1月6日に凍結路面で落車したので、気になる事をメモしておきます。
■ 怪我は冷やしてはイケナイ。炎症を抑えてもイケナイ。痛みを抑えてもイケナイ ■
スポーツ医療では、打撲な捻挫などの怪我の治療は次の通りです。
<RICE処置>
1) 患部をすぐに冷やして炎症の広がりを防ぐ
2) 患部を圧迫して血流を抑制する
3) 患部を心臓より上の上げて、内出血を抑える
4) しばらくは安静にする
これRICEと呼ばれる処置方法で、ネットで調べても医療機関やスポーツマッサージの専門家が応急処置として勧めています。しかし、この処置は間違いです。
欧米の最先端のスポーツ医学では全く逆の処置た推奨され始めています。
1) 患部は冷やし過ぎてはいけない
2) 血行を阻害してはいけない
3) 炎症を抑えてはいけない
4) 痛を止めてはいけない
実はRICE処置を提唱したアメリカの研究者が、自身の誤りを最近認める論文を出した様で、未だにRICE処置が正しいと信じている日本の医療関係者は、まさに世界の医療から周回遅となっています。
■ 肉体の反応には「意味」が有る ■
怪我をして炎症を起こすのには、生物としての必然性が存在します。
1) 怪我は外傷を伴っている場合が有るので、炎症によって免疫力を上げる
2) 炎症は全身の体温も上昇させて免疫力を上げる
3) 炎症がマーカーとなって白血球などが患部に集まって来る
4) 損傷した細胞は速やかに白血球などに貪食されて、患部から排除される
5) 組織を再生させる酵素などは血流に乗ってやって来るので血流を阻害してはイケナイ
6) 痛みは可動域の限界を知らせ、行動を抑制する事で怪我の箇所に負担を掛けないシグナル
少ないネットの情報を簡単にまとめると上記の様な感じでしょうか。要は、怪我をした時の炎症や痛みといった生体反応は、治癒の為に生物に備わったものだから、それを抑えてはイケナイのです。
これ、最近の傷の治療で「消毒しない」事と同じですよね。人間の身体に本来備わっている自然治癒力を活用すると治りが早いと最新の医学は気付き始めたのです。
■ 痛みより食い気 ■
今回の怪我でもう一つ気付いた事は、ムチャゥチャ、甘い物が食べたくなる事。
これマウスの実権で実証されています。
1) 痛み刺激を与えたネズミにエサを与えると、痛み刺激への反応が緩和させれる
2) 水を飲ませても同様の反応が見られる
これは、自然界ではいつでもエサや水が得られる訳では無いので、生物は「食べる」「飲む」という欲求が痛みに優先する為の起こる「痛みの抑制」だと考えられています。怪我をして満足に動けなくなると、餌も取れなくなり餓死する危険もあるので、食べれるうちに食べておこうという本能です。
私は、西洋薬はほとんど飲まないので、今回も痛み止めは丁重にお断りしました。すると・・・甘いものが超食べたくなりました。普段はほとんど食べないチョコレートが欲しくてタマラナイ。
こうして、痛み止めの代りにチョコレートを齧って、痛みの酷い3日間を乗り切りました。
冒頭に唐突ですが、RICEという日本では常識化している怪我の応急処置が、いかに間違いであるかを指摘しました。
では、なんでこんな事を書いたのか、その顛末を書いていきましょう。
ブラックアイスバーンで転倒したバイク
写真はネットからお借りしました
■ ブラック・アイスバーンって? ■
皆さんは「ブラック・アイスバーン」というものをご存じでしょうか?強そうに聞こえますが、アニメの敵キャラの名前ではありません。
濡れた路面が凍結するのは一般的なアイスバーンと同じですが、一般的なアイスバーンは霜降りの様に白くなっていたり、積雪が凍っていて一見して分かるのですが、ブラックアイスバーンは目視では「濡れたアスファルト」と見分けが付きません。
1)見た目は「濡れたアスファルト」にしか見えない
2)薄いツルツルの氷の膜が路面を覆っている
このブラック・アイスバーンの上を二輪の乗り物が走るとどうなるか・・・答えは上の写真の通り「転倒」します。表面はスケートリンクの様な滑らかな氷なので、タイやのグリップが一瞬で失われます。
二輪のみならず、4輪の自動車でも、スタットレスタイヤではグリップせずに制動距離が極端に伸びたり、カーブで曲がり切れなかったりします。
■ ブラックアイスバーンを自転車で走行すると・・・ ■
1月6日の土曜日、前夜の雨がすっかり上がり、朝には青空が広がていました。2018年の走り始めとして、ロードバイクで鴨川を目指します。途中、清澄山の初詣に行きたいので、養老清澄ラインのルートを取ります。
