
■ 急上昇する米国債金利 ■
直近の米国債金利(10年債)の最高金利は2018年の10月、金利は3.14%だった。
このと時期、ジャンク債金利が上昇したり、CLO市場に危機感が走ったりと、弱い市場から崩壊するかと思われましたが、FRBがテーパリングを諦める事で、市場は落ち着きを取り戻しました。
米国合金利の3%越えというのは、市場のボーダーラインとして意識されていると思いますが、4月1日の米10年債金利が2.597%となり、上昇率も高まっています。
コロナによるサプライチェーンの悪化、コロナによって国民にバラまかれたマネーで上昇し始めたインフレ率ですが、ウクライナ戦争によるエネルギー価格の上昇によって、インフレ率も急上昇しています。米露の対立はしばらく続くと予測されるので、エネルギーコストは高止まりすると市場は予測して米10年債の金利も急上昇しています。
そろそそ、各市場にも2018年当時同様に警戒感が広がるはずです。
■ 借金は踏み倒した時に利益が確定する? ■
私達は大小幾つかのバブルの崩壊を経験しています。
「バブルの崩壊=過剰債務の解消」
上記の様に考えた時に「過剰債務の解消」とはどの様に行われるのか考えてみます。
銀行は民間の信用創造を担っています。銀行は信用創造によって作り出したお金を民間に貸し出します。この貸出が過剰に膨れ上がるとバブルとなります。
バブルが崩壊では無く適正に解消される為には、債務が返済される必要があります。債務者は投資ポジションを解消して債務を返済する必要がある。しかし、市場価格はバブルによって過大評価されていますから、資産の売却が進むと、市場価格が大きく崩れます。こうして「資産売却によって返済されるハズの債務(お金)が銀行の元に戻らなくなります」。これが不良債権となりますが。
ところで、不良債権となった資金はどこに行ったのでしょう?借金を踏み倒した本人がどこかに隠し持っていない限り、誰かのポケットに入っています。誰かとは、バブルを仕掛けて、いち早く利確して売り抜けた人を差します。
バブルが弾けて不良債権化して資金の量だけ、誰かが得をしているのです。
■ 国家が借金を踏み倒したら誰が得をするの? ■
最近の金利上昇で黒田日銀総裁が非難され始めていますが、国債のデフォルトは国家の借金の踏み倒しと言えます。(日本は内国債なのでデフォルトはしませんが)
仮に、このままアメリカの米国債金利の上昇を抑える事が出来ずに、アメリカが米国債のデフォルトを宣言したとします。(ロシアや南米諸国では日常茶飯事)
これは国家による借金の踏み倒しですが、発行されたドルは誰かのポケットに既に収まっている。しかし、民間の信用創造と違い、国家のデフォルト宣言によって、その国の通貨は為替市場で暴落し、価値を失います。輸入大国アメリカでは輸入価格がうなぎ上りになって国民の生活は破綻します。
民間のデフォルトでは誰かが得をしますが、国家のデフォルトでは、その国の通貨を保有していては逃げようが有りません。そこで、その前にその国の通貨を売り抜けて、他国の通貨や、金など現物資産で価値を保存した人が勝ち組となります。このケースではドル自体が投資対象とも言えます。
ちなみに現在の過剰債務はドルに積み上がっている事に注目すべきでしょう。ドルを早く手放した者が勝ち組になる可能性が高い。
■ ロシアはルーブルを金と資源にペッグさせた ■
ウクライナ戦争でルーブルが一時暴落しましたが、再び値を戻しています。ロシア中央銀行はルーブルの金兌換を6日前に発表しています。
さらにロシアは原油やガスの輸出代金をルーブルで支払う事を要求しています。これはドルの価値を原油が裏付けていると同様に、資源にルーブルの価値をペッグする事を意味しています。
ルーブルは紙のお金を止めて「金と資源にペッグした通貨」となった事で価値を回復したのです。
実際にあはロシアは未だドルで資源の輸出代金を受け取っていますが(何故かロシアは「SWIFT」から締め出されたハズなのに、幾つかの銀行は「SWIFT」から除外されずに輸出代金を受け取れる)、徐々にルーブル支払いが増えて行くでしょう。
ロシアから資源を輸入する国は手元にルーブルが無いと資源を買えないので、為替市場でのルーブルの価値が高まります。
■ ペトロダラーへの挑戦は国家の破滅そ意味する? ■
ニクソンショックで金兌換を停止したドルは、「石油が買える=石油兌換通貨」(ペトロダラー)として、その価値を保ちました。
アメリカは石油決済にドル以外の通貨を認めた産油国を許さない。ユーロで支払いを認めるイランやイラク、アフリカの共通通貨のディナールを模索したリビアは、米国の攻撃に晒されています。カダフィーやフセインは排除された。
ロシアは資源のルーブル決済を実行する事でペトロダラーの脅威となっていますが、アメリカと言えども大量の核兵器を保有し「狂人?のプーチン」が支配するロシアを正面から攻める訳には行きません。
一方で、この機に乗じてサウジアラビアが元による原油の決済を検討し始めるなど、アメリカの傀儡と思われていた国からもドルに対する揺さぶりが始まっています。尤も、サウジアラビアは自国通貨をドルにペッグさせているので、これを解除しないとドルの道連れになりますので、どこかでドルペッグに見切りを付けるハズです。
アメリカが声高にロシアへの経済制裁を叫ぶ一方で、ロシアの輸出のドル決済を見逃しているのは、ここら辺の微妙なバランスもあるのかも知れません。アメリカと対立する国々のドル離れをどうにかして防ぎたい。
■ ルーブル・元・ルピー ■
今回のウクライナ戦争で、ロシアと中国、そしてインドが結び付きを深めています。共に巨大な資源と生産力、そして消費を抱える国々です。この三国だけで「小さな世界」として完結します。
アメリカはロシアを支援する国として中国やインドにも経済制裁を掛ける事を検討していますが、アメリカがこれらの国に制裁を掛ければ掛ける程、これらの国の関係が深まります。
そして、巨大な成長力を持つ「中露印」を世界は無視出来なくなる。仮にこれらの国が共通通貨を作って、そのによる貿易決済を要求したら、世界はそれを無視出来ません。
■ ドル離れを促している様にしか見えないアメリカ ■
過去にアメリカは「ペトロダラー」に対抗する国は容赦無く叩き潰して来ました。
しかし、今回のウクライナ戦争は、ロシアや中国やインドという大国のドル離れを促している様にしか見えません。何故なら、これらの大国が結託すれば、アメリカと言えども戦争をする事が出来ないから。それなのに、アメリカはロシアや中国やインドを必要以上に挑発しています。
田中宇氏なら「隠れ多極主義」と表現するのも知れません。私にもバイデンとプーチンは阿吽の呼吸で動いている様に見えます。
アメリカやロシアのプロパガンダばかりが目立つウクライナ戦争ですが、どうも「ヤラセの戦争」にしか見えないのは、陰謀脳が原因なのか・・・実際にヤラセなのか・・・・。
因みに、商店を略奪するロシア兵の監視カメラの映像や、ロシア兵の携帯電話の通話の傍受などが報道されていますが、あんなものは幾らでも捏造出来ます。別にロシアを擁護する訳ではありませんが、PR会社が多数参加する今回の戦争では、何が真実で何が嘘か見抜く事が難しい。そして、私は戦争すらもフェイクだと疑っています。
人々が大勢亡くなっているににフェイクとは何事だとお叱りを受けると思いますが、陰謀論的には「第二次世界大戦もフェイク」だったというのが通説です。今回はヒットラーの役をプーチンが演じ、ナチスが適役になるという配役の違いこそ有りますが・・・・。