人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

MMT批判というより、過度な金融緩和への批判

2023-04-07 06:23:48 | 時事/金融危機

 

ITバブル崩壊は多少の紙幣で鍋の底の穴が塞がった

リーマンショックでは穴が多きかったので、札束で穴を塞いだ

コロナバブルの崩壊は、鍋の底が抜けたので、どんなに札束を投入しても、穴が塞がる事は無い。

 

 

 

鍛冶屋。さんへの回答として書きましたが、長くなったので記事にしました。

 

鍛冶屋。さんは勘違いされている様なので、確認しますが、私は三橋貴明氏批判を書いた初期に記事にも「政府通貨が何故いけないのか実際には分からない」と書いています。充分に自制的な政府でインフレになったら通貨発行量を絞ったり、増税を出来る政府ならば、中央銀行制などはそもそも必要無く、経済規模に応じた政府通貨を発行しても全く問題は無い。

1)政府は不景気になると財政を拡大しろという世論に押されて財政を拡大する

2)財政の拡大は名目GDPは拡大出来るが、乗数効果はゼロ以下なので、経済成長には繋がり難い。

3)財政拡大の弊害はクラウディングアウトという形で民間活力を奪う

4)発達した金融市場を持ち、資金が国境を軽々と超える事の出来る世界では、政府が供給した資金の多くが金利に吊られて海外で運用される。これはアメリカとて例外では無い。

5)過剰流動性は資産市場をバブル化して、経済を不安定にする

6)本来国内で運用されるべき資金が海外で運用される事により、国内の期待インフレ率はゼロ以下に落ち込み、金利がゼロに張り付く

7)リスクに対して低すぎる金利によって、国内の投資意欲が削がれ、成長率がさらに低下する

8)先進国では上記の連鎖により金利がゼロになり、デフレ化、或いは低インフレ率化が進む

9)資産市場や、新興国経済はバブル化が進み、資金はここに留まり、実体経済を刺激する事が出来ない

10)バブル化した市場や、バブル化した新興国経済は金利上昇局面で必ずバブルの大崩壊を起こす

11)バブル崩壊の影響は、金融システムや通貨システムを不安定化すると同時に、実体経済にも大きなマイナス効果を生み、経済が停滞して失業者が増大する。(リーマンショックが良い例)

12)大規模な金融緩和でも充分なインフレが発生しなかったので、主流派経済学者までもが、通貨の過剰供給で期待インフレ率を押し上げる「リフレ論」や、財政拡大によってインフレを達成する「シムス理論」で「財政拡大も止む無し」という意見に傾いた。

13)主流派経済学者は「統一政府」を全く否定しておらず、成長の限界を迎えてインフレの達成が難しい経済では、ある程度の財政拡大が必要と主張した。しかし、これは金利がゼロ近傍に張り付いている事が前提。インフレを達成して、金利が上昇し始めたら、財政を縮小する事は言うまでも無いので、彼らは殆どこれに言及していない。MMTですら、インフレが発生したら、財政を縮小するか増税すると説明している。

14)コロナ禍のロックダウンなどで極端に需要が減少した時期は「シムズ理論」は経済の崩壊を防ぐ為に正しい政策で、各国政府は財政を急拡大させて、国民への直接給付で景気を下支えした。

15)直接給付のやり方と規模に問題があった。アメリカでは所得が減少していない様な人にも一律に大規模な直接給付を行ったので、資金は資産市場に流れ込んでコロナバブルを拡大した一方で、高級車市場や一般の消費市場にも流れ込み、ウクライナ戦争より前にアメリカではインフレが発生していた。

16)経済は「動的」で「定量的では無い」ので、何かを切っ掛けにインフレが発生すると、インフレは加速度的に進行する。デフレ傾向で値上げを抑制されていた供給サイドが値上げの免罪符を得て値上げを加速させたり、高くなる前に買っておこうという消費者心理がインフレを加速する。

