原作が出版された時、すぐに読んだのだが、あれは大概な小説だった。あの桐野夏生によるドロドロの世界を、篠崎誠はなんともカラッとして、あっけらかんとした映画に仕立てた。ストーリーは基本的に同じだ。でも、描き方の違いで、まるで印象の異なる別世界を作り上げる。
ここまで、冗談のような軽さで、こんなにも過酷な状況を見せられるとは、思いもしなかった。原作で描かれたさまざまなサバイバルが、この映画では、た . . . 本文を読む
先週読んだ劇団ひとり『晴天の霹靂』もそうだったが、タイムスリップもののパターンはもう出尽くしたのではないか、なんて思われるくらいに、最近は陳腐なものばかりと遭遇する。今回のこの冷凍睡眠で30年後の未来に行く少女の物語を読みながら、あまりドキドキしない自分にがっかりする。この手の話にはもううんざりしている。
しかも、この小説は、最初の100ページくらいまでが導入で、30年後の世界に彼女を送り込 . . . 本文を読む