毎年この時期に唐十郎はやって来る。恒例の紅テントでの旅興行は、昔懐かしのジュール・ヴェルヌ『海底二万哩』を原案にして、ネモ船長が主人公の大冒険活劇なのか、と思わせといて、実はとても小さな話を大きな展開もなく見せていく。
75本の白いスラックスを持ち逃げしたネモ(稲荷卓央)と、彼を追いかけて、それを取り戻そうとする衿月(鳥山昌克)の話を中心にして、この吹き溜まりに集まってくる、いずれも訳有りの . . . 本文を読む
黒と白で統一されたスタイリシュな空間。L字型に客席が組まれ、その結果当然舞台もコーナーを使った逆L字型に組まれている。密室。天井には天窓があり月明かりが洩れているが、それは人工的に作られたもののようだ。正面に大きなモニター。ホテルの一室のようにも思える。空間は斜めに傾いでいる。(いつもながら見事な西本卓也さんの美術)不安定な空間は彼女たちの心の中を象徴する。ここに2人は閉じ込められている。
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昨年上演された自由派DNAの傑作の再演である。こんなに短期間で同じ作品を再演するケースは珍しい。しかも劇団名を変えて、いつものメンバーで演じる。後で梶原さんから事情を聞いて納得。今回は横山拓生さんによるプロデュースとして企画されたらしい。彼が自分の一番好きなDNAの作品をもう一度やりたい、と言ったことがきっかけで、彼のために、彼への友情として、この作品が作られた。
再見して、そのあまりの単純 . . . 本文を読む
4月があっと言う間に終わった。あまりの忙しさから、映画も芝居もほとんど見れなかった。当然DVDも本数は少なく、11本。そんな中で特筆すべきは既に書いたがキム・ギドク『弓』とイオセリアーニ『素敵な歌と舟はゆく』の2本。
ここではこのブログで触れなかった作品について、何本かを簡単におさらいしておこう。まず、チャン・ツイーイーが母、自分、娘という3代を熱演する『ジャスミンの花開く』。この作品は何よ . . . 本文を読む