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UBER EATS ・・・ 面白いけど怖くもある

2019-11-15 04:36:00 | 時事/金融危機
 



■ 最近よく見かける 「UBER EATS」って何? ■

最近、「UBER EATS」と書かれた、大きな四角いリュックサックを背負った自転車を街中で良く見かけます。

アメリカ生まれの配車サービス「UBER」の出前サービスという事は知っていましたが、出前ニーズってそんなに日本で有るの??そう思っていましたが、日ましに増殖する配達員からすると、潜在ニーズは高かったと言えます。

「UBER」はオンデマンド・ビジネスなどと呼ばれ、スマホアプリでサービスの提供者(運転手や配達員)と利用者(乗客や、飲食店とその客)をマッチングするビジネスです。

1) UBERはシステムを提供するだけで車などの初期投資や人件費が掛からない

2) システム利用者(運転手や配達員)は余暇時間を利用して稼げる
3) システム利用者は車や自転車(そして体力)などの資産を有効利用できる

4) 飲食店は配達員の人件費や、配達用の車両などの費用が不要

「Win-Winのビジネス」などと良く言われますが、まさにその典型の様にも思えます。

■ 飲食店は儲かるのか? ■

ところでUBERに手数料を払って飲食店は儲かるのでしょうか?ネットで調べてみました。

1) 手数料は総売り上げの35%(例えば1000円の売り上げで350円)
2) 原価率が40%だとすると250円が粗利
3) 梱包費が10%掛かるとすると150が利益

これだけ見ると・・・・あまり儲からない様に思えます。
そこで、多くの店舗では「UBER EATS」を別料金に設定して10%程、店での飲食よりも価格を高くしている様です。

店側のメリットとしては、人件費を増やさずに確実に収益をアップできるので、例え利益が少なくとも、赤字にはなりません。

1) 店舗の家賃や、厨房設備の償却費は変わらない
2) 人件費も変わらない
3) これらの資源を有効活用できる

4) 少し離れた場所の客を取り込む事が出来る
5) 新規顧客の開拓に繋がる

あまりに注文が多くて店の人員を増やして逆に赤字になる様なケースを除けば、以外に店舗側には利益の有るサービスの様です。


■ 配達員は儲かるのか? ■

配達員が増えているという事は、外のバイトに比べて儲かるのでしょうか?

配達員の報酬は、自給にして800円~2000円だとネットに書かれています。

1)配達距離に応じて報酬が変わる
2)5分以内で400円~500円、20分以内で600円~800円
3)店から配達先までの距離で報酬が決まる

4)オーダーが集中する時間帯は「ブースト」と言って報酬が上乗せされる
5)「土日インセ」とか「雨の日インセ」と言った発追加報酬「クエスト」が不定期に発生

6)1日ガッツリ働いて2万円~1万円の稼ぎ

まさにゲーム感覚で報酬をゲットする事が出来るので、仕事をしているというよりも、ゲームを攻略している感覚に近いのかも知れません。


マッチングビジネスとしても良く出来ています。

1) 配達員の多い時間帯は報酬は少な目
2) 雨の日や土日など、配達員の少ない曜日や時間帯は報酬が多め
3) 注文の多い時間帯は報酬は高め
4) 交通が混雑する地域では報酬は高め

多く稼いでいる配達員は、店までの移動に5分以上掛かるオーダーはスルーして、効率を上げている様です。もちろん、何回も配達する方が儲かりますから、配達時間もなるべく短縮する様に工夫します。

■ 危険な配達員 ■

「UBER EATS]の配達員が信号無視をする現場を住宅地では良く見かけます。配達時間を短縮する為です。

ネットで検索すると、配達員の車との接触事故や、歩行者や自転車との接触事故が多く取り上げられています。

1) 配達員は事故を起こした場合、UBERで加入する保険では対物と対人だけが適用
2) 配達員の怪我の保障は自己責任か自分の保険を利用
3) 被害者との交渉は配達員が行い、本部は関与しない(配達員は個人事業者扱い)
4) 交渉がまとまるまでUBERのアカウントは凍結される


「ブースト」や「クエスト」によって、配達員の「インセンティブ」を高めているので、配達員の中には、時間を短縮する為に交通ルールを破る人も多く、事故の危険性も高まります。

