■ これは自己矛盾ではなイカ? ■
私は武田邦彦氏は大好きですが、
どうも原発事故に対する氏の一連の発言は
疑問の念を禁じ得ません。
先日も氏はこう主張しています。
「善良な国民」になろう・・・善良な「専門家」の論理
http://takedanet.com/2011/10/post_c6b8.html
複雑そうなレトリックを用いているので、
強引に簡単にまとめてみます。
1) 原子力の専門家は、現場の人たちである
2) 原子力の研究者は、学者である
3) 放射線の基準は、学者のみが決定出来る
4) 1(mSv/年)という法律は、学者のみが変更可能である
ちょっと簡単にし過ぎたかも知れませんが、
これは社会の秩序を維持する為には
いたって正しい主張です。
問題は以下の主張です。
5) 一般人や専門家は法律や基準に口出しする事は出来ない
日本はいつから言論が封殺される様になったのでしょうか?
武田氏は、リサイクルや温暖化に対して、
「法律が間違っている」と主張してきた張本人です。
ところが、放射線の健康被害に関しては、
「法律に疑念をはさむ者が間違っている」
という立場を主張します。
これは大いなる自己矛盾です。
■ 逆のケースを想定すれば、論理的矛盾は明確だ ■
武田先生の主張は、放射線を巡る状況を反転すれば
論理が破綻している事は明確です。
1) 100(mSv/年)が法律の定める被爆基準だとする
2) 実際には1(mSv/年)でも危険性が高い
3) 市民がこの点を指摘して改善を求める声を上げる
4) 100(mSc/年)が基準なのだから、市民の意見は無視して良い
武田先生の主張を世の中が採用するならば、
多くの公害訴訟は敗訴するしかありません。
■ 過剰安全性という落とし穴 ■
今回の福島で議論されるべきは、
1(mSv/年)という基準が現実的であるかという点であるはずです。
「除染に8兆円を掛けて、人的被害の差が科学的には存在しない」
・・・安心の為のコストとしては破格です。
地球温暖化、ダイオキシン、オゾンホール、新型インフルエンザ
そして昨今では「子宮頸がんワクチン」と、
私達は過剰安全性の罠に落ち続けています。
■ この記事を一読して欲しい ■
先日も紹介したオックスフォード大学のアリソン教授の記事が載っていました。
池田信夫氏が紹介しているので、
武田先生シンパは、疑いの目でごらんになるでしょう。
しかし、アリソン教授の言説は明快です。
世界は放射線に関して、1000倍の安全性を掛けている・・・
そう教授は主張します。
http://agora-web.jp/archives/1394307.html
■ シンプルな主張が正しい ■
科学的議論を展開するのに、
社会学的な複雑なレトリックを用いる武田先生と、
純粋に物理学的観点と、過去の事例を紹介するアリソン教授とで
どちらがシンプルであるかは一目瞭然です。
科学とはシンプルである程、真実に近いと思うのは私でけでしょうか?
<追記>
前出の武田先生の文章を読めば読む程、
「放射線の研究者は、過去の非を国民に詫びて
基準値を適当な数値に改定せよ!!」
・・・そう読めてしまうのは、私の頭がオカシイからでしょうか?_