人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

バブルの終焉の足音・・・個人が抱えるリスク

2019-10-25 05:21:00 | 時事/金融危機
 

■ 実はどこもヤバイ日本の金融機関 ■

低金利を背景に経営状況の思わしく無い企業も低金利でジャンク債を発行出来たり、リスクのあるローンを安い金利で組む事が可能になっています。

投資銀行は、これらのリスクの高い債券を、証券化する事で投資信託に組み込んだり、CLO(ローン担保証券)として世界中に売りさばいています。これはリーマンショックの原因になったサブプライム層へのローンをMBL(住宅担保証券)に加工して売りさばいた時と同じ状況ですが、これらの残高はリーマンショック前に迫る規模に拡大しています。

FRBやIMFはCLOの増大に警鐘を鳴らし、金融庁も日本の金融機関のCLOの保有量の実体調査をしています。農林中金やゆうちょ銀行、そして三菱東京UFJを始めとするメガバンクの保有量は相当膨らんでいます。

農林中金はCLO市場でも、ジャンク債市場でもメインプレーヤーです。昨年12月にジャンク債の新規発行が止まりましたが、農林中金が購入を控え為。

ジャンク債もCLOも昨年末頃にはリスクの拡大が意識されましたが、FRBの利下げによって金利水準が下がったので、投資家は金利を求めてジャンク債市場やCLO市場に舞い戻っています。

アメリカの投資銀行など大手金融機関が徐々にリスクを減らす一方で、金利の低い日本やヨーロッパの金融機関がリスクを拡大し続けています。その筆頭が経営が危ぶまれているドイツ銀行。デリバティブ残高は、ドイツ銀行だけで実に7000兆円に近い。

■ リーマンショックよりも平成のバブル崩壊に近い日本の金融機関 ■

「次なる金融危機が訪れてもリーマンショック程度だろう・・・」そう考えている方は多いと思います。正社員の方々は「多少、売り上げが落ちて経費がキビシクなるけど、リストラは無いだろう」と思っている方も多いかと。

リーマンショックの時に日本の金融機関は、日本国債を中心に資金を運用していたので、大した被害が有りませんでした。しかし、日銀の金融緩和以降、海外投資が急拡大しています。安全資産とされる米国債ですら、急激な円高が発生すれば大きな為替差損を被る。さらにはジャンク債やCLOに至っては目も当てられない状況になります。

日本国内でバブルが発生していないからといって安心は出来ません。むしろ、もっと危険な状況なっています。

■ FRBの利下げによってリスクが高まる世界 ■

米経済の減速懸念で利下げに追い込まれたFRBですが、市場はこれを好感してリスクを拡大し続けています。ダウは最高値を更新し、日経平均も一見底堅い。

ところが、これらの高値を支えているのは、リスクを度外視して金利に飢えた緩和マネーですから、WeWorkを例に取るまでも無く、バブルが発生している事は明らかです。いえ、最早破裂寸前でしょう。

WeWorkに限らず、アメリカの企業は少なからず「借り換え金利の安さ」や、「社債発行金利の安さ」に支えられています。シェール企業を初め、小売業や不動産業など「ゾンビ企業」が沢山生まれています。

仮にアメリカで景気後退が顕著になって、経営が行き詰まる企業が増えて来ると、ジャンク債金利が急上昇し始め、金融機関もゾンビ企業への融資を渋る様になります。こうなると「The END」です。

ジャンク債やBB格などジャンク債並みの信用力しな無い債券が暴落し始め、CLOの中にも不良債権を含むものが増えて来ます。そして、これらの債券を含んだ金融商品が暴落する。まさにサブプライムショックと同じ状況です。

■ FRBの金利据え置きが引き金? ■

現状FRBは市場の空気を読んで金利を徐々に引き下げています。市場はFRBに相場から金利引き下げの圧力を掛け、そして金利引き下げを織り込んで動いています。

では、市場の予測に反してFRBが金利を据え置く決定をした時はどうなるのか・・・多分、驚いた市場は一気にリスクオフを加速させ、株価が下落し、債券も大きく値を下げます(債権金利は上昇)。

