Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

破局へと葬られるもの

2006-03-03 | 歴史・時事
灰の金曜日の行事も終わった。昨年もカメラを構えていたのだが暗過ぎた。去年は、陰暦と陽暦の差が出たのか、特別に暗かった。二月九日の事であるから当然かもしれない。並んでいる昨年の写真を見ると二月二十三日に屋根に薄っすらと冷たい雪が載っている。それからすると、本日も降雪があり、温度も氷点下に近いのも当然であろう。カーニヴァルが済むと温かくなるという固定観念に縛られているのに気が付く。これから四週間、復活祭までは未だスキーシーズンであり、充分な降雪が期待出来る。寧ろ、里雪型の豪雪はあったが山間部では雪崩の被害なども余り出ていないので、これから本格的に降るのだろうか。

今カーニヴァルシーズン始めの記事を振り返ると、サッカーのドイツチームはフランスと試合をして引き分けている。昨夜は、イタリアチームに惨敗している。これが始めと終わりであった。それにも増して、これからの四旬節での鳥インフルエンザの進展の方が気になり出した。イタリアでは鳥の消費が七割ほど落ち込んでおり、実際に感染が発覚しているフランスよりも一層激しい。普段の食生活に因るらしい。

今後とも情報を追っていかなけれないけないが、突然変異を含む蔓延の的確な予測は誰も出来ないので、有りの儘の情報自体が、解釈によってパニックも招けば、対応の遅れから取り返しの付かない結果も招きかねない。アジア地域で先に発生した経験を学んで、特にタイに於ける焼却の対応の早さと安全宣言と輸出再開の実績は、今後の欧州の対応に活かされる。先日来EU内で、家畜へのワクチン注射が議論され、オランダなどがこれを採用、それに対してドイツは伝染しても発覚しないワクチンに否定的で、それらインフルエンザ潜伏の可能性のある鳥が含まれる輸出国からの全面輸入禁止を掲げている。

渡り鳥から家畜への伝染は、通常死骸などを摂取する事によって齎されるが、ペットへの飼い主責任も通達された。野鳥の死骸を集める作業は、今後とも新たな発覚を推進させて、全域での感染が報告されると同時に他の家畜等への伝染の発覚も当然の事ながら予想される。

食生活に与える影響も、現在の所全く無いとする意見と、必要ならばゆで卵も硬茹でにすれば安心とする相反する意見があり、決定的な判断基準がない以上致し方ない。これはBSE騒動の時のより危険食品に 当 た る 確 率 の少ない場合にもあった現象である。しかし今回は、放っておくと取り返しの付かない伝染病化する可能性がある事で、BSE騒動とは大きく異なる。専門家に言わせると今回の鳥インフルエンザは、序の口で今後多くのさらに強力なウイルスが待ち構えているとしている。

多くの人はこのような事態を集団ヒステリーと見做して、それと同じぐらいの人は何らかの自己防衛策を施そうとしている。パニックによる社会経済の変動を出来うる限り避けようとする為には前者のような立場を採る必要があり、後世からしか追想出来ない広範な伝染病化によるカタストロフを避けるためには後者のような行動が必要となる。今回の猫への感染の確認は、専門家に言わせるとその事象自体は大きな意味を持たないが、確率論的に言えば大きな要素であったのではないのだろうか。これが食物連鎖で起きたので「突然変異を意味しない」のは理解出来るが、「突然変異の前提」となる可能性の増加が確認された事には相違無い。

断定でも啓蒙でも指導でもない情報は、表面的には危機管理能力の欠如のように見えるが、実は違う意味があるのではなかろうか?「現実的に処方箋がない事」とこのような「判断保留の情報」が発信される事とは、異なる現象なのである。疑心暗鬼が芽生えるような状態を、現在の情報供給量増加は現出させる。

つまり、カタストロフと言うのは予期されぬ事が生まれる状態であり、予想された事は少なくとも対応出来、理論的には回避する事が可能である。その意味で未来を可能な限り制御出来る。しかし、予想外の不測の事象は何らの準備も無く突然遣って来る。今回の鳥インフルエンザの蔓延もありとあらゆる事態を想定をして、刻々と遅れずに対処して行けば、カタストロフを避けれる可能性が限りなく高まる。そのために必要な情報が 断 定 的 な意味合いを持つことはありえない。情報が 断 定 的 であれば、それは不可測なカタストロフを準備する事になるからだ。

写真が示すように寒い冬は、小さな棺桶に入れられて葬られたかに見えるが、まだまだ春には遠く気を緩める事は出来ない。飼育されている鳥獣ならず、人間が棺桶に入れられるような状態を避けるために絶えず懐疑的な眼差しで状況を注意深く観察して、情報を吟味して行く事がカタストロフを避ける唯一の処方箋である。

個人に於いても、不必要な危険因子を増やさない事が必要と思うが如何であろうか?養鶏業者を支援する事は必要であるが、重要な観察力を疎外するようなシラク大統領やベルリンの政治家のパフォーマンスは本当のカタストロフやパニックを引き起こす可能性さえある。この際、断食に入ろうかと思うが、水鳥も卵もないとすると、風邪をひき易くなるような気がして躊躇している。先ずは、ビールで栄養を摂ろう。



参照:
アウトバーンでの予知力 [ テクニック ] / 2004-12-27
「証拠を示せ」と迫られて [文学・思想] / 2005-06-08
灰の水曜日を前にして [ 歴史・時事 ] / 2006-03-01
切妻のドアをそっと開け [ 文化一般 ] / 2005-02-15
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