さすがに真冬の8時台の気温は低く、完全防寒でも指先の感覚は無くなりますが、9時を過ぎて日差しが強まって来た頃には、どうにか凌げる寒さとなりました。
前日の雨の名残で、路肩は所どころ霜が降った様に凍結している場所が在りますが、慎重に走行すれば問題の無いレベルです。
うぐいすラインに入る為に、国道14号を離れ、山間の田圃の中の道を走り始めると、電線や木の枝からポチョポチョと水が落ちて来ます。まるで雪解けの様な感じです。昨晩の雨がそのまま凍結したのでしょう。
路面も凍結箇所が増えて来ます。スピードを30km異常出さない様に注意して走行します。
しばらく走ると、日陰の部分の路面が濡れています。ゆるやかに左にカーブする、斜度2%程度の登りだったので、ペダルに少し力を入れます。
すると、スルリと後輪が右に滑りました。次の瞬間には風景が相当傾き、路面が眼前に迫って来ました。「落車だ!!」と思う暇も無く、左の腿の外側から接地して、左肩、最後にヘルメット地面で跳ねます・・・。
「ヘルメットって役に立つんだ」とボーと考えながら、凍結した路面を自転車と一緒に滑ります。カーボン大丈夫かな・・・なんて考えながら。
停止して立ち上がろうとしますが、お尻をしたたかに打ち付けたので直ぐに立つ事は出来ません。幸い、後続の車は居なかったので、下半身を引きずったまま腕の力で路肩に移動し、同時に自転車も路肩に寄せます。その間、対向車が2台、通り過ぎて行きました。
20秒程で立ち上がり、カーブは危険なので、路肩の広い所に移動し、自転車の損傷をチェックします。幸いな事に、後輪のクイックレバーを少し擦っただけで、ほぼ無傷です。自分の体もチェックしますが、尻餅を付いたお尻以外は、痛みは有りません。
自転車に跨り、注意深くスタートしますが、お尻がジンジンするだけで、ペダリングは問題無く出来ます。「これなら鴨川に行ける!」とスピードを上げますが、だんだんと路面の怪しい箇所が増えて来ます。
勝間の交差点でうぐいすラインと接続する付近に来ると、地面から靄がモウモウと立ち上って、幻想的な光景が広がります。思わず自転車を止めて、10分程見入ってしまいました。
これ、富士山の麓の忍野八海の冬の写真とかで観るヤツですよね。地温よりも空気が冷えている時に起こる現象・・・。と言う事は、気温がムチャクチャ低いって事?
この先、うぐいすラインの登り下り、養老清澄ラインの登り下りもきっと凍結しているハズです。ここはルートを換えて国道14号に戻り、茂原経由で外房に出ようかと考えている内に・・・お尻のジンジンとした痛みは強まるばかり・・・。
■ 引き返す勇気 ■
打撲の痛みは時間差でやって来ます。このまま鴨川に行って、そこで動けなくなると面倒です。ここは「引き返す勇気」が必用。
実は本日、携帯を水没させた娘に私の古いiPhone5を届けるミッションを負っていたのですが、ミッションはここで放棄して娘にメールを送ります。「コケて痛いから、浦安に帰る」。
それでも未練がましく、凍結の少なそうな大多喜街道に抜けるコースを取りますが、山間の登り坂は結構凍結していて、慎重にペダリングしても後輪が滑っているのが分かります。
凍結した緩やかな下りコーナーを超慎重に下ると、軽自動車が一台、ガードレールに突っ込んでいました。冬でも雪の後でも無い限り、ほとんど凍結しない千葉のドライバーは凍結路面の運転には慣れていません。
■ やっぱり痛い ■
途中、地図を確認する為に自転車を降りますが、歩くと股関節が痛い・・。クゥ!って顔をしかめる程度には痛い。どうやら、早めに浦安に帰った方が良さそうです。大多喜街道で八幡宿に出て、そこから電車に乗る事にします。
八幡宿の駅に着いて、自転車を降りると・・・降りると・・・降りられません・・・。
右足が上らないのです。自転車を倒す様にしてどうにか足を抜きますが、歩くと腿の付け根や、お尻の周辺にビキンと痛みが走ります。
どうにか輪行バックに自転車を収めて、自転車を右手に抱えて歩き出すと・・・歩き出すと・・・歩き出せません。右足がピクリとも上がらない。左手に持ち帰るとどうにか歩けますが、その都度、激痛が走ります。
仕方なく、自転車を杖替わりにして、どうにかホームに辿り付き、同様に乗り換えをこなして新浦安に到着。
必死の思いで自転車をホームに降ろし、ここで暫く動く事も出来ずにカミサンに緊急連絡を入れます。「動けないからタクシーで帰る」
