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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

山間の間道の道端で

2006-03-24 | 生活
クロスタースへは、エンガディーンのツェルネッツから1999年の11月19日に完成したトンネルを通って辿り着いた。列車に車を乗せるシステムで15分ほどの走行時間である。乗用車は、35スイスフランである。サンモリッツからツェルネッツまでの谷道は細いので、雪が多いと時間が掛かりそうである。

クロスタースへは、新道のトンネルを走ればランドクヴァートの高速から一気に走れる。会議に出席のVIP警護にも支障はない。谷が丁度折れ曲がったクロスタースからダヴォースへは、スキー場の斜面を回り込むようにして一尾根越えれば良い。

つまりクロスタースは、ダヴォースよりも400メートルほど高度が低くその分同じところからスキーで滑って降りてくると、同じ料金で余分に楽しめる。町も通常の谷のであり、遥かに美しい。ダヴォースに宿泊する事無く、その先かクロスタースで宿泊するのを好むのはこのような理由からである。

この町を一望出来る街外れからダヴォース方面を写そうと車を停めた。丁度画家キルヒナーが足を止めた場所のようだ。年の頃は70近いご婦人が、近くの家から出てくると、停めてある自分の車のトランクの上にハンドバックを乗せて中味を探し出した。気に掛けずにいると、「ワンダフル・スカイ」とか言って話し掛けてきた。それから十分以上なんだかんだと喋っていると、家の窓の上から覗いていたボーイフレンドらしき爺さんもバイバイを諦めて、何時の間にか窓を閉めて何処かへ行って仕舞った。

気候の事やら、隣町の事やら、トンネルの事やらを話すと、兵役に行っている孫の事まで聞かされる。春日和の長閑な谷間の間道の通る高台で、足元から谷向こうへと広がる村落を、こうしてヴァリス風の伝統的な家屋を臨みながら世間話をしていると、なんだか隣町の喧騒が嘘の様である。世界の経済を左右する経済賢人者会議の参加者達こそ、グローバリズム反対者のデモンストレーションを避けて、こういった時の流れを味わって見るべきなのである。少なくとも自らが年金生活に入る前に、こういった生活感を、世界のパワーエリートの指導者達は学ばなければいけない。


参照:
即物的な解釈の表現 [ 文化一般 ] / 2006-03-23
谷間の町の閉塞感 [ 歴史・時事 ] / 2006-03-22
コメント
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