ここまでも市場は織り込んでいますが、下落幅が予想を上回る事になれば、一気にパニックが拡大してバブルが弾けます。

バブル末期は「もうダメかも知れない」という思いと「まだまだ行ける」という思いが交錯しますから、相場はピーキーに乱高下します。これを何度か繰り返した後、バブルは何かを切っ掛けに弾けるのです。

この「切っ掛け」を予測する事は難しいので、相場の動きが激しくなったら、リスク性の資産を手仕舞いする事が肝要です。例えば投資信託であるとか、元本が保証されない個人年金など、一般の方もリスク性資産を保有している事に注意して下さい。

尤も、通貨の信用や、国債の信用にまで疑問を持たれる様な事態になれば、銀行預金だって危ない。取り合えず、ペイオフの範囲外の資金は貸金庫にでも仕舞っておいた方が安心でしょう。特に農林中金とか・・・ゆうちょ銀行とか・・・みずほ銀行とか・・・・弱小地銀とか・・・。

金融緩和最終章・・・ソフトバンクはそろそろヤバイ

2019-10-25 03:44:00 | 時事/金融危機
 

■ ソフトバンクがWeWorkの経営権を取得 ■

先日、日本ではソフトバンクがZoZoを買収して話題になりましたが、アメリカではソフトバンクがシェアオフィスを手掛けるベンチャー企業のWeWorkの経営権を取得して話題になっています。

WeWorkは2010年に創業されたレンタルオフィス企業ですが、次々と不動産を購入してオシャレなシェアオフィスを作って生長して来ました。ナスダックに上場予定で、時価総額は一時は470億ドル(5兆円)にまで達しました。

ところが、WeWorkの経営は赤字経営が続いており、とても時価総額5兆円などという優良企業ではありません。では何故、こんなに株価が上昇してしまったのか・・・。それはソフトバンクのビジョンファンド(SVF)が多くの株を買っていたからです。

WeWorkの株は直近では下落を続け、ナスダックへの公開も延期され、運営資金にも行き詰まり不動産を売却して凌ぐ状態に。そこでソフトバンクが40億から50億ドル(約4300億円〜5400億円)を今後出資する事で経営権の8割をソフトバンクに譲り渡す事になりました。

現在の評価額は75億ドル(約8100億円)の評価額まで下落しています。


■ 典型的な不動産バブルのWeWork ■

WeWorkを創設したアダム・ニューマンはカリスマ的な経営者で、多くの資金を集めてWeWorkを急成長させましが、事業の実体は「レンタルオフィス=不動産業」ですから、それ程革新的なビジネスではありません。

そんなビジネスが急成長した背景は、世界的な金融緩和による「カネ余り」です。世界にジャブジャブ溢れる緩和マネーは金利に飢えています。しかし、金融緩和による金利低下によって、安全な投資ではまともな金利が得られなくなっています。

先日発行されたトヨタ自動車の社債は金利が0%ですが、それでも投資家が買うという異常な状態が日本のみならず世界中で発生しています。

ですから、アダム・ニューマンの様な「詐欺師」が、カッコ良いプレゼンをすると簡単に資金が集まって来る。そしてビジネスが拡大すると、さらに資金が集まる事で単なる不動産ビジネスが、何か凄いビジョンでも持っていると錯覚される様ななります。

1) カッコ良いビルを建てて注目を浴びる
2) 資金が集まって来る
3) 又、カッコ良いビルを建てる
4) さらなる資金が集まる

この循環で急成長したのがWeWorkですが・・・これ、日本の不動産バブルと同じですね。あの頃もデベロッパーが新進の建築家達に奇抜なビルを設計させて事業を急拡大させまました。
バブルが弾けた後は、「バブルの墓標」としてしばらく入居者も無いままに残っていたヘンテコなデザインのビルも、今では取り壊されたものも多く、あまり見かけなくなりました。

ソフトバンクは1兆円の追加出資でWeWorkを手に入れた訳で、一見お買い得に見えますが、WeWorkがかつての日本のバブル期のデベロッパーに等しい事を考えると、単に「ババを引かされた」事になります。WeWorkの借り入れは巨額ですから、いつまで経っても経営が黒字化する事は無いでしょう。そのうち金融緩和バブルが弾けて、オフィス需要も急激に減少するので、その先は・・・・。

