<はじめに>
スマップ事件で「キムタクを叩くなら今だ」とばかり、マスコミが悪評ばかり書く『無限の住人』の実写版。原作ファンの私も「キムタク+三池監督」の組み合わせを知った時には愕然としたが、予告映像を観て、あまりにもキムタクが万次に見えたので、俄然興味が沸いた。
劇場に行ってビックリ。これは近年希に見るエンタテーメント時代劇の傑作では無いか・・。『るろうに剣心』なんて所詮はジャンプ漫画の実写版、お子様エンタメだと痛感する。但し、内容が内容だけに、原作ファンには評価は高いが、一般受けするかどうかは??
ただ、原作のかなりぶっ飛んだキャラを忠実に再現している辺り、ファンへのサービスと、そして海外受けを相当意識していると思われます。三池監督は海外では評価の高い監督ですし、キムタクもアジアではスター。
エンタテーメント作品で日本映画が海外と対等に渡り合える可能性が有るのは「時代劇」。日本的エキゾチズムとアクションが海外の映画ファンに受け入れられるかどうか、カンヌの評価を早く知りたい所。
血しぶきが飛び散る映像はグロですが、タランティーノ程は悪趣味では無い。「ストーリーが・・・」とか「情感が・・・」とか「時代考証が・・・」とか細かい事を気にすると難点も多い映画ですが、劇場で観て損は無い作品だと思います。
最後に原作を読みもしないで(読んでも一巻で投げ出すであろうが・・)、キムタク絡みで映画を批判しているマスコミの方々の猛省を促したい。あんたら、映画の事分かってないよね・・・。
ちなみに下記の紹介記事は『無限の住人』の漫画の巻末の原作者のお遊びページのパロディーで書いてみました。
いえねぇ、あたしはね、実はあんまり期待してなかったんですよ・・。
だって、キムタクと三池監督でしょう。
でもね、偽物だとしても百琳姉さんが出るとあっては、観ない訳にはいかないじゃねいですか。
で、どうだったかって・・・。
いぇねぇ、ちょっとビックリしたんですよ。
だって、キムタクが万次さんに見えるから・・・。
三池監督、相当『無限・・』がお好きみたいですね。いえ、ファンでしょう。
キムタクも原作を相当に読み込んでるんじゃないですかねぇ・・。
結局『無限・・』って、ぶった切って、掻っ捌いて、ぶっ刺す作品でしょう。
それで、斬られる万次が不死身だから、何回心臓を突かれ様が、
何回腕切り落とされようが、何回腹を掻っ捌かれようが死なない・・。
もう究極のSM,原作者の嗜虐趣味が全開じゃないですか。
そりゃ、佐村さんは頭が良いから、ストーリーや設定でカシコク見せてるけど、
そういうの削ぎ落したら、「ぶっ刺されて超イテェー」が全てでしょう。
頭良さそうに見えて、超オバカなのが『無限・・』だと思うんですよ・・・。
キムタクはどうかって・・・
いぇね、あたし、彼の事、ナメてました。
『夢でMORI MORI』でキックベースやってた小僧だって・・・。
悪く無いですよ・・いえ、かなりイイですよ。
動きとかも、万次さんらしい。走り方とかも凄くイイ。
でもねぇ、一番イイのは凜ちゃんやった杉咲花ちゃんだねぇ。
ああいう演技は役者には一生に一回した許されないんだろうねぇ。
『愛のむきだし』の 西島隆弘や 満島ひかりみたいだよ。
役創り以前の演技だけど・・一所懸命にやってたら凜ちゃんが憑依したって感じかね。
原作の凛ちゃんも一所懸命だったし・・・。
始めは杉咲花ちゃんの、鼻の下の皺ばかり気になったんだけど、
気が付いたら花ちゃんが凜ちゃんにしか見えなくなってたんだよ。
ベテランの俳優さん達も上手いねえ。
だけど、若手がダメだね。
特に天津影久の福士蒼汰の小物感がイケナイね。
でもね、一番ダメなのは戸田恵梨香だね。
あれは喋ったらダメだ。
尤も原作の槇絵もアクション最高だど、人物像は意味不明だから仕方無いか。
ただ、腰つきは槇絵っぽかった。最期に屋根から落ちる所なんか・・。華奢な感じがイイね。
尸良の市原隼人は好かったねえ。狂ったチンピラ感が良く出てたよ。
それと、閑馬永空の市川海老蔵。
原作でも最高にクズな斬り合いのシーンを本当にクズに演じてて凄いねえ。
でもね、残念なのは百琳姉の出番が少ないとこだよ。
嬲られてない百琳なんて・・・百琳姉さんじゃない。
で、誰が原作に一番似てるかって・・・「まこと」だね。もう「まこと」。
ああ、ついつい、しゃべり過ぎちゃった。
結局見るべきかどうかって?
万次さんの着物から獲物(武器)がグゥヮチャンって地面に落ちる所に感動しちゃうアンタは行くべきだろうねえ。
え、何言ってるか全然分かんないって?
そういうアンタは行かない方がいいねえ。
2時間以上、斬り合いと血しぶきを見せられるのは苦痛だよ。
それが『無限の住人』なんだけどね。
百琳姉さんの出番がねえ・・・少ないねえ・・・。
何だかんだ言ったってマンガは絵の上手さだ・・・・沙村広明 「無限の住人」 「人力でGO」 2011.10.13