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映画・演劇のレビュー

4月に見たDVD(『カポーティ』他)

2007-05-01 06:55:25 | 映画
 4月があっと言う間に終わった。あまりの忙しさから、映画も芝居もほとんど見れなかった。当然DVDも本数は少なく、11本。そんな中で特筆すべきは既に書いたがキム・ギドク『弓』とイオセリアーニ『素敵な歌と舟はゆく』の2本。

 ここではこのブログで触れなかった作品について、何本かを簡単におさらいしておこう。まず、チャン・ツイーイーが母、自分、娘という3代を熱演する『ジャスミンの花開く』。この作品は何よりまず、映像。とても綺麗だ。上海を舞台に写真館の娘として生まれた女性が女優となる第1話。そして、その娘が文革のさなか必死に行きぬく第2話。さらにはその娘を描く第3話。近代中国史の中を生きた女たちの日々を丁寧に見せてくれる。

 同じように『玲玲の電影日記』も中国の片田舎を舞台に、映画の魅力に取り憑かれた少女の成長史を描く佳作。野外劇場に集まる村人たち。スクリーンは風に揺れる。椅子を持ち寄り、みんなで映画を見る幸福な時間。とてもなつかしくて、せつない。

 去年見たかったのに見れなかった映画ベスト3の全てをこの4月に見れた。1本は先の『弓』。あと2本は、『太陽』『カポーティ』。2本とも少しがっかりな出来。特にベネット・ミドラー『カポーティ』は期待が大きすぎたのか、見ながらこんな程度?なんて思ってしまった。

 『冷血』執筆時のカポーティの行動がシニカルに描かれていく。取材の過程、犯人とのやり取り、の中から彼のあの傑作がいかにして作り上げられたのかが、明らかにされていく。フィリップ・シーモア・ホフマンのなりきり演技は確かに凄いし、カポーティの嫌な面がしっかり描かれている。事件の舞台となる風景の圧倒的迫力がシネスコの画面に捉えられてあり(この凄さはTVで見ても伝わらない)そことスペインの海辺の別荘の陽光との対比も効果的。犯人以上に<冷血>なこの作家の生き様が見事に描かれている。『冷血』を書き上げることで身も心もズタズタになっていくこと。映画としては実は申し分ないのだが。

 拾い物はキム・レウォンがチンピラから刑事となり、正義に燃えて犯人を挙げていく(こう書くとただの安いアクションにしか見えない)『Mr.ソクラテス』が、もう一つの『インファナル・アフェア』という趣で面白かった。作りはとても緩いので、最初はもう途中で見るのをやめようか、とも思ったが、後半になり、刑事となってからがよく、ラストまで飽きさせない。

 何度も予告篇を見せられ、17歳にもなって指を噛む癖が直らない少年が気になっていたマイク・ミルズ監督『サムサッカー』も見た。雰囲気は伝わるが、それ以上のものがなく、退屈な映画だった。疲れていたから、眠くて眠くてしっかり見れてないのが、気になるが、本当に面白い映画はいくら疲れていても、面白いはず。

 今月1番のがっかりは『ダンサーの純情』。なんですか、これは。話がアホ過ぎて、途中から退屈で退屈でしかたなかった。キム・ムギョンは可愛いが、素人があんなに簡単に短期間で、社交ダンスをマスターできるんか?なら、あんなに頑張った役所広司はどうなるんだ。ウッチャンナンチャンのナンチャンなんかも必死だったぞ。まぁ、それより何より映画自体がアホ過ぎて、つまらんのでもう気にしない。

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