■ ソフトバンクの快進撃は終わろうとしている ■

10兆円ファンドを立ち上げるなど、孫社長とソフトバンクは「投資家」として世界の注目を集めていました。

IT系のベンチャー企業を中心に巨額投資を繰り返していましたが、これらの資金が一部企業の株価を吊り上げています。これはソフトバンクのファンドに限らず、世界中の投資家が同じ様な投資行動をしているので、ダウの2万7千ドルなどというのは、まさにバブルの産物なのです。

ソフトバンクは米携帯電話会社のプリンストネクステル社の買収で失敗し、インドなどのベンチャー企業の投資で失敗し、3兆円で買収したARM社の経営も赤字。

ARM社はモバイル機器などの小型省エネCPUの設計会社でシェアも高いのですが、ソフトバンクが買収した2016年から赤字が拡大しています。表向きは「研究開発の投資を拡大しているから」となっていますが、競争の激しいこの分野で優位性を失えば経営は一気に悪化します。だから巨額投資をし続ける必要があるのですが売り上げの伸びがそれに伴っていません。

■ ZoZoなどバブルの墓標のコレクターとなりつつあるソフトバンク ■

ZOZOも典型的なバブル企業です。

ブランド品がお店よりも安く買えるから人気を集めたZOZOですが、客が実店でサイズやデザインを見た後にZOZOで購入したのでは、ブランドの収益が減少します。(ZOZOへの手数料も掛かるので)。

ファッションのネット通販で独り勝ちの状態は、そう長くは続きません。大手ブランドや、百貨店などが独自のネット通販ルートを構築すれば、ZOZOから魅力的なアイテムが減ってゆきます。気づけば安物ファッションしか残らない・・・そんな状態になるかも知れません。

AI関連の投資も非常に危ない。現在は何度目かの「AIバブル」が起きていますが、AIが人の能力を超えるまでには、まだまだ時間が掛かります。最近は色々な商品やサービスに「AI」という文字が入っていますが、「ナンチャッテAI]に過ぎません。AIが大きな利益を生み出すまでには、まだまだ巨額の投資と技術開発が必用ですが、金融バブルが崩壊すると資金調達が難しくなり、倒産するベンチャー企業が続出します。

この様にベンチャー企業への投資で成長して来たソフトバンクですが、緩和バブルが弾けて資金循環が一転すると「バブルの墓標のコレクター」になってしまいます。

いえ、ソフトバンク自体が墓標と化す可能性が高い。

■ ソフトバンクの社債はジャンク債 ■

金利の低い日本ではソフトバンクの個人向け社債が人気です。最近発行された個人向け社債は金利は1.38%で過去4年間で最低です。

ところでソフトバンクの、米格付け機関S&Pの格付けをご存じでしょうか?「BB+」です。これ「投資不適格」とか「投機的」と呼ばれる格付けです。理由は「財務状況に問題が有り、債務不履行の可能性が有る」から。(日本の格付機関はA-で投資適格。お手盛りですね)

要はソフトバンクの社債は「ジャンク債」なので、普通ならば金利は5%以上で無ければ怖くて手が出せない代物です。そんな社債を個人に1.38%の金利で売り出し、それが飛ぶように売れるのですから・・・ゼロ金利の世界って怖いんです。


■ ソフトバンクと心中するみずほ銀行 ■

日本の金融機関はソフトバンクに巨額の融資をしていますが、その筆頭がみずほ銀行です。

「自転車操業」のソフトバンクですが、自転車は走り続けていないと倒れてしまいます。ですから巨額の融資残高を抱える みずほ銀行は、何が何でもソフトバンクに走り続けていてもらわないと困る。だから巨額融資を続けています。

これ、ソフトバンクにもしもの事があれば、みずほ銀行も巨額損失を抱える事になります。ソフトバンクに何かがある時は「金融緩和バブルが弾ける」時ですから、損失はソフトバンクだけに限りません。日本のメガバンクは各社、日本の低金利によってかなり危険な海外投資を拡大して来ましたが、みずほ銀行はちょっとヤバイかも知れません。

仮にみずほ銀行が債務超過に陥らずとも、「ソフトバンクがヤバイ=みずほがヤバイ」という認識が広がると、預金などが引き出され、みずほ銀行の経営が急激に悪化する可能性は低くありません。

まあ妄想ですが。