17)インフレ率が上昇し始めると、上記サイクルがポジティブフィードバックを起こすので、さらにインフレ圧力が高まる

18)ある時点で、中央銀行がインフレ対策の利上げを開始する。通常の景気循環であれば、これで過剰な資金が回収されてインフレ率は低下する

19)バブル化した市場を有する経済では、中央銀行の金利引き上げは、必ずバブルの崩壊を起こし、それ以降の経済は長期に渡り停滞し、失業者が増える。

20)リーマンショック以降は、バブル崩壊の規模が大きくなり過ぎて、金融市場そのものが破壊されたり、通貨システムの継続性に疑問が持たれたりした。

21)リーマンショック以降の狂った様な金融緩和と、コロナ禍以降の狂気を越えた財政出動とさらなる金融緩和で、超バブル化した市場は、崩壊というハードランディング以外の調整方法を失った。

22)ウクライナ戦争を切っ掛けにしているとは言え、ドル基軸体制の継続性には、ぞれ以前よりも疑問が抱かれていた。それはドルが過剰発行され過ぎたので、その価値は既に相当に薄まっており、それを反映する形で資産市場がすぐにバブル化する事に現れていた。ドル基軸体制を続ける限り、10年周期のバブル崩壊は不可避で、実体経済への悪影響はもはや経済や国家を破壊し得るレベルに達していた。

23)MMTは決して間違えた理論では無いが、資産市場を全く無視している点で、主流派経済学に大きく劣る。MMTは資産市場など存在しないが如くに振舞うが、自裁の経済や社会は資産市場の影響を大きく受ける。

24)経済学は「道具」なので、仮に理論的に破綻が無くとも、資産市場や実体経済の複雑性を無視したMMTは、経済運営の実用に耐えない。

以上が私のMMTへの批判であり、さらにはリーマンショック以降の主流派経済学者の場当たり的な対策への批判です。リフレ派もかなり馬鹿だったが、シムズ理論に至っては「当たり前過ぎて」笑った・・・。まあ、彼らは「グレートリセット」の仕込みとしてこれらの理論を使っていたと思うので、彼らがバカでは無いのですが・・・。

私はMMTの理論を否定しているのでは無く、インフレ発生時に財政縮小と増税をすれば良いという「無邪気さ」が気に入らないのです。

実際にインフレが発生する中で、国民は生活窮乏を政府に訴え、様々な財政拡大による生活補填を要求しています。そして、人気取りの政府はこれに応じています。

中央銀行が金利を上げてインフレを抑制する一方で、政府は財政拡大によってインフレを加速させています。このジレンマを解決出来るのは、国民の生活を犠牲に出来る「完全に合理的な政府」ですが、民主主義の元では不可能です。

ですから、グレートリセット後の世界、特に西側諸国は「デジタル管理社会」によって、「合理的で自制的な政府」が国民を支配する社会になるでしょう。

通常ならば、国民は管理される事を嫌いますが、「ベーシックインカム」という飴によって、多くの国民は政府に従順に従う様になる。

政府に反攻出来るのは、自給自足で貨幣を殆ど必要としない人か、ベーシックインカムなどに頼らなくとも多くのお金を所有したり、稼いだり出来る人だけになるでしょう。



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30 コメント

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Unknown (777)
2023-04-07 08:56:21
これからの世界では共産主義以外の経済体制は不可能になった

今はAIやロボットの発達で、生活に必要な工業製品も食料もサービスも廉価で大量供給できる様になりました。

これは共産主義の前提になっていた

未来社会では生産性が向上して、人間は働く必要がなくなる。
生産活動に必要な仕事は1日2,3時間程度で終わって、残った後の時間には娯楽や学問や芸術をやればいい様になる。

という社会にもうすぐ到達するという事です。

現在の人間が貧しいのは、世界中の金を全人口の0.3%の資本家が独占するシステムだからです。資本家が持っている資産をすべて取り上げて、労働者に分配すれば、全員が働かなくても食べていけるのです。

既に破綻した資本主義をリセットすると共産主義以外の経済体制は不可能になるのですね。
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Unknown (鍛冶屋。)
2023-04-07 10:21:22
人力さん。

