
有馬記念でテンポイント ( 右 )と死闘を演じたトウショウボーイと武 邦彦 (左)

スルスルと内から抜けて桜花賞を手にしたタカエノカオリと武 邦彦

単枠指定馬になるほど強かったキタノカチドキと武 邦彦 ( 黒帽子 ) 神戸新聞杯
日本中央競馬会騎手の武 豊、幸四郎兄弟の父で、
騎手、調教師として活躍した武 邦彦(たけ・くにひこ)さんが
12日に肺がんのため滋賀県栗東市の病院で死去した。
77歳だった。
身長172センチで、端正な容貌と冷静なレース運びから「ターフの魔術師」と呼ばれた。
1972年、ロングエースで日本ダービー初制覇。
1973年の菊花賞では、代役としてタケホープに乗り、ハイセイコーを破った。
1974年、キタノカチドキで皐月賞、菊花賞の2冠。
その後トウショウボーイで有馬記念、宝塚記念も勝った。
通算1163勝 ( うち重賞80勝 ) 。
その騎手のイメージと想い出の馬を考えると、
気まぐれだったエリモジュージと天才・福永洋一。
ダービー馬オペックホースと豪腕・郷原洋行。
根性のクライムカイザーと根性の加賀武見などが思い浮かぶ。
名手やターフの魔術師と呼ばれたタケクニこと武 邦彦はキタノカチドキであろう。
その騎乗にまったく重さを感じさせない腰高のフォームと柔らかな馬あたり。
まるで風船のようにフワフワと風のようにやって来たタカエノカオリの桜花賞。
ニホンピロセダンやダテパーパスオー、エリモマーチス、ホウシュウミサイルなどを
一蹴したキタノカチドキの神戸新聞杯。
ロングエース、タイテエム、ランドプリンスの3強時代にロングエースでダービーを制し、
ロングホーク、インターグシケン、メジロトランザム、リードスワローなど、
上げれば切りがないほどの馬を勝利に導き、
ボクたちの夢を馬上で導き叶えてくれた。
騎手でも調教師でも、そしてスポニチのコラムニストとしても、
たくさんの夢とドラマをありがとうございました。
安らかにお休みください。