沖縄県伊江島 「日本兵が2年間木の上で暮らしたガジュマル」
沖縄戦の激戦地となった伊江島で、日本が敗戦したことを知らずに、
逃げ登ったガジュマルの木の上で2年間も過ごした
2人の日本兵がいたことを知っているでしょうか。
ニーバンガジュマル ( ニーバンとはこの木の持ち主である宮城家の屋号 ) と呼ばれている
この大きな木は、伊江島の港から歩いて20分くらいのところにある。
2人は激戦の中を逃げ惑ってこのガジュマルの木に登り、
下から見えないように枝で擬装し、暗くなると下り、
米軍のゴミ捨て場から食料や衣服を集めてこの木の上に潜伏していた。
一方、激しい地上戦で生き残った島民は慶良間諸島などに
2年間強制移住させられていたが、
島に戻った村民が1947年3月にこの2人の兵士に気付き、
敗戦の事実を知らせ、2人はガジュマルの木から下りたということである。
この話を児童文学者の真鍋和子さんが、
シリーズ平和の風2 「 ぬちどぅたから-木の上でくらした2年間 」
( 汐文社1991年初版の絵本 ) として出版している。
機会があれば読んでみたい絵本である。
以前に放映されたNHKスペシャル 『 ラストメッセージ、井上ひさし “ 最期の作品 ”
-沖縄戦をテーマにした戯曲 「 木の上の軍隊 」 』 を
ご覧になった方も多いかと思います。
この作品は、上記の実話をもとに構想していたことを示す
井上氏直筆のわずかなメモを手掛かりに、
父の遺志を継いだ娘さんと演出家・脚本家たちによる創作戯曲で、
地上戦の事実だけでなく、今に至るまで続く構造的差別に苦しむ沖縄の人々の問題を
的確に力強く表現し、伊江島での地上戦が沖縄戦の縮図であることが
伝わってくると言われている作品です。