氷の世界も、今回で最終回となりました。雪と氷の違いについては前回のその3でも触れましたが、通気性に着目して分類しているようです。ウィキペディアや専門の気象関係の論文を読んでもややこやしくて頭が痛くなってしまいます。今回は氷の中でも霧氷と呼ばれるものを中心に取り上げたいと思います。ここでもまた「樹氷」は聞いたことがあるけれど「霧氷」ってなんだ?と言う疑問がわいてくると思います。
例によってウィキペディアで調べてみると…「霧氷(むひょう)は、氷点下の環境で樹木に付着して発達する、白色や半透明で結晶構造が顕著な氷層の総称。過冷却にある霧(着氷性の霧)によるものと、空気中の水蒸気の昇華によるものがある。着氷現象の一種。普通、樹氷・粗氷・樹霜の3つに分類される。」とあります。樹氷はわかりますが、粗氷、樹霜となると…呼び方はともかく、あとで画像をもとに説明することとして、まずは樹氷について取り上げましょう。
(1) キロロの樹氷林
樹氷は、空気中の水分が冷却されて霧氷となった氷が樹に付着したものを言います。スキーをされた方なら、まず蔵王の樹氷を思い起こすことでしょう。蔵王の樹氷は、丸々と太って、時にはモンスターと呼ばれることもありますが、北海道の樹氷は幾分様子が違います。内地と違って大気中に水分が少ないので、太ることがありません。
さて次にあげるキロロの樹氷は、ゴンドラの山頂付近で、氷点下20度を下回る早朝によく見られます。何れも平成11年2月の撮影ですが、この日は特に冷え込んで、スキーのストックを持つ手がしびれるほどだったことを覚えています。
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青空がバックだと一段と綺麗に見えます。陽が登って10時近くになると樹氷は消えてしまいます。
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山頂付近は一面の樹氷原。
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ワイドレンズで切り取ると… H23年OCN「空がある風景」フォトコンテスト 金賞「キロロの樹氷林」
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逆光で見ると、なお一層美しく見えます。
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キロロのスキーコースです。'98元気の出る北海道フォトコンテスト優秀賞「樹氷林を滑る」
(2) 金色に輝く樹氷
この画像は、釧路市細岡の展望台で撮影したカットです。細岡の展望台は、後方から朝日が上がってきます。ふと振り返ってみると樹氷が金色に輝いていました。
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朝日に輝く樹氷がとても美しい。
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午前7時ちょうど、日の出から5分ほどで、金色は失われていきます。
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展望台からは湿原が赤く染まり始めます。Freeml第16回冬のハッピーフォトコンテスト1位「釧路湿原の朝」
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蓮氷の釧路川に映り込んだ、朝日が当たってピンクに染まった樹氷です。ハートンホテルフォトコンテスト2010 最優秀賞「真冬に桜満開?」
(3) 石狩川流域の樹氷
さすが札幌市内で樹氷を見る機会はありませんが、郊外の石狩市では年によっては氷点下15度以下になることもあります。そんな時には樹氷が発生することがあります。近くを石狩川が流れており、そこから発生した霧氷が着氷するものと思われます。
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あまりの見事な樹氷林に、車から降りて、撮影ポイントを探す写友たち。
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原画はカラーですが、モノクロにしてみました。
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石狩川を挟んで向こう側には札幌市のゴミ焼却炉があります。横になびく煙との組み合わせで撮影してみました。
(4) 旭岳の粗氷・樹霜等
粗氷・樹霜と言う言葉は、普段聞きなれない言葉ですが、霧氷の3分類のうちの一つです。改めてウィキペディアを引用してわかりやすくしてみました。
「霧氷」氷点下の環境で樹木に付着して発達する、白色や半透明で結晶構造が顕著な氷層の総称。過冷却にある霧(着氷性の霧)によるものと、空気中の水蒸気の昇華によるものがある。着氷現象の一種。普通、樹氷・粗氷・樹霜の3つに分類される。
「樹氷」過冷却水滴からなる濃霧が地物に衝突し、凍結付着した氷層のうち、白色で脆いものをいう。
「粗氷」過冷却水滴からなる濃霧が地物に衝突し、凍結付着した氷層のうち、半透明のものをいう。
「樹霜」空気中の水蒸気が昇華して樹枝などの地物に付着した樹枝状ないし針状の結晶。
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姿見の展望台にある愛の鐘。粗氷と思われます。
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鹿児島から出張で旭川に来たついでに旭岳に登ったというオジサン、白髪ではないそうです。
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高山植物の葉の先に針状の結晶が見えます。これが樹霜かと思います。
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はっきりと針状の結晶が見えます。
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これは樹氷でしょうか。形が面白いですね。バイクに乗ったサルが、ドジョウを二匹乗せ、さらにサルを一匹曳きずっているように見えました。
(5) ニセコ界隈で見た氷の世界
ニセコ・倶知安のいわゆる羊蹄山麓地域は、道内でも有数の豪雪地帯でもあります。複雑に山々が入り組んでいて、温泉地帯でもあります。何れも割と標高の高い地域にあって、冬期間は猛烈な凍れに見舞われます。氷の世界~その2では、五色沼温泉宿のツララに覆われた画像を掲載しましたが、あれなども冬期間は普通に見られます。
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五色沼温泉の駐車場に置かれた車。一晩で、フロントガラスはごらんのとおりの凍結状態。エンジンをかけて温めても、走れるまでには30分はかかります。
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何とも不思議な光景を目にしました。木の枝に糸が垂れ下がっている?誰かこの近くで凧揚げをしたのかな?糸が絡んで…
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手を触れると崩れ落ちてしまいます。どうやら蜘蛛の巣(糸)が凍ったのではないかと思います。それにしても不思議な現象を目にしました。
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倶知安郊外の尻別川付近で見た樹氷。午前9時40分、陽が高くなって樹氷の大半は落下してしまいました。
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尻別川河畔の雑草に着いた樹霜、針状の結晶が見事に連なっている。やがて陽が高くなると崩れ落ちてしまう。
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その雑草の根元を見ると、崩れ落ちた針状の結晶が七色に輝いている。なお、結晶にピントを充てると、どういうわけか輝きが失われてしまいます。
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ニセコの山々にも、樹氷林があります。
(6) その他の氷の表情
氷の結晶と言うとダイヤモンドダストを抜きには語れないのではないでしょうか。残念ながら小樽や札幌で見ることはほとんど不可能です。例外的なケースもありますが、通常は氷点下15度以下、近くに川の流れがあって、無風状態でないとみられません。撮影ツアーで道東や美瑛に行って、見られたらそれは超ラッキーです。
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川湯温泉のダイヤモンドダストパーティで、人工的に作り出されたダイヤモンドダスト。
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釧路湿原で見かけたダイヤモンドダスト、この日の朝は氷点下20度。写真に撮ると…こんなもんです。
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初冬の北海道庁の池で見かけました。全面結氷した池面に白い輪が出来てました。