愈々ベルリンでシーズン初日となる。遂に来たかという感じだ。プログラムからすればそれ程話題にはならないのだが、「モーツァルトの主題による変奏曲」はフルトヴェングラー以来初めてシェフが振るということで、またそこで作曲され初演された「英雄の生涯」は十八番でありクラウデイオアバド以外は皆振った曲で、初日に持ってきた意味は大きい。そして初めて初日を女性が率いることになる。
既に復活祭で二回の本番練習を聴いたので、この間の進展ぶりに注目である。そして極東公演の成功も彼女が大きな責任を担う。その為にも前半のレーガーの作品は注目される。本日生中継される演奏を聴いてしまうと過去のアーカイヴが聴けなくなるので急いで良さそうな二種類の録音をYouTubeで見つけた。
一つは、バイロイトで日本でも活躍し他ホルストシュタイン指揮演奏で、これは同じようにカペルマイスターと呼ばれたカイルベルトの演奏とは遥かに良い。これは、モーツァルト指揮者がバイロイトで振った時に「モーツァルトの眼鏡を通したヴァ―クナー」とされたが、その反対を行く「ヴァ―クナーを通したモーツァルト」のような充実しながらも透明感のある響きで、まるでマイスタージンガーの様な趣で素晴らしい。
しかし、レーガ―が書き込んだ密な対位法の筆使いは音響として演奏されていて、細やかな筆使いまでは見えない。恐らくバムベルクの交響楽団ではそのアンサムブル的にも限界があったのだろう。そして比較対象にベルリナーフィルハーモニカーを前記したベーム博士が振った録音が見つかった。
これは素晴らしかった。ベルリナーフィルハーモニカーの弦をこれまたいつものようにとことん扱かしての演奏は、少なくとも音響的にヒンデミートのような面白さとなってその基本のアンサムブルが違う。同時にこの指揮者特有のあまりにもザッハリッヒな合わせ方をさせるので、対旋律などがあまりにもぶっきらぼうとなる。
これで今晩ペトレンコ指揮で最早新境地のアンサムブルに至っているベルリナーフィルハーモニカーがどのような演奏をするかが予想出来る。三人目のコンツェルトマイスタリンのヴィネータ・ザライカフェルクナーは、ラトヴィア出身で2008年に大阪の室内楽コンクールで優勝している。教師からするとフランコベルギ―派のようで、駄目になったアルティメス四重奏団に入る前にベネルクスで仕事をしていた。
既に「英雄の生涯」でパウリーナの下りを上手に弾きたのは分かっているが、それ以上にこのレーガーの目の積んだメッシュをどのように率いるかが楽しみである。彼女の弓使いなどは決して悪くはない筈である。
兎も角、このプログラムを水曜日ともう一度11月に聴けるのは嬉しく、もう一つのプログラムを木曜日と日曜日に聴けるのは幸福だ。恐らくもう一つのプログラムにこれで集中できるようになると思う。そして9月の日曜日には催し物で騒がしくなるとあったので全く関係なしに旅行に出ていられるのも幸せである。日帰りの出来るザールに二泊は勿体無いかと思ったが、これだけでも一泊伸ばした価値があった。
参照:
特大シュニッツェルを❣ 2023-08-24 | 雑感
戦後に初演された楽劇 2023-08-21 | マスメディア批評
既に復活祭で二回の本番練習を聴いたので、この間の進展ぶりに注目である。そして極東公演の成功も彼女が大きな責任を担う。その為にも前半のレーガーの作品は注目される。本日生中継される演奏を聴いてしまうと過去のアーカイヴが聴けなくなるので急いで良さそうな二種類の録音をYouTubeで見つけた。
一つは、バイロイトで日本でも活躍し他ホルストシュタイン指揮演奏で、これは同じようにカペルマイスターと呼ばれたカイルベルトの演奏とは遥かに良い。これは、モーツァルト指揮者がバイロイトで振った時に「モーツァルトの眼鏡を通したヴァ―クナー」とされたが、その反対を行く「ヴァ―クナーを通したモーツァルト」のような充実しながらも透明感のある響きで、まるでマイスタージンガーの様な趣で素晴らしい。
しかし、レーガ―が書き込んだ密な対位法の筆使いは音響として演奏されていて、細やかな筆使いまでは見えない。恐らくバムベルクの交響楽団ではそのアンサムブル的にも限界があったのだろう。そして比較対象にベルリナーフィルハーモニカーを前記したベーム博士が振った録音が見つかった。
これは素晴らしかった。ベルリナーフィルハーモニカーの弦をこれまたいつものようにとことん扱かしての演奏は、少なくとも音響的にヒンデミートのような面白さとなってその基本のアンサムブルが違う。同時にこの指揮者特有のあまりにもザッハリッヒな合わせ方をさせるので、対旋律などがあまりにもぶっきらぼうとなる。
これで今晩ペトレンコ指揮で最早新境地のアンサムブルに至っているベルリナーフィルハーモニカーがどのような演奏をするかが予想出来る。三人目のコンツェルトマイスタリンのヴィネータ・ザライカフェルクナーは、ラトヴィア出身で2008年に大阪の室内楽コンクールで優勝している。教師からするとフランコベルギ―派のようで、駄目になったアルティメス四重奏団に入る前にベネルクスで仕事をしていた。
既に「英雄の生涯」でパウリーナの下りを上手に弾きたのは分かっているが、それ以上にこのレーガーの目の積んだメッシュをどのように率いるかが楽しみである。彼女の弓使いなどは決して悪くはない筈である。
兎も角、このプログラムを水曜日ともう一度11月に聴けるのは嬉しく、もう一つのプログラムを木曜日と日曜日に聴けるのは幸福だ。恐らくもう一つのプログラムにこれで集中できるようになると思う。そして9月の日曜日には催し物で騒がしくなるとあったので全く関係なしに旅行に出ていられるのも幸せである。日帰りの出来るザールに二泊は勿体無いかと思ったが、これだけでも一泊伸ばした価値があった。
参照:
特大シュニッツェルを❣ 2023-08-24 | 雑感
戦後に初演された楽劇 2023-08-21 | マスメディア批評