この記事に関するツッコミは(満さいすぎるので^^;)ひとまず置いといて...、自分はバブルとはなんぞや?なぁんてご教示をお願いしていませんよね?。

自分の問は、
①「力さんが「市井の銀行金利が上がると、日当預の金利も上がり日銀が債務超過になる」っと仰る主張に対し、では市井の金利が上がった現在、日当預の金利はいくら上がったのですか(何%まで上がった)っと言うものです。
明確に、”現在何%だ”っとお応え下さい。

②人力さん先のコメントで仰っているように、(MMT派の方々が)「無尽蔵に国債を発行できる」っとのたまっているとう言うのは、いったい誰の弁ですか?・・・っとういものです。
”何処どこの誰ソレが、何時いつ頃に」言しっていたのを聞いた(見た?・読んだ?)・・・っとお応え下さいば結構です。

自分、そんな難解なこと(バブルがどうのだら政府通貨がどうのだらっと、疑義にまったく関係ないことばっか出てくるような)お聞きしてますか?。
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Unknown (鍛冶屋。)
2023-04-07 10:32:44
とりあえず⇓を片付けましょうよ!!^^)。

やっとネット遊びも再開できたのし、せっかく自分の名を冠していただけましたことですゆえ、のちに本記事にも突っまさせ頂きます。
返信する
Unknown (人力)
2023-04-07 13:36:21
鍛冶屋。さん

鍛冶屋。さんとMMTシリーズは人気シリーズなんだよね。コメント欄が盛り上がる。このブログは「エンタテーメント」を標榜しているので、皆さんに色々楽しんでいただくべく鍛冶屋。さんを召喚させて頂きました。

介護の方はひと段落の様ですね。最初は訳が分からなくて戸惑いますよね。私は「要介護のレベルが上がると補助が増える」と勘違いしていました。実際は逆で受けられるサービスは手厚くなりますが、比例してコストも増える。

今回も鍛冶屋。さんとは議論が噛み合わないと思いますが…。

1)MMTに日本で早くから飛びついたのは三橋氏や中野剛志氏など元リフレ派で、同時に彼らはリフレ論の頃から積極財政派だった。

2)会計学的なレトリックなどは一般には理解出来ないので、MMTは一般的には自国通貨建の内国債はいくら発行しても破綻しないと理解されている。(鍛冶屋。さんの理解は違うかも知れませんが)

3)MMTを導入してから彼らは「インフレ率」を気にし始めた様に思われます。それまではインフレは眼中に無く「日本はデフレなのだからインフレを心配するよりも金融緩和と財政拡大で経済を回せ」と訴えていた。

4)MMTを取り入れてから、インフレ率が上昇しない限り財政は拡大出来る。「お金は国債発行によって生まれ、税金はそれによって増えたお金から支払われるから問題無い」と言い出した。

5)統一政府論はリフレ派の頃からの主張で、「政府と日銀のお金のやり取りは家庭内での夫婦のお金の貸し借り」とか「国の借金は国民の資産」というフレーズがお気に入りだった。

6)彼らの議論には日本国内の視点しか無く、為替市場で円が下落してコストプッシュインフレが起きるという当然の可能性は意図的に無視されている様に見える

7)最近では「コストプッシュインフレは海外の政治情勢によって発生しているのだから、国内の財政拡大や金融緩和の結果では無い」と開き直っている。

8)彼らには海外市場という視点も意図的に排除されており、日本国内で極端なバブルが発生しなければ、海外のバブルやその存在は意に介さない。仮にアメリカ発の金融危機で日本の経済が崩壊しても「日本は原因では無い」と開き直るだろう。円キャリートレードという言葉は彼らの辞書には無い。

9)日本でインフレ率が上昇して、金利上昇が日銀を初めて多くの政策決定を縛っても、彼らは金利上昇はささやかで問題になるレベルでは無いと開き直るだろう。彼らの辞書にはテールリスクという言葉は存在しない。

