ミュンヒナーフィルハーモニカーのオープンエアーを観た。今迄は常任指揮者だったゲルギーエフ指揮では観ることもなかった。それ以前にはティーレマンが振っていたのだったが殆ど記憶がない。昨年はヴィオッティが振ってワンがピアノを弾いていた。とても酷い指揮だった。
そして今年は主無きにハーディングが指揮した。エールフランスのパイロットで指揮活動をしている人であるが、いつもの様にメンデルスゾーンの指揮は悪かったのだが、共演したヴァイオリンが冴えていた。同じヴァイオリニストで同じメンデルスゾーンをバーデンバーデンで聴いて、学生かと思うほど酷かったのだが、とても歌い口が冴えていた。恐らく共演したブロムシュテット指揮のヴィーナーフィルハーモニカーがあまりにも邪魔をしていたのではなかろうか。後半も今まで経験した音楽会の中で最低のものであったのでさもありなんである。これならばユジャワンと室内楽をやっても悪くはないだろう。聴きに行ってもいいぐらいだ。
つまり、ハーディング指揮でその叙述はとても悪かったのでヴァイオリンが引き立てて、それについてきた感じになるのだろう。兎に角苦慮して主題を描くのだが、そのあとがいつも同じように発展しない。音楽の叙述法が分かっていないから主題に苦労してそのまま難しいところに陥る。先日言及したペンデレツキとハースの差にも相似している独墺音楽の語り口である。この英国人指揮者の何が駄目なのかがよく分かる中継だった。
当然の事乍ら後半のドヴォルザークはメンデルスゾーン以上には期待された。実際に一楽章も鉄道オタク作曲家の鉄男らしい走行感も悪くはなかった。但し二楽章の「家路」になるとどうしても大きな和声の流れも分かり難くなって、聴衆を魅了しないだろう。三楽章はまるで阪急電車急行のように踏切のチンチンが飛び去って行くスピード感とそこから神戸電鉄の田園風景への対比もよかった。終楽章の火のように燃えるのは、コロナ前にムーティ指揮シカゴ交響楽団名演でのコーナリングでの遠心力効果は全くなかったのだが、その前の楽章のコーダでのまるでブルックナーの様に鳴らすフィルハーモニカーとの相性は決して悪くはないと思った。
生ストリーミングを観ていて、薄暮のミュンヘンからツーグシュピッツェへの遠望も美しいと思った。街並みもパリに勝るのはまさにアルプス遠景だ。今まで以上に興味を持ったのは、先月末にマリエンプラッツからダルマイヤーの前を通っての道筋や、五月に出向いた壁向こうのレジデンツのクヴィリエ劇場のガラス張りのロビーとかのスクエアーの情景だった。
ナチの行動でも歴史的になったオデオン広場に戦災で焼けるまで演奏会場があってと今迄気が付かないことも、一時は新会場建設地候補になっていたりと古都のダイナミズムも感じる。
参照:
「シーズン最高の初日」の意 2022-05-24 | 文化一般
殆ど定刻通りの往復 2022-06-28 | 生活
そして今年は主無きにハーディングが指揮した。エールフランスのパイロットで指揮活動をしている人であるが、いつもの様にメンデルスゾーンの指揮は悪かったのだが、共演したヴァイオリンが冴えていた。同じヴァイオリニストで同じメンデルスゾーンをバーデンバーデンで聴いて、学生かと思うほど酷かったのだが、とても歌い口が冴えていた。恐らく共演したブロムシュテット指揮のヴィーナーフィルハーモニカーがあまりにも邪魔をしていたのではなかろうか。後半も今まで経験した音楽会の中で最低のものであったのでさもありなんである。これならばユジャワンと室内楽をやっても悪くはないだろう。聴きに行ってもいいぐらいだ。
つまり、ハーディング指揮でその叙述はとても悪かったのでヴァイオリンが引き立てて、それについてきた感じになるのだろう。兎に角苦慮して主題を描くのだが、そのあとがいつも同じように発展しない。音楽の叙述法が分かっていないから主題に苦労してそのまま難しいところに陥る。先日言及したペンデレツキとハースの差にも相似している独墺音楽の語り口である。この英国人指揮者の何が駄目なのかがよく分かる中継だった。
当然の事乍ら後半のドヴォルザークはメンデルスゾーン以上には期待された。実際に一楽章も鉄道オタク作曲家の鉄男らしい走行感も悪くはなかった。但し二楽章の「家路」になるとどうしても大きな和声の流れも分かり難くなって、聴衆を魅了しないだろう。三楽章はまるで阪急電車急行のように踏切のチンチンが飛び去って行くスピード感とそこから神戸電鉄の田園風景への対比もよかった。終楽章の火のように燃えるのは、コロナ前にムーティ指揮シカゴ交響楽団名演でのコーナリングでの遠心力効果は全くなかったのだが、その前の楽章のコーダでのまるでブルックナーの様に鳴らすフィルハーモニカーとの相性は決して悪くはないと思った。
生ストリーミングを観ていて、薄暮のミュンヘンからツーグシュピッツェへの遠望も美しいと思った。街並みもパリに勝るのはまさにアルプス遠景だ。今まで以上に興味を持ったのは、先月末にマリエンプラッツからダルマイヤーの前を通っての道筋や、五月に出向いた壁向こうのレジデンツのクヴィリエ劇場のガラス張りのロビーとかのスクエアーの情景だった。
ナチの行動でも歴史的になったオデオン広場に戦災で焼けるまで演奏会場があってと今迄気が付かないことも、一時は新会場建設地候補になっていたりと古都のダイナミズムも感じる。
参照:
「シーズン最高の初日」の意 2022-05-24 | 文化一般
殆ど定刻通りの往復 2022-06-28 | 生活