アメリカと中国やロシアが敵対しているというのは「ポーズ」であって、裏ではズブズブの関係というのが陰謀論的世界観。
中国が米国債の買い入れを縮小、或いは停止すると発表していますが、「トランプの対中政策に対する嫌がらせ」と考えるのは短絡的で、実はこれはFRBの利上げ余地を確保する為の政策。
先日も記事にした様に、アメリカのイールドカーブはフラット化しており、長短金利が逆転すると景気後退の兆しとして、株式市場が反応する恐れがあります。
実際には米金利のフラット化は中長期までの米国債に世界の余剰資金が流入している為に長期側の金利が過剰に押し下げられた結果と私は妄想しています。その為にFRBは短期金利を押し上げる政策金利の引き上げ余地が減らされています。
そこで中国が助け船を出したというのが、今回の中国の米国債買い入れの縮小の発表でしょう。これで長期側の金利がポンと上がります。
中国が敵に塩を送った様にも見えますが、世界経済は一蓮托生ですから、長短金利の逆転によって現在の世界的バブルが崩壊する事を事前に防いだと私は見ています。
一方で、バブルがさらに温存される事で、バブル崩壊の威力はさらに強まります。最終的にはドル基軸体制の信用崩壊にも繋がりかねず、ドル後の世界を淡々を狙う中国には都合の良い結果を招く可能性が高まります。
アメリカの衰退と中国の台頭が、世界の経営者の描くシナリオならば、しばらくは現在のバブルはさらに膨らみ続け、最後に大爆発で現在の通貨システムや金融システムを破壊する事でしょう。
そのエネルギーが18年度中に溜まるのか、それとも、さらに来年以降までバブルが継続するのかが市場関係者の注目する所ですが、モルガンスタンレーがジャンク債を全て売り払うなど、米金融機関はバブル崩壊の臨戦態勢に入って来ている様です。
冬のオリンピック、天皇の退位、新天皇の即位、東京オリンピックのカウントダウンと、日本人の目は世界と別の所に注がれそうですが、米国債金利の動きには要注意です。