ここまでは、鍛冶屋。さんでは無く日本のMMTの旗振り役への批判。彼らはレイに半ば破門された様ですが、社会主義と親和性の高い本家のMMTに対して、彼らのMMTは「日本は一番!」という宗教に利用されている様に見える。
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Unknown (人力)
2023-04-07 14:05:00
鍛冶屋。さん

さて鍛冶屋。さんの質問に私なりに答えてみます。

先ずは「日本の金利はいつになったら上昇するのか」という疑問ですが、コレは日本の成長率の低さと超高齢化という社会構造によってインフレ圧力に大きな制約が掛かっている事に注目です。

日本の租税負担率は年金や医療保険を加えると5割を超えているので、日本ではコレらの「見えない税金の増税」のよって消費が抑制され続けて来ました。更に2012年の様に円安によるコストプッシュインフレが進行する局面で財務省は消費税増税によって消費に水を差した。

所得が抑制されている日本では、インフレは非常に起こり難くなっています。コレは良い事では無く、老衰で血圧を自ら上げる事も出来ない経済状態が日本です。

金融緩和や財政拡大は、輸血やカンフルの様な効果で経済を下支えしています。この塩梅のコントロールで日銀と財務省は短期金利をゼロ近傍にコントロールしています。

この構造は結構堅牢で、財政出動が年金や医療保険という分野で拡大する限り、商品は高まりません。

では、日本の短期金利を永続的にゼロ近傍にペッグできるか考察してみます。エネルギーコストや輸入材の高騰というコストプッシュインフレは発生していますが、日本の国民は節約を選択します。労働市場が硬直的なので、所得上昇が起きないので節約しか生活防衛の手段が有りません。コレは消費を抑制するので、昭和40年代のオイルショック時の様なインフレは起こり難い。

国債市場も日銀と国内金融機関がタッグを組んでいるので国債売却を促す様な極端な金利上昇も起き難い。

では、日本では永遠に金利上昇が起きないかと言えば、私は近々起こると予想しています。

それは国内の要因では無くドル基軸体制の崩壊によってもたらされると以前から何度も書いている。仮にドルの信用が失われた場合、一時的に超円安が発生しますが、世界中の国や投資家が、通貨や国債を売る状況で、円と日本国債だけが安全だとは市場関係者は考えないでしょうか。

先ずはドルの価値の毀損でドル建の輸入物価は急激に跳ね上がります。為替市場では円高が進みますが、その後はリーマンショック後同様に各国通貨は等しく現物に対して価値を失って行きます。為替市場は「ブサイクな犬コンテスト」となり、資源国通貨以外は大幅に価値を失う。円とて例外では無い。

この状況は、日銀にも財務省にも手の打ち様が無い。ロシアやアルゼンチンの通貨危機を思い起こして貰えれば分かるのですが、資源国通貨に対して急激に円が暴落した場合、円安を止めるために中央銀行は急激に金利を引き上げて通貨防衛をします。そうしなければ、自国通貨が大幅に下落して輸入物価が高騰して国内物価が鰻登りになるからです。

この時点で日本の財政と国債はジエンドです。金融機関の保有する国債が巨大な含み損を発生するので、日銀は国債の全量買取に踏み切ります。

一方で、銀行が全て危機に陥るので国民は預金引き出しに殺到します。シリコンバレー銀行と一緒です。

この時点で全ての銀行は預金封鎖を実行します。そうしないと全ての銀行が一瞬で破綻するからです。
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Unknown (鍛冶屋。)
2023-04-07 14:16:17
人力さん。

>さて鍛冶屋。さんの質問に私なりに答えてみます。
>先ずは「日本の金利はいつになったら上昇するのか」という疑問ですが、コレは日本の成長率の低さと超高齢化という社会構造によってインフレ圧力に大きな制約が掛かっている事に注目です。

⇑そんなことはお聞きしていませんよ。

問① ”日銀当座預金の金利が、今いくら(何%)ですか?”です。
人力さん説によると、市井の金利が上がれば日銀当座預金(日当預)の金利も連動するのですよね!。
しからば、市井の金利が上がっている現在、日当預の金利も上がっているんですよね!。
ですから、それは何%まで上がってるのでしょうか?っと問うています。

