パリ20区の中学校を舞台にした1年間のスケッチだ。とてもいい映画だとは、思う。26人のクラスメートたちが生き生きと描かれているし、担任の先生と彼らとの間に生じる溝が少しずつ大きくなっていく過程がリアルに伝わってくる。職員室での教師間のやりとりもとてもさりげなく説得力がある。まるでドキュメンタリーであるかのように見える、という作者のねらいも確かに達成されている。しかし、なんだか、物足りない。
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こんなにもシンプルなのに、ここまで素直に胸に届く芝居は滅多にない。理屈ではなく感覚的な作品なのだが、これを観客に納得させるのはかなり難しいはずなのだ。ふつうの人なら、このストーリーで1本の芝居を作るのはとても怖いはずだ。ストーリーにもっと仕掛けがなくてはとてもじゃないが、1本の作品を支えきれないからだ。しかし、サリngROCKは、この単純さを信じる。この世界観をこのストーリーが支えることは可能だ . . . 本文を読む
花形みつるという凄いペンネームを持つ児童文学の作家さんの小説を初めて読む。このタイトルに惹かれた。かなりおもしろい。読みやすくて気持ちにいい作品だ。新太郎(子供たちにはその髪型からキタローと呼ばれる)と子供たちとの交流を甘く優しく描くのではなく、かなりリアルでそこそこシビアに描く。でも、なんだかとても暖かい。教育問題にもの申す、という大袈裟はもちろんない。だが、さりげなく、描かれる子供たちとの関 . . . 本文を読む
2時間を超える大作だ。100年後に祟る恨みだ。それってなんだか不条理だが、神原さんなので、納得せざるを得ない。神原さんが100年、と言えばもうそれでみんな納得する。末代まで祟るのだから、仕方ない。
このけれん味たっぷりの神原ワールドは、そのシンプルでストレートなドラマ作りを力にして無理なく観客を心地よい大衆演劇の世界に引き込むことに成功している。だが、転換のもたつきや、あまりにひねりのない . . . 本文を読む
家がない家族の話だ。ホームレスというわけではない。彼らは意図的に家を持とうとしない。家を失ったわけではないのだ。父(杉山寿弥)と母(小畑香奈恵)。上の娘(奥野彩夏)と下の息子(大竹野春生)。4人家族だ。彼らは卓袱台を囲んで夕食を摂る。今では失われつつあるような昔ながらの一家団欒がある。父が箸をつけるまで誰も食べないし、その次は母で、順番はちゃんと守られる。ただ、彼らには家がない。だから、野宿する . . . 本文を読む