大きなかぶ農園だより

北海道マオイの丘にある大きなかぶ農園からのお便り・・
※写真はsatosi  

運命の出来事?

2012-03-04 | 日記
2月5日正午頃、「母さん、これからすぐ東京に来れる?兄さんが怪我した」
娘からの電話で、息子が深夜のコンビニバイト明けに友達と路上でスケートボードを
していて転倒、ふつー手足の骨折だろうと思いきや、「脳挫傷」だという。
急いで支度をする。冷静でいるつもりだがリュックサックに一番先に詰め込んだのは
ハゲワシのぬいぐるみの『ワシ』だった。子供たちが小さい頃に買った、まん丸に太った
すっとぼけた表情の『ワシ』。時々ぎゅーっと抱きしめると妙に心が落ち着くのだ。
リュックサックは『ワシ』だけで満杯になった。隙間になずなの塩1kと梅干を押し込んだ。
着替えは持たず、調整が幾通りにも利く嵩張らない衣類を重ね着して身支度を整えた。
かずちゃんが昔初めて私に織ってくれたシルクのマフラーを無意識に首に巻いていた。
そして、家を出る直前、めったに電話は来ない大分のあゆみちゃんから電話がきた。
息子の怪我のことは今誰にも言う必要のないことだったが、話しの成り行きで打ち明けた。
あゆみちゃんは、なずなの赤峰さんも「これいいぞ~」と認めているオルゴン療法の施術資格の持ち主だった。
どんなに優れたものだといわれても健康グッツ類には全く関心のない私だが、グッツ大好きな夫が使っている
オルゴンの施術用リングを「健太郎に今必用なんだ・・」と直感しリュックに入れた。まさかの光が大分から差し込む。
離陸した飛行機が分厚い雲間を抜けて真っ青な空の中を飛び始めたとき、ふと首を窓の外に向けたら大きな月が私をみていた。そして太陽がその反対側でぎらぎら西に急いでいるのを横目に、大きな月は私を見守るように飛行機が高度を下げ再び雲の中に入るまでずーーーーーっと付いてきた。(ついている!ついている!)と勇気湧く。

総武線の錦糸町駅近くの東京ER都立墨東病院の救急救命センターのベットで息子は物々しい電子機器類の中で管をいっぱいつけて昏睡していた。入院の準備に売店でオムツを買う。昨日までは他人事だったこんな場面。
CTの画像上では前頭葉が真っ黒で、記憶や味覚、感情のコントロール、意欲などが失われる可能性大との説明。
(そんな状態になってまで、絶対に生きていたくない・・倒れたらそのまま逝かせて)と常に夫とは言い合っていた。
しかし・・・「健太郎、生きてさえいてくれたらそれだけでいい」直面して知る「ひと」という生き物の妙。 
婚約者のけいこさんと25日には岡山の古民家で新生活を始める直前の出来事だった。
とにかく近くにいてやりたい、と救命センターの家族控え室に毛布を持ち込んで過ごしていた。
けいこさんと私、ふとした瞬間に涙がだだーっと流れる。畑の中なら思い切り泣けるのにね。泣きながら笑いあう。
「ひわさん、健太郎と私、大きなかぶでくらしていい?」
「!!!うん!それがいいね!!」
「このまま一生オムツでベットの生活でも一緒に生きよう」けいこさんがそう決心した時、天から名案が降りてきた。
おそるおそる夫にこのことを打診する電話をかけた。
        「俺、はじめっからそう思ってた」 (あ、そうなんだ・・・・)