長々のご高説は不要ですので、お答えは簡単に”何%だ”で結構です。

問②もよろしく ※同じく、ご高説は不要で(ツッコミが追いつかないので^^;)。
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Unknown (人力)
2023-04-07 14:17:06
このブログでは、リーマンショック以降、ドル基軸体制が崩壊する未来を色々と妄想して来ましたが、国内しか見ていない日本のリフレ派やMMT支持者とは、最初から議論が全く噛み合いません。

彼らはドル基軸体制や資産市場の崩壊を前提としない国内だけの話に終始し、私は終始、ドル基軸体の崩壊を前提に未来を占っているのだから、議論が噛み合うはずがありません。

巨大地震の発生を前提にした話と、巨大地震など存在しないとする人が、ビルの構造設計の議論をしている様なものです。

シリコンバレー銀行の破綻以降、ドル基軸体制の崩壊が、当然の様に話題になる様になりましたが、私にとっては10年以上夢想した光景が現実になっているだけ。

だから、このブログもある意味ネタ切れなのですが、崩壊後の世界を夢想する楽しみをAIの急速な進歩が提供してくれました。

幸い、投資とは無縁なので、仕事が無くなる覚悟程度しか崩壊に備える事はありませんが、できる事なら特等席で歴史の大変換点を見物したい。その為に10年以上掛けて作った物見台がこのブログです。

鍛冶屋。さんをはじめとするコメント欄の常連さん達と、歴史的なスペクタクルをワイワイと見物する。そんな場所を御用意したので、どうか皆さん最後までお付き合い下さい。
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Unknown (人力)
2023-04-07 14:32:30
鍛冶屋。さん

10年以下の日本国債金利が連動するのは、オーバーナイトの超短期金利ですが、日銀はこの金利の上限を0.25%にコントロールしています。インフレ率の上昇が限定的なにhlんでは、インフレ率を気にせずにジャンジャン資金をコール市場に流し込めます。日本国内の資金需要は低調なので、この資金は為替市場でドルに変わって世界市場の最後の貸し手となっています。

ここまでは理解出来ますか?

「今、何%ですから?」というご質問は、この構造を理解した上で発せられるべきです。

一方、日銀は長期金利のコントロールに手を焼いています、。海外のファンドの売り圧力で長期国債金利が上昇して長期金利の上限を引き上げています。コレは金利の低い長期国債を保有する金融機関の含み損を拡大しますが、異次元緩和によって金融機関は国債の残存年数を大幅に縮小しています。満喫保有を前提にしている生保各社は金利上昇の影響は受け難い、。(直評価の第一生命は別ですが)

まあこんな状況ですが、日銀が短期金利の上限を段階的に引き上げる事態になれば世界はパニックになります。

意外な事に、日銀は最悪のタイミングで資金供給を絞るクセがあります。日本のバブルにトドメを刺した「総量規制」や、サブプライムショックの遠因となった「量的緩和の縮小」です。

「今金利は何%なの?」というのは愚問で、「いつ日銀は、とんでも無いタイミングで金利を上げるの?」というのが、このブログ的には正しい質問です。

…あ、ちょっと777さんみたいな書き方になっちゃった。
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Unknown (人力)
2023-04-07 16:45:33
鍛冶屋。さん

さて、日銀の当座預金の利子ですが、現在は超過準備の一部に0.1%の金利が付いています。日銀の説明によれば、コレは短期金利の最低金利に揃うのだそうです。

銀行は日銀に当座預金を預けていますが、短期金利が当座預金の金利を超えたら、日銀当座預金を取り崩します。金利が正常に機能する世界では、超過預金は本来非常に少ない量になる。

では、超過準備に大量の資金がブタ積みされた状態で、短期金利が2%程度に上昇したらどうなるか?当然、銀行は超過準備を取り崩して貸出に振り向ける。この状況は、インフレ率が上昇して、日銀がコール市場金利の誘導目標を2%に引き上げた事を意味します。

