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「正論の罠」・・・憲法改正

2017-05-05 06:08:00 | 時事/金融危機
 

■ 現実化を帯びて来た憲法改正 ■

アメリカが盛んに北朝鮮を挑発していますが、阿吽の呼吸で北朝鮮もミサイルを発射しています。

29日のミサイル発射では日本の新幹線や地下鉄が一時運転を見合わせたそうですが、そうした「危機演出」の目的は「憲法改正」にあるのでしょう。

公明党も憲法改正に前向きな姿勢を示し、自民、公明、維新が本気になれば、改正発議の議会通過は現実化するでしょう(両院の2/3以上の賛成票)。

しかし、その後、国民投票で1/2の賛成を得られるかは微妙です。団塊の世代より上の老人達は戦争の記憶や戦後の記憶がありますから、やはり「戦争を出来る国」に対する抵抗感は強いでしょう。若い世代でも、「賛成派」と「反対派」は拮抗していると思います。

■ 「論理的」に正しい憲法改正 ■

私は憲法改正には「論理的」には賛成。

1)日本周辺国が必ずしも友好的で平和的な国家であるとは限らない

2)先制攻撃や集団的自衛権も含めた武力行使は、対立国に戦争を思い止まらせる効果があり
  平和な時代には、最大の戦争抑止として働く。

3)他国に対する武力行使を放棄する事は、むしろ地域の軍事バランスを不安定化させ、
  戦争を引き起こす原因ともなる。

4)相手国に対して先制攻撃も含めた軍事オプションを持つ事は、紛争の平和的交渉の
  インセンティブを作る事にもなる。

5)軍事的オプションを持たない国の交渉は強制力に乏しく、交渉力が低下する。

6)日本の様な経済力の国が防衛を他国に依存する事は、国際関係上も好ましくない

7)有事に際して、憲法や法律でその対応を決めていなければ、自衛隊が迅速な対応を出来ない


憲法改正の賛成派の意見は凡そ上記の様なものかと思われます。これは「論理的」には全くもって正しく、現在の日本の「平和憲法」は世界の常識から大きく逸脱しています。

集団的自衛権は国連も認める権利で、小国への大国の侵攻を抑止する意味においても、むしろ集団的自衛権の放棄は軍事バランスを崩すという意味において好ましくありません。

■ 「アメリカの戦争に巻き込まれる」という改憲反対派の疑念 ■

「憲法を改正したらアメリカの戦争に日本が巻き込まれる」という疑念も尤もです。

湾岸戦争やイラク戦争において、アメリカの同盟国の多くが軍隊を派遣して戦闘に参加しています。一方、日本は湾岸戦争当時、莫大な戦費を負担こそしましたが、自衛隊の覇権は法的根拠が無い為に後方支援ですら派兵はしませんでした。

湾岸戦争当時、アメリカは大量の武器や軍事物資を運ぶ輸送船を探しており、日本の自衛隊にも要請があった様ですが、日本政府はこれを引き受ける事が出来ずにお金で解決して、世界の嘲笑を買いました。

しかし、アメリカが起こして来た戦争の多くは、アメリカの利益を守る事を目的としています。湾岸戦争やイラク戦争、リビアへの攻撃や、シリアのアサド政権への攻撃に正当性は皆無です。

さらに、これらの戦争の多くが中東地域で起きています。アメリカの独善的で欺瞞に満ちた戦争に自衛隊を中東まで派遣する事の正当性を立証する事は確かに無理があります。強いて挙げるならば、日本の原油輸入の中東地域の依存度が高い事でしょうか。石油戦略においてアメリカと袂を分かつ事が出来ない日本は、アメリカの中東戦略に従うしかありません。

■ 憲法改正などしなくとも戦争は出来る ■

憲法を改正しなければ日本は戦争出来ないのか・・・答えはNOです。

憲法を杓子定規に解釈すれば「自衛隊も違憲」となりますが、現在では共産党も社民党も自衛隊の存在を条件付きではありますが認めています。

憲法はその時代時代、状況によって「良いように拡大解釈」され、この「解釈改憲」によって安倍政権は集団的自衛権を閣議決定しています。憲法学的には明らかに「違憲」ですが、これは「集団的自衛権」が間違っているのではなく、日本の憲法9条が世界の常識からズレているだけです。このギャップを埋めるのが「解釈改憲」です。

