早いのに待機していた。雨晴で降りて海岸から立山連峰の写真を撮り、氷見駅に午後2時16分着の電車で着く予定だったのだから小一時間は早い。
 思えば、北陸道を走るたびにいつもみていた立山連峰だが、あれはただただ運が良かったのだと今回の旅で知った。
 送迎バスを覗いたがやはり運転手はいなかった。

 

 カフェで時間を潰すとするか。あの氷見うどんではさすがに足らなかったので、もしもチリドッグがあったら食べよう。

 

「とまとカフェ」の二階には小さな現役の映画館「氷見キネマ」があった。レアな作品やインディーズ作品などを上映している。

 

 奥行きのある店内は意外ときれいで、先客はランチセットを食べている地元の婦人客が二人だけだった。残念ながら禁煙、氷見うどんの店に続き二連敗だ。

 

 カウンター席に座りメニューをみて、チーズケーキと珈琲のセットに視線が奪われてつい注文してしまう。

 

 コーヒーはちょっと・・・という感じでチーズケーキはまあまあ、添えられた一切れのパインがとても美味しかった。

 
 
 カフェを出て、駅で煙草を一本ゆっくり吸うとしようか。
 さあて、もうすぐ、氷見温泉だ。初めてなので、久しぶりにときめきを覚える。



  →「高岡から、氷見へ(1)」の記事はこちら
  →「稲庭饂飩」の記事はこちら


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