岡垣町の成田山不動寺にある 「 鐵鉢の中へも霰 」 句碑
さつき松原
破れ笠と鉄鉢、木の杖を手にした姿。
放浪の俳人・種田山頭火は、酒と旅に生きながら、
多くの自由律俳句を生み出した。
字数の少ない 「 短律 」 と呼ばれるものが多い山頭火の句の中で、
特に短いものの典型としてよく知られているのがこの句であろう。
『 鐵鉢の中へも霰 』
鉄鉢は修行僧が戸口で米や銭を受け取る鉢のことである。
鉄鉢を打つ霰の音が、
正月の振る舞い酒を反省する山頭火の 「 全身全心 」 を、
笞 ( むち ) のように打つ。
” 音の詩人 ” といわれる山頭火の代表句にふさわしい。
昭和7年 ( 1932 ) 1月8日の日記に、
「 雪、行程六里芦屋町 」 と記されており、
玄界灘に臨む ” さつき松原 ” で詠んだ絶唱と言われている。
「 さすがにこのあたりの松林はうつくしい。もっとも日本的な風景だ 」 と、
日記に続けている。
さつき松原は樹齢200年以上の黒松並木が続く白砂青松、
紺碧の海の弓状砂浜で、伊勢の二見浜、日向の小戸浜と並んで
日本三浜の一つにあげられる。
この 「 さつき松原 」 は、黒田長政が海岸一帯に植林したのが始まりで、
田畑の風よけ、砂防のため植林が続けられたものである。
「 鐵鉢の中へも霰 」 の句碑は、
岡垣町の湯川山 ( 471m ) の山腹にある成田山不動寺の境内にある。