日銀はコール市場の金利を引き上げて市場から資金を回収しようとするのに、銀行は日銀当座預金を引き出してコール市場などを通じて資金供給量を増やそうとします。市場の資金量が増えればインフレが加速するので更に金利が引き上げられる負のスパイラルが発生します。

コレを防ぐには日銀当座預金の超過準備の金利を短期金利の誘導目標に引き上げる方法が有効です。ですから金利上昇局面で当座預金金利が上昇すると考える人達が、日銀が金利払いで経営状態が悪化するという予測をしています。

多分FRBはズルいので、金利を引き上げながら超過準備金利を据え置いているのでは?結果的にインフレ対策で金利を上げるポーズだけして市場の資金量が急激に減らない様にしていると思われます。(妄想)2018年も金利引き下げの前に、コッソリ量的緩和をやって市場のショックを吸収していましたから。ECB も日銀も似た様な事をしていると思います。インフレファイターのポーズをとって、一方で供給サイドの蛇口は開けておく。

結果は、短期金利の上昇というよりは、裏口の通貨供給量が減った時に市場に変化が現れる。要はバブル崩壊のタイミングは、金利だけ見ている一般投資家には分からない。

鴨は逃がさない様にしないとね。
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Unknown (余計なおせっかい (笑))
2023-04-08 08:42:40
人力さんの金融関連の理解があまりにも面白いので、モノ申します(笑)

>さて、日銀の当座預金の利子ですが、現在は超過準備の一部に0.1%の金利が付いています。日銀の説明によれば、コレは短期
金利の最低金利に揃うのだそうです。

金融機関が日本銀行に開設している当座預金金利は原則として無利息。
つまり日銀当座預金の金利は準備預金に相当する部分はゼロ、それ以外(超過準備)は、0.1%という大変低い金利。また数年前から日本銀行当座預金は3階層に分割され、それぞれの階層ごとにプラス金利、ゼロ金利、マイナス金利を適用。一部はマイナス0.1%という金利。


>超過準備に大量の資金がブタ積みされた状態で、短期金利が2%程度に上昇したらどうなるか?当然、銀行は超過準備を取り崩して貸出に振り向ける。

人力さんのこの主張も意味不明?? 

まず超過準備を取り崩して貸出に振り向けるなどあり得ない。超過準備の性格を理解していない。

日銀が増やしたのは実体経済に回らない日銀当座預金であって、民間銀行しか増やすことができないマネーストックではない。銀行としては金利を付けて返済してくれる先にしか信用創造が出来ない。経済全体の需要が増えて採算が成り立つ事業が国や民間から生じてこないと、お金を貸して増やすということが出来ない。


>日銀はコール市場の金利を引き上げて市場から資金を回収しようとするのに、銀行は日銀当座預金を引き出してコール市場などを通じて資金供給量を増やそうとします。

これも意味不明?? 

コール市場、正しく理解してますか?

金融機関では、毎日、多額の資金が余ったり不足したりするので、一日一日の運用は極めて重要。コール市場ではそういった非常に短い期間でのお金の貸し借りが金融機関同士で行われておりその取引は短資会社が仲介。

コール市場において最も代表的な取引が「無担保コール翌日物」、これは無担保で資金を借りて翌日に返済する取引。 この取引に適用される金利が「無担保コール翌日物金利(オーバーナイト・レート)

無担保コールO/N物レート(4月7日<金>速報)
平均 -0.005%
最高 0.001%
最低 -0.055%

ただしコール市場の拡大などで、金融機関の日銀借り入れ残高が減少し、現在、基準貸付利率より無担保コール翌日物の金利の方が経済への影響は大きく、日銀も重視しているのは確か。

終わりに、

産業革命以降の資本主義経済下、1971年にアメリカの「金・ドル本位制(米ドルと金の交換制度)」の停止をもって、全ての国で「金兌換制度(金本位制)」が廃止され、「通貨管理制度」が採用された経緯を、ほとんどの人が正しく理解していない。

MMT云々以前に基本的な面での資本主義経済や現代通貨の成立ち、信用創造の本質を理解していない経済学者や経済ジャーナリストが多いので、不毛な議論が後を絶たない(笑)
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