ロベルト・ヴァイルの新装した醸造所は素晴らしかった。ヘッセン州立のシュタインベルグのそれはまだ見学していないが、その規模が異なる分可也細かな設計に目が届いているような印象を受けた。恐らく専門家が見るとまた一言があるに違いない。
ただし新築の場所が多いのでどうしてもコンクリート造りの場所が多く、ゆっくりと樽熟成するにはコンクリートの薬品の悪影響が少し心配である。それでもフォンフォルクセン醸造所やモリトール醸造所にも供給しているオーストリアの樽師フランツ・シュットキンガーの新しい樽蔵が見事であった。殆ど博物館のような美しさで、クーラーだけでなくウォーターカーテンが音を立てていて、乾燥を防いでいる。まるでホテルのロビーか、ヤクザの客間のようである。
この醸造所の雰囲気は、今回初めて日曜日に開かれた試飲会での落ち着いたムードとは裏腹に、士気に溢れているようでそれは前からいた醸造長の表情や説明にも自信となって表れていた。
モストの抽出時間は18時間、それからの醸造醗酵温度もその期間も正確に公表していて、これも明らかな自信の表れであった。兎に角、除梗破砕から新設計らしく重力対応となっていて、コンヴェアーなど無しに下へ下へと落ちていく全体構造となっている。更に以前からの出荷倉庫が下にあったものだから、瓶詰め時にポムピングするだけとなる。ある意味最初で最後の吸い上げなので、瓶詰め後は時間をおく方が良いだろう。
そしてラーゲンヴァインからは天然酵母醗酵となっていて、木樽熟成となる。オルツヴァインの場合はほんの一部を木樽にして味付けをしているようだ。要するに価格が22ユーロ超えから初めて超一級商品となっているのである。
実際に試飲吟味をすれば、それは一目瞭然で、グーツリースリングまでは魅力は薄い。リッターヴァインなどは培養酵母どころかケミカル味だと散々であるが、高級レストランなどでグラスワインで出されると、高級ワインとなることには間違いない。オルツリースリングは香りもあり流石に漸く飲めたのだが、ラーゲンヴァインのような個性とは明らかに異なる。シャルタヴァインが良いか、オルツヴァインが良いかといえば、味の特徴としてはミネラルの前者、果実風味の後者と、土壌が大分異なるような記憶がある。食事には前者である。
しかし、重い土壌のクロスターベルクから、テュルムベルク、グレーフェンベルクへと比較していくと、最後の二つの特徴は圧巻で、柔らかな果実風味の女性的なテュルムベルクと硬質で男性的でありながらニュアンスの細かなグレーフェンベルクの双方とも最高級リースリングには違いない。
特に後者は、グローセスゲヴェックスのグレーフェンベルクとの比較になるのだが、それほど時間が掛からなくとも最低二年は待ちたいリースリングで、特に2011年のミネラルの豊富さは期待させてくれる中間部のクラウドの開き方が楽しみである。そよ風のような堅く閉ざされたその蕾が開くときである。
いづれにしても、高価なワインの数々であるが、その中でその価値があるものは結局限られていて、グレーフェンベルクなどは飲み頃を待つべきで、テュルムベルクは贅沢過ぎるなどと、明らかに通向きの醸造所である。
奥さんが挨拶に来て、試飲会の賑わいなどを話していたのだが、700人規模で集まった日とそうでない日などの差が多かったようだ。空いていたのでゆっくりと楽しめたのがなによりもよかった。
今年発売のピノノワールが最後の赤となる。温暖化に備えたが、リースリングに替えて作る価値は無かった。リースリングの地所をピノにする価値は無いのだろう。ドイツの最高級ピノノワールも必ずしも一等地のものとは限らない。
参照:
ザールリースリングの旨み 2012-08-20 | 試飲百景
ここでも効率から質への転換 2011-05-29 | 試飲百景
ヴィルヘルム・ヴァイルのワイン 2010-09-05 | 試飲百景
ただし新築の場所が多いのでどうしてもコンクリート造りの場所が多く、ゆっくりと樽熟成するにはコンクリートの薬品の悪影響が少し心配である。それでもフォンフォルクセン醸造所やモリトール醸造所にも供給しているオーストリアの樽師フランツ・シュットキンガーの新しい樽蔵が見事であった。殆ど博物館のような美しさで、クーラーだけでなくウォーターカーテンが音を立てていて、乾燥を防いでいる。まるでホテルのロビーか、ヤクザの客間のようである。
この醸造所の雰囲気は、今回初めて日曜日に開かれた試飲会での落ち着いたムードとは裏腹に、士気に溢れているようでそれは前からいた醸造長の表情や説明にも自信となって表れていた。
モストの抽出時間は18時間、それからの醸造醗酵温度もその期間も正確に公表していて、これも明らかな自信の表れであった。兎に角、除梗破砕から新設計らしく重力対応となっていて、コンヴェアーなど無しに下へ下へと落ちていく全体構造となっている。更に以前からの出荷倉庫が下にあったものだから、瓶詰め時にポムピングするだけとなる。ある意味最初で最後の吸い上げなので、瓶詰め後は時間をおく方が良いだろう。
そしてラーゲンヴァインからは天然酵母醗酵となっていて、木樽熟成となる。オルツヴァインの場合はほんの一部を木樽にして味付けをしているようだ。要するに価格が22ユーロ超えから初めて超一級商品となっているのである。
実際に試飲吟味をすれば、それは一目瞭然で、グーツリースリングまでは魅力は薄い。リッターヴァインなどは培養酵母どころかケミカル味だと散々であるが、高級レストランなどでグラスワインで出されると、高級ワインとなることには間違いない。オルツリースリングは香りもあり流石に漸く飲めたのだが、ラーゲンヴァインのような個性とは明らかに異なる。シャルタヴァインが良いか、オルツヴァインが良いかといえば、味の特徴としてはミネラルの前者、果実風味の後者と、土壌が大分異なるような記憶がある。食事には前者である。
しかし、重い土壌のクロスターベルクから、テュルムベルク、グレーフェンベルクへと比較していくと、最後の二つの特徴は圧巻で、柔らかな果実風味の女性的なテュルムベルクと硬質で男性的でありながらニュアンスの細かなグレーフェンベルクの双方とも最高級リースリングには違いない。
特に後者は、グローセスゲヴェックスのグレーフェンベルクとの比較になるのだが、それほど時間が掛からなくとも最低二年は待ちたいリースリングで、特に2011年のミネラルの豊富さは期待させてくれる中間部のクラウドの開き方が楽しみである。そよ風のような堅く閉ざされたその蕾が開くときである。
いづれにしても、高価なワインの数々であるが、その中でその価値があるものは結局限られていて、グレーフェンベルクなどは飲み頃を待つべきで、テュルムベルクは贅沢過ぎるなどと、明らかに通向きの醸造所である。
奥さんが挨拶に来て、試飲会の賑わいなどを話していたのだが、700人規模で集まった日とそうでない日などの差が多かったようだ。空いていたのでゆっくりと楽しめたのがなによりもよかった。
今年発売のピノノワールが最後の赤となる。温暖化に備えたが、リースリングに替えて作る価値は無かった。リースリングの地所をピノにする価値は無いのだろう。ドイツの最高級ピノノワールも必ずしも一等地のものとは限らない。
参照:
ザールリースリングの旨み 2012-08-20 | 試飲百景
ここでも効率から質への転換 2011-05-29 | 試飲百景
ヴィルヘルム・ヴァイルのワイン 2010-09-05 | 試飲百景