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■ 「嵐」が大ブームです ■
ジャニーズの「嵐」が大ブームになっています。先日のディズニーシーの貸切ライブはチケットに40万円のプレミアムが付いた様です。昨年当あたりから「嵐」の人気が鰻上りです。
実は私も「嵐」のメンバーが主演するのドラマを見たり、「ヤッターマン」を見に劇場に足を運んでいます。中一の娘がファンだからです。朝、起き抜けから「嵐」のベスト版を聞かされれば、1ヶ月もすればカラオケでほぼ全曲歌えるようになります・・・。これを世間では「洗脳」と呼ぶのでしょう。あるいは、「親バカ」とも呼ぶようです。
■ 世代交代を続ける「ジャニーズ」と「エイベックス」の衰退 ■
この「嵐」ブーム。メンバーの魅力や努力もさる事ながら、これだけメディアに露出していればブームにならないハズが無い。ジャニーズ事務所はアイドル業界では一人勝状態ですから、TVもジャニーズを出せば視聴率が稼げます。自然と露出は増えてポジティブ・フィードバックが働き続けます。
普通は2~3年も経つと飽きられてしまいますが、SMAP、V6、TOKIO、嵐、NEWSなどなど、少しずつ年齢層とキャラクターの違うグループを育成し、飽きられる事を防いでいます。盛衰の激しい芸能界で、コンスタントに人気を得るのは困難な事ですが、ジャニーズ事務所はこれを見事に実現しています。
一方、一時は破竹の勢いだったエイベックスは見る影もありません。小室哲也は詐欺で逮捕され、浜崎あゆみや持田香(Every Little Thing)は喉を潰したのか、素人のカラオケ以下の状態。押尾学はドラッグで逮捕され、捜査の手は、ピーチジョン野口社長絡みでエイベックスのアーティストと政財界の黒い関係にまで伸びようとしています。嵐を代表する等身大のアイドルという、芸能界のデフレの流れを読みきれずに、バブル路線をひた走ったツケが廻ったのでしょう。
■ 「ジャニーズ=民主党」、「エイベックス=自民党」 ■
このアイドル界の主役交代は、政治の世界の政権交代と似た構造を持っています。「ジャニーズ=民主党」、「エイベックス=自民党」といった所でしょうか。旧態然としたバブル路線の夢を追い続けた自民党は衰退し、デフレと世界の多極化に敏感に反応した民主党が生き残りました。民主党は大御所から若手まで、個性的なラインナップで取りこぼしもありません。一方自民党は賞味期限が過ぎた往年の政治家ばかりで、浜崎あゆみの今の姿がダブります。
■ 本当に国民が選んでいるのか? ■
アイドル界と政界を比較した時、もう一つ面白い事に気付きます。政権交代の原動力がファンや国民である様に見えながら、その実、国民には選択肢が無かったという点です。ハッキリと言えば、マスコミの報道が先行してブームが作られている点に注意が必要です。
アイドルの人気はテレビはの露出度で決まります。これは最近の「嵐」の例を見るまでも無く明らかです。同様に政治家や政党の人気もマスコミの露出度や報道のされ方が先行して、後から国民が盛り上がってきます。
私達は民主党への政権交代を民意の反映と捉えていますが、これは大きな勘違いです。私達はマスコミの選んだ政党を支持したに過ぎません。
■ 「満足の文化」・・・J・K・ガルブレイス ■
「不確実性の時代」で日本でも有名な経済学者、J.K.ガルブレイスの著書に「満足の文化」という本があります。この本の中でガルプレイスは今回の金融危機の原因を明確に言い当てています。
「満足」した人々、即ち既得権者のみが選挙に熱心である。
「満足」した人々とは、医者や政治家や弁護士のみならず、年金生活者や組合員、そして農業補助を受ける農家までが「満足」した人々である。
「満足」した人々は規制を嫌い、小さな政府を望む。
「満足」した人々は、アダム・スミスを信望し、飽くなき利潤追求に明け暮れる・・。
・・・その行き着く先は、バブルの崩壊である。
ガルブレイス的には、マスコミは「満足」した人々の声を代弁し、拡声する装置です。確かに民主党に圧勝をもたらしたのは、年金や既得権を守りたい「満足」した人々のようです。フリーターやニートなど社会的弱者がほとんど投票しない事からも、ガルブレイスの主張は正しいように思えます。
しかし、私達が本当に民主党や政権交代を望んでいたのでしょうか?私達が「ジャニーズ」や「嵐」を本当に望んでいたかどうかと聞かれると、実はそうでは無い事に気づくはずです。同様に政権交代や民主党は、マスコミに与えられたイメージがポジティブ・フィードバックした結果だと考える事も出来ます。
我々は「満足」した人の様に振舞っていながらも、実はそう仕向けられていたのではないかという疑いを持って政権交代を見ると、普天間基地にしても、北朝鮮問題にしても全く違う構造が現れます。
■ 「2大政党」という欺瞞 ■
アメリカを例に取ってみましょう。「民主党」と「共和党」との間で定期的に政権交代が起こり、国民は自分達の投票行動が政権を決めていると思い込んでいます。彼らはアメリカの民主主義に疑いを持ちません。
しかし、実際には外交や政治の基本問題は「外交問題評議会」が決定し、経済運営はFRBを始め、国際金融資本家達の手の内にあります。アメリカ国民の選んだ大統領はスター性を有した優秀なスポークスマンであり、俳優でしか無いことは、クリントン、ブッシュ、オバマという直近3代の大統領を見れば明らかです。
結局、国民はマスコミの演出した「政権交代」という政治ショーをに踊らされて、虚構のデモクラシーに満足しています。これは2大政党性という大きな欺瞞です。
■ 日本における「政権交代」は誰の為 ■
日本における「政権交代」がもし演出されたものであるならば、脚本を書いているのは誰なのでしょうか?
民主党は一見反米的で、多極化する世界い適応する為に、タブーに挑戦しているかに見えます。では、日本がアメリカから離れて特をするのは誰でしょうか?これが実はアメリカだったりしたらどうでしょう?
中国の軍事的プレゼンスが拡大する中で、米軍はいずれは極東から撤退する運命です。それを「撤退」に見えない様にする為には、「日本人の意思」である事が必要です。「日本人が望むから海兵隊をグアムに全て移動する。移動資金は当然、全額日本が負担するべきだ」・・・きっとこうなります。
日本人がアメリカ離れして中国に投資すれば、アメリカのグローバル企業の利益が向上します。アメリカの貧乏人がさら貧乏になっても彼らは困りはしません。それ以上の利益を新興国が生み出してくれるならば・・・。
民主党が温暖化問題で無理な削減目標を打ち出せば、排出権市場に潤沢な資金が供給されます。
民主党が反米的態度を示せば、保護貿易が復活しても文句は言わせません。自動車の関税を上げれば、ビック3だって蘇るかもしれません。ドル安を放置して日本企業を痛めつけても、文句は言わせません。
結局、小沢一郎は誰の味方なのでしょう?日本人か、それともアメリカ人か・・・?
マスコミを操作して民主党政権を生み出した「誰か」に聞くしかありません・・。