先週読んだ劇団ひとり『晴天の霹靂』もそうだったが、タイムスリップもののパターンはもう出尽くしたのではないか、なんて思われるくらいに、最近は陳腐なものばかりと遭遇する。今回のこの冷凍睡眠で30年後の未来に行く少女の物語を読みながら、あまりドキドキしない自分にがっかりする。この手の話にはもううんざりしている。
しかも、この小説は、最初の100ページくらいまでが導入で、30年後の世界に彼女を送り込むための説明でしかなく、話はもたもたする。とくに研究自体の理屈を説明部分がとても退屈だった。たとえ小説であっても、話をアクションでつないでくれなくては、この手のエンタメはもたない。
そんなに文句を言うのならば、読むのを辞めればいいのに、と言われそうだが、やめられない。読みだしたら途中でやめるのは苦手だ。そんなことより、僕はどうしてこの小説を読んでいるのか、そっちの方が重大なことだと気付く。なんか最近、あまり面白いと思える本がない。実は通勤電車の暇つぶしで、これを仕方なく読んでいるのだ。今、読む本のストックがない。
余談だが、同じタイムスリップもの、ということでTVドラマ『仁 JIN』についても、少し書く。昨年末にこのドラマをまとめてみて、とてもおもしろく、新シリーズの放送が楽しみだった。なのに、6話まで見たが、なんだかつまらない。ファースト・シーズンと違って、今回は主人公の仁(大沢たかお)が、大きく歴史と関与する。その展開が、この作品をつまらないものとしている。坂本竜馬のみならず、次々と歴史上の偉人が登場し、このお話と関わっていく。その結果、反対に想像の翼がどんどん萎んでいく。制約が出来るからだ。この手の物語を作っていく上で一番大事なことは、いかにしてミニマムな視点を貫くか、ということなのだと気付く。とは言え、『青天の霹靂』のように、そこだけで閉じてしまうと、それはそれでつまらなくなる。要はバランスの問題なのである。
14歳の少女が、30年後の未来に行き、そこで目撃する小さな事実のひとつひとつとの関わりの中で、彼女を包みこむ2036年という時代の壁と、彼女がいかに闘うこととなるのか。それがこれから楽しみだ。今、まだ140ページである。あと180ページある。詳細はその後。同じようにTVドラマ『仁 JIN』のほうも、まだ、第6話だ。ここからどう決着をつけるのか、評価の方は最後まで見てから、ということにしよう。女性ライターである森下佳子さんの繊細なドラマ作りの手腕に期待しよう。
ここまで書いて、2日後である。
最後まで読んで、確かに驚愕のラスト、かもね、とは思ったが、この程度のオチでは、納得はいかない。もちろんよく出来た小説だ、とは思う。後半のパラレルワールドものの展開の意味が明確になる過程はなかなかやるね、とは思った。だが、こんな程度のクローン人間の話なら、どこにでも転がってるし。かなり丁寧な科学的な説明のようなものもあるのだが、僕にはそんなことはどうでもいい。お話自身をどこまで面白くみせれるか、それだけがまず大事なのだ。最初にも書いたように。
特別な話はいらない。それよりどこにでもあるような話をどれだけ新鮮なものにして、描くか、それが大事なのではないか。これは結局のところ、自分が好きだった女の子のクローン人間を作って、彼女を自分のものにして、一緒に生きたいと願う天才科学者の屈折した愛の物語。これって、ポルノ映画が好きなお話ではないか。それを出来るだけそういう話だとは悟らせないで見せる。だってネタばれした時点で、なんだ、となるから。残念ながら、つまらない。
しかも、この小説は、最初の100ページくらいまでが導入で、30年後の世界に彼女を送り込むための説明でしかなく、話はもたもたする。とくに研究自体の理屈を説明部分がとても退屈だった。たとえ小説であっても、話をアクションでつないでくれなくては、この手のエンタメはもたない。
そんなに文句を言うのならば、読むのを辞めればいいのに、と言われそうだが、やめられない。読みだしたら途中でやめるのは苦手だ。そんなことより、僕はどうしてこの小説を読んでいるのか、そっちの方が重大なことだと気付く。なんか最近、あまり面白いと思える本がない。実は通勤電車の暇つぶしで、これを仕方なく読んでいるのだ。今、読む本のストックがない。
余談だが、同じタイムスリップもの、ということでTVドラマ『仁 JIN』についても、少し書く。昨年末にこのドラマをまとめてみて、とてもおもしろく、新シリーズの放送が楽しみだった。なのに、6話まで見たが、なんだかつまらない。ファースト・シーズンと違って、今回は主人公の仁(大沢たかお)が、大きく歴史と関与する。その展開が、この作品をつまらないものとしている。坂本竜馬のみならず、次々と歴史上の偉人が登場し、このお話と関わっていく。その結果、反対に想像の翼がどんどん萎んでいく。制約が出来るからだ。この手の物語を作っていく上で一番大事なことは、いかにしてミニマムな視点を貫くか、ということなのだと気付く。とは言え、『青天の霹靂』のように、そこだけで閉じてしまうと、それはそれでつまらなくなる。要はバランスの問題なのである。
14歳の少女が、30年後の未来に行き、そこで目撃する小さな事実のひとつひとつとの関わりの中で、彼女を包みこむ2036年という時代の壁と、彼女がいかに闘うこととなるのか。それがこれから楽しみだ。今、まだ140ページである。あと180ページある。詳細はその後。同じようにTVドラマ『仁 JIN』のほうも、まだ、第6話だ。ここからどう決着をつけるのか、評価の方は最後まで見てから、ということにしよう。女性ライターである森下佳子さんの繊細なドラマ作りの手腕に期待しよう。
ここまで書いて、2日後である。
最後まで読んで、確かに驚愕のラスト、かもね、とは思ったが、この程度のオチでは、納得はいかない。もちろんよく出来た小説だ、とは思う。後半のパラレルワールドものの展開の意味が明確になる過程はなかなかやるね、とは思った。だが、こんな程度のクローン人間の話なら、どこにでも転がってるし。かなり丁寧な科学的な説明のようなものもあるのだが、