■ 実はどこもヤバイ日本の金融機関 ■
低金利を背景に経営状況の思わしく無い企業も低金利でジャンク債を発行出来たり、リスクのあるローンを安い金利で組む事が可能になっています。
投資銀行は、これらのリスクの高い債券を、証券化する事で投資信託に組み込んだり、CLO(ローン担保証券)として世界中に売りさばいています。これはリーマンショックの原因になったサブプライム層へのローンをMBL(住宅担保証券)に加工して売りさばいた時と同じ状況ですが、これらの残高はリーマンショック前に迫る規模に拡大しています。
FRBやIMFはCLOの増大に警鐘を鳴らし、金融庁も日本の金融機関のCLOの保有量の実体調査をしています。農林中金やゆうちょ銀行、そして三菱東京UFJを始めとするメガバンクの保有量は相当膨らんでいます。
農林中金はCLO市場でも、ジャンク債市場でもメインプレーヤーです。昨年12月にジャンク債の新規発行が止まりましたが、農林中金が購入を控え為。
ジャンク債もCLOも昨年末頃にはリスクの拡大が意識されましたが、FRBの利下げによって金利水準が下がったので、投資家は金利を求めてジャンク債市場やCLO市場に舞い戻っています。
アメリカの投資銀行など大手金融機関が徐々にリスクを減らす一方で、金利の低い日本やヨーロッパの金融機関がリスクを拡大し続けています。その筆頭が経営が危ぶまれているドイツ銀行。デリバティブ残高は、ドイツ銀行だけで実に7000兆円に近い。
■ リーマンショックよりも平成のバブル崩壊に近い日本の金融機関 ■
「次なる金融危機が訪れてもリーマンショック程度だろう・・・」そう考えている方は多いと思います。正社員の方々は「多少、売り上げが落ちて経費がキビシクなるけど、リストラは無いだろう」と思っている方も多いかと。
リーマンショックの時に日本の金融機関は、日本国債を中心に資金を運用していたので、大した被害が有りませんでした。しかし、日銀の金融緩和以降、海外投資が急拡大しています。安全資産とされる米国債ですら、急激な円高が発生すれば大きな為替差損を被る。さらにはジャンク債やCLOに至っては目も当てられない状況になります。
日本国内でバブルが発生していないからといって安心は出来ません。むしろ、もっと危険な状況なっています。
■ FRBの利下げによってリスクが高まる世界 ■
米経済の減速懸念で利下げに追い込まれたFRBですが、市場はこれを好感してリスクを拡大し続けています。ダウは最高値を更新し、日経平均も一見底堅い。
ところが、これらの高値を支えているのは、リスクを度外視して金利に飢えた緩和マネーですから、WeWorkを例に取るまでも無く、バブルが発生している事は明らかです。いえ、最早破裂寸前でしょう。
WeWorkに限らず、アメリカの企業は少なからず「借り換え金利の安さ」や、「社債発行金利の安さ」に支えられています。シェール企業を初め、小売業や不動産業など「ゾンビ企業」が沢山生まれています。
仮にアメリカで景気後退が顕著になって、経営が行き詰まる企業が増えて来ると、ジャンク債金利が急上昇し始め、金融機関もゾンビ企業への融資を渋る様になります。こうなると「The END」です。
ジャンク債やBB格などジャンク債並みの信用力しな無い債券が暴落し始め、CLOの中にも不良債権を含むものが増えて来ます。そして、これらの債券を含んだ金融商品が暴落する。まさにサブプライムショックと同じ状況です。
■ FRBの金利据え置きが引き金? ■
現状FRBは市場の空気を読んで金利を徐々に引き下げています。市場はFRBに相場から金利引き下げの圧力を掛け、そして金利引き下げを織り込んで動いています。
では、市場の予測に反してFRBが金利を据え置く決定をした時はどうなるのか・・・多分、驚いた市場は一気にリスクオフを加速させ、株価が下落し、債券も大きく値を下げます(債権金利は上昇)。
ここまでも市場は織り込んでいますが、下落幅が予想を上回る事になれば、一気にパニックが拡大してバブルが弾けます。
バブル末期は「もうダメかも知れない」という思いと「まだまだ行ける」という思いが交錯しますから、相場はピーキーに乱高下します。これを何度か繰り返した後、バブルは何かを切っ掛けに弾けるのです。
この「切っ掛け」を予測する事は難しいので、相場の動きが激しくなったら、リスク性の資産を手仕舞いする事が肝要です。例えば投資信託であるとか、元本が保証されない個人年金など、一般の方もリスク性資産を保有している事に注意して下さい。
尤も、通貨の信用や、国債の信用にまで疑問を持たれる様な事態になれば、銀行預金だって危ない。取り合えず、ペイオフの範囲外の資金は貸金庫にでも仕舞っておいた方が安心でしょう。特に農林中金とか・・・ゆうちょ銀行とか・・・みずほ銀行とか・・・・弱小地銀とか・・・。