一方で、「個人事業者としての業務委託」ですから、リスクはほとんど配達員の自己責任とされています。

一見「Win-Win]に見えるUBERと配達員の関係ですが、その実態は、リスクを一方的に配達員に押し付けられた「弱者ビジネス」です。

■ 利用者のリスク ■

実は「UBER EATS」の利用者からも「怖い」という意見が上っています。

1) 女性の自宅を配達員に知られる 
2) 遅配でも返金されない
3) 注文した品が足りない

酷い例では、遅配した上に、商品のスープがこぼれていて、客が受け取りを拒否したら、マンションの通路に商品を捨てられた・・・なんてケースも。

さらに、女性に暴行を働いた犯人が、UBER EATSの配達中に女性を物色していたという犯罪まで起きています。

「女性の自宅を知られる」などというリスクは、全ての配送に当てはまる訳でですが、「企業の配送員」は「会社としての責任」を背負っています。又、会社も配送員の行為に対して責任を負います。

しかし、「UBER EATS」は、トラブルに対して一切の責任を負いません。配達員が顧客とのトラブルを解決する事が原則となっているからです。こんなシステムの配達員を信用出来るかと言えば、私はちょっと怖い。

■ AI時代の人の働く姿を先取りしている・・・ ■

配車サービスの「UBER]も、「UBER EATS]も、事業者が資産を持たず、人を雇用せず、「ニーズのマッチング」を行う事で利益を上げるビジネスです。会社は「使い易く、効率的なアプリ」を開発する事を生業とします。

会社としての売り上げを上げる為には、配車は配達の時間を短縮し、料金を下げる事にインセンティブが働きます。そして、それがシェアや市場の拡大に繋がる。

マッチングの作業自体はソフトウェアで自動化されています。はっきり言って「機械に人が使役されている」。これはAmazonの倉庫も同じと言えます。

今後、AIの進化によって「ソフトウェアの効率化」など「頭脳労働」はAIが担当し、肉体労働を人が担当するビジネスが増えて来るでしょう。


■ 機械と人の競争 ■

配車サービスのUBERにしても、UBER EATSにしても、運転手や配達員は利益を生み出す「道具」であると同時に「コスト」でも有ります。

例えば自動運転が普及した場合、運転手は不要になります。必用なのは車の保有者。又、ドローンが人よりも安く早く配達をこなせる場合は、配達員は不要になります。AMAZONでもUBERでもドローンの活用が本気で検討されています。

ドローンが空を飛び交う時代がやて来た場合、配達員のニーズはドローンで配達出来ない場所に限定されて行きます。例えば、ドローンの飛行禁止区域や、込み入っていてドローンが飛びにくい場所などです。(日本では電線がドローンの邪魔をしそうです)


■ 気楽に働いていたら将来は真っ暗・・・・ ■

「余暇を使って稼げる」「ゲーム感覚で稼げる」・・・・一見、若者には魅力的な働き方ですが、それによって得られるスキルは殆ど在りません。自転車を漕いで、健康になる程度。

一方で、交通事故などのリスクは少なく有りません。自転車好きが高じてメッセンジャーをやっていらしゃる方は多いですが、彼らは事故と隣り合わせである事に自覚的です。雨の日の危険性も熟知していて、それでも事故を起こす。

「UBER EATS」の配達員の交通ルールへの配慮は、メッセンジャーの方達に比べて圧倒的に低い。ママチャリでノンビリ配達する場合は、それ程危険は無いかも知れませんが、スポーツ自転車で都内を走る危険性を彼らがどれだけ理解しているか疑問です。


コンビニの店員が外国人に置き換わる一方で、「UBER EATS」の日本人の配達員が増殖している・・・。接客業という意味においては、コンビニの店員の方がスキルアップに繋がる気もします。

「UBER EATS」の配達員のネットの書き込みなどを見ると、「配達先でありがとうと言われるのが嬉しい」などと書かれています。確かにコンビニの店員に「ありがとう」と言う人は殆ど居ません。(私は言いますよ。特に外国人の方は対応が気持ちが良いので)

仕事の何に「やりがい」を見出すのかは人それぞれですが・・・「苦労の無い仕事」の先に明るい未来は転がってはいないのでは無いか・・・・。そんな心配をしてしまう今日この頃です。


<追記>

本日の記事は「UBER EATS」の配達員にちょっと辛めですが・・・・てめぇーらー交通ルールを守りやがれ!!・・・・・これが言いたかった!!