もし仮に明日、北朝鮮が日本の領海内にミサイルを撃ち込んだら、安倍内閣は「緊急事態宣言」を発令し、自衛隊に応戦を命じるでしょう。一部の憲法学者達や時代遅れの左翼が「違憲だ!!」と騒いだ所で、国民の大多数は政権の決定を支持するはずです。

「違憲か合憲か?」などという問題は有事に際しては「禅問答」に過ぎないのです。

法治国家が徹底される西洋では、平和な時でも「憲法と現実の矛盾」を放置する事はありません。ですから欧米の国々では憲法は時代に合わせて何度も改憲されます。これによって憲法とそれに基づく種々の法律、そして現実とのギャップを常に解消しているのです。

一方、「法治」の習慣が定着していない日本では平和な時には「前例」が重んじられます。与えられた憲法であっても、決められた事をアグレッシブに変更する事を国民は好みません。

一方で「法治」が弱い国家では、法律は状況によって柔軟に解釈され、憲法と種々の法律の間に矛盾が生じても、それに拘る事はありません。「まあ、まあ、今はこういうご時世だから・・・」といった「空気」が全体のバランスを調整しているのです。

これは日本人が単一民族で、画一的な思考をし、そして「空気」に支配される国民だあるが故に成り立つ「日本独自の法体系」とも言えます。

ですから、仮に日本周辺で有事が発生した場合、憲法を改正しなくとも自衛隊は防衛的戦闘に即時に対応し、多少の現場の混乱はあるとしても、法解釈のグレーな部分は「集団の意思」によってクリアーされてゆくはずです。

■ 好むと好まざるに関わらず戦争は起きる ■

ここからは陰謀論的妄想です。

1)第二次世界大戦以降の戦争の原因は地政学的軋轢と、経済的理由で起きている。

2)世界的な経済危機(世界大恐慌やニクソンショック)の解決策として戦争が利用されている

3)経済の崩壊によって国内で不満が高まった時、戦争が起こされて来た

4)戦争によるインフラや古い製造設備の破壊は、新たな成長の原動力となている

5)政府債務が解消出来ない程膨らんだ時、戦争によるインフレの侵攻はこれを解消する手だてとなる。

6)国内的に大きな混乱が広がった時、「戦時体制」による国民の権利の制限は混乱の収拾に役立つ

7)中東地域などでは、資源を巡る代理戦争が起きやすい


およそ、以上の様な理由によって世界の経営者達は戦争を便利な道具として利用しています。それは過去に限った問題では無く、中東と東アジアの現在においても進行中です。

■ 火だけ付けて高見の見物を決め込むであろうアメリカ ■

北朝鮮を巡り緊迫が高まっていますが、アメリカが北朝鮮を挑発して暴走をけしかけている様にか見えません。

しかし、今は「ヤラセ」の危機でも、世界的な金融緩和バブルが弾けてトランプ政権が求心力を失う状況が発生すれば、「北朝鮮有事」のカードはいつでも切れる準備は整っています。

アメリカの戦力をすれば北朝鮮など速攻で無力化出来るはずですが、中国やロシアの存在によってアメリカは北朝鮮を政権崩壊させる事が出来ません。いえ、北朝鮮というバッファーはアメリカにとっても重要なのです。

一方で、在日米軍や在韓米軍基地は北朝鮮の弾道弾の餌食になる可能性が有りますから、米軍はフアム-ハワイ-オーストラリアのラインまで撤退します。沖縄の海兵隊のグアム移転は既に決まっていますし、日本政府はグアムの住宅整備やインフラ整備の資金を提供しています。

極東の米軍基地の重要性が減る一方で、前線での戦闘はは空母打撃軍と長距離爆撃機が担うはずです。中東での戦争と同様に、アメリカは地上戦を避け、爆撃に終始すると思われます。

こして、開戦当初こそアメリカは派手な軍事行動に出ると思われますが、その後戦闘が硬直化する過程で、日本や韓国、フィリピンやタイなどの集団安全保障に対応をゆだね、アメリカは北朝鮮。中国、ロシアと対峙しない様になるでしょう。


こうして、憲法を改正するしないに関わらず、自衛隊と日本は東アジアの新な安全保障体制の一翼を担う様になり、アメリカ製の武器をジャンジャン買わされる事になるのかも知れません。

但し、仮に中東有事が起こされたとして、その目的は「武器の販促」だけではありません。「新な冷戦構造」の構築こそが真の目的だと私は妄想しています。

そして、この危機を利用して基軸通貨制度にも変革が起こる・・・そう妄想しています。