とてもおもしろい芝居だ。昭和51年なんていうなんとも中途半端な時代設定をして、その風俗の表層をサラサラなぞっていきながら、そこに何らかの意味とか、意義とか、薀蓄なんかを垂れるわけではない。ショート・コント連作のようなスタイルを取りながら、ひとつの時代の持つ曖昧な気分を捉えていこうとする。
オリバーくん(チンパンジーと人間の中間にあたる未知の生物)という存在を芝居の中央に据えて、普通の家庭のど . . . 本文を読む
普通なら絶対に見ないタイプの芝居を春演の講評係を頼まれたために見ることになった。今年は粟田さんが降りられて、一人で担当しているため16本、絶対に欠かすことが出来ない。それって、正直言って、かなりきつい。4月からこの7月まで、ほぼ毎週、自分の見たい芝居と並行してプラネットSに通い続けてきた。そのうち何本かは全く僕の趣味とは合わない作品があり、つらい時間だったが、それでも各団体が、自分たちの信念に基 . . . 本文を読む
内田けんじ監督の本格劇場用映画デビュー作。PFFのスカラシップで撮った『運命じゃない人』、さらにはそのPFFに出品して入選した『ウイークエンド・ブルース』という先行する2作品を継承して、そのやり方が商業映画でも充分に通用することを証明して見せた記念すべき作品。
もちろん先の2作品がインディペンデントで撮られたものであったとしても、メジャー並みの面白さを持っていたことは見た人なら充分承知のこと . . . 本文を読む