改札を出て、一旦自転車を組み立て、タクシー乗り場までは、自転車を引いて行きます。そして、再び自転車を解体してタクシーの乗りますが、親切な運転手さんが、自転車を載せるのを手伝ってくれました。
■ 病院へ・・・ ■
家内に手つだてもらって、タクシーから自転車を降ろし、どうにかシャワーを浴びて着替えます。幸いな事に、ツルツルの凍った路面で滑ったので、擦過傷はたいした事はありませんが、右足がほとんど上がらないので着替えにも苦労します。
「骨にヒビ入ってないかな・・・」と不安になったので、土曜診療をしている整形外科に行く事に・・・って、歩けないので傘を杖代わりにしてマンションの前まで移動し、タクシーに乗ります。
病院の受付で初診の記入をする時、「交通事故」という欄があったで〇を付け、空欄に「自爆」と記入します。受付のお姉さんが、「相手の方はいらっしゃいますか?」と聞くので、「いいえ、自爆です」と答えましたが・・・これ、世間一般には「自損」って言うのが正しいと後で知りました。
■ レントゲンに異常無し ■
診察台に横になって女医さんが脚の可動域をチェックします。
「脚開いてみて下さい」・・・・「ウッ!痛い、無理無理」
「脚引っ張りますね、どうですかぁー?」・・・「あ、それ気持ちイイ・・・」
着衣のまま、傷のチェックもしないので「この医者、やる気ねえなあ・・・」と思いながら、レントゲン室に回されます。
しばらくして、レントゲンの結果が出ますが、骨には異常有りませんでした。モニターには、大腿骨頭のきれいな球体と、その周辺のきれいなすき間(軟骨部分)が写っていまいた。
「ヨッシャー!!、骨には異常無し!!」と心の中で喝さいを上げます。
■ 身動きできない ■
診察している内に、歩き方のコツを掴んだので、どうにか歩ける様になりましたが、一応松葉杖を借ります。実は一度、松葉杖を使ってみたかったのです・・・。
せっかく松葉杖を借りたので、病院から自宅まで1Km程度を歩く事に。しかし、松葉杖って慣れてないと難しいですよね・・・。途中、マンションの顔見知りと一緒になりましたが・・・・「それ、ほとんど松葉杖、役に立っていないじゃないですか」って言われちゃいました。
■ RICE処置の間違いを身をもって証明する ■
せっかく怪我をしたので、日頃、オカシイと感じていたRICE処置の誤りを検証してみる事に。
1) 鎮痛剤は飲まない
2) 患部は冷やさない
3) 炎症は抑えない
4) 痛みの範囲内で運動する
5) 肉や豆を多く食べ、コラーゲンがタンパク質を含む食品も増やす
こんな「放置する」に等しい治療法を実行します。
症状 ・・・ 左腿外側付け根付近の打撲と擦過傷
左臀部上側の打撲
股関節の捻挫(ビンディングペダルが外れず靭帯を伸ばしたと思われる)
<1日目(怪我当日)>
・布団に包まり、発熱に任せる
・痛みで寝返りも出来ず
・布団から起き上がるのに数分を要する
・足が上らず、家の中の段差を越えるのに壁に手を付く
・便座から立ち上がる事が大変
<二日目>
・半日は布団の中
・全身、打撲の痛みが酷い
・首に軽いムチ打ちの症状
・夕方に片道700mのコンビニへ買い物に行く
・夕飯の支度をするが、台所での細かい動きが結構イタイ
<三日目>
・午前中に4kmのウォーキング(痛が酷くなる手前の範囲でゆっくりと)
・家の中ではなるべく普通の生活を心掛ける・・・けどイタイ
<四日目>
・普通の電車に乗って仕事に行く
・足を引き摺る感じではあるが、ゆっくりならば歩行できる
・駅の階段の昇降もゆっくりなら可能
・エスカレータから降りられない事が判明・・・一歩目が速やかに出せない
・
・
・
<7日目>
・痛みは臀部のピンポイントになって来た
・左臀部痛みの回復が遅れているので、前かがみで右足を上げる事だけが出来ない
・歩行速度は普通になったが、少し足を引き摺る感じが残る
・普通に出かけて、半日、新宿界隈を歩き回る
・5mも走れない・・・臀部と股関節が結構イタイ!
RICEと全く逆の「放置」と「我慢出来る痛みの範囲内での運動(日常生活)」でどの程度回復するか実証してみましたが、1週間を経過して、日常生活にはほぼ支障が無くなりました。
ただ、走ると、主に股関節の捻挫に激痛が走るので、走る事が出来ません。後、左臀部の挫傷の回復が遅れているので、右足を上げると左臀部に痛みが有ります。
こんな感じで、完治までは3週間掛かると思われます。
・・・・マラソン大会、2月4日なんだよね。90分切どころか・・・出走が危ぶまれる状況になってしまった・・・・・・・・。