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鍛冶屋さんの質問へのお答え

2022-04-14 05:36:00 | 時事/金融危機
前回記事の鍛治屋。さんのコメントにお答えしていたら、例によって1000文字を越えてしまったので、記事にて回答致します。


鍛冶屋。 さん

今年は桜が咲いてから寒の戻りがあったので、2週間程度、桜を楽しむ事が出来ました。

MMT派の誤解の解説を、先日池田信夫氏がブログで解説されていました。私よりもスッキリと説明されていました。

結局、国債を日銀が買い取ると、政府の負債が日銀の当座預金という日銀の負債に変わり、そこには金利負担が発生する。今までの様なゼロ金利やマイナス金利なら問題が無かったが、インフレによってゼロ金利が維持出来なくなると、日銀の金利負担が増大し始めます。

ダイアモンドオンラインの無料部分からの引用。

「日銀が2020年11月に発表した2020年度上半期決算によれば、2020年9月末時点で日銀が保有する国債の加重平均利回りはわずか0.214%、他の資産を合わせた運用資産合計では0.198%しかない。これは、日銀が短期金利をわずか0.2%に引き上げ誘導するだけで、負債サイドにある当座預金への付利の水準(0.2%)が、資産サイドの国債などの加重平均利回り(0.198%)を上回り、「逆ざや」に転じることを意味する。」

引用終わり

ここから先は意見の分かれる所と思いますが、通貨発行権のある日銀が日銀当座預金の金利上昇や、国債の下落で債務超過に陥る事があるのか?

民間銀行が債務超過に陥った際には、自己資本を増強する必要が有ります。一般的には政府が資本注入するか、株式を発行して他の銀行がこれを購入する形が取られます。前者はバブル崩壊後の日本の銀行や、リーマンショック後のアメリカの民間銀行。後者はモルガンスタンレーを三菱UFJが救済したスキーム。

では日銀の資本増強はどうするのでしょうか?通貨発行権を持つ日銀とて、勝手に通貨を発行して自分で自分の自己資本を増強する事には問題が有るでしょう。それこそ、通貨は無から生まれる紙切れだと自ら宣言する様なものですから円の信用が一気に薄れます。

政府が国債を発行して資本注入するというのが一般的でしょう。日銀が株式を発行して民間銀行が買うか・・・これは日銀の独立性から考えれば無いのでは?

リーマンショック後にアメリカでは1兆ドルのプラチナコインを政府が発行して、FRBにこれを買い取らせて政府が資金調達する案が真剣に討議されました。国債を発行せずに政府が資金調達する為ですが、これなどは政府通貨と何ら変わらない。(結局、国債や不良債権をFRBが大量に買い取って、資金を供給する量的緩和に落ち着きました)



<結論>

中央銀行と言えども、国債を大量に購入すれば、日銀当座預金の金利上昇によって金利リスクを負う。

国債を簿価評価すれば国債金利の上昇は無視出来るが、日銀当座預金金利の上昇を抑える事は難しい。

上限金利の設定や預金準備率の引き上げなど、露骨な金融抑圧政策で、日銀当座預金の金利上昇を抑える事は出来るが、あまり露骨にやると「国民の資産が奪われる」という非難にさらされる。(インフレ率の上昇に金利上昇が伴わない為)

まあ、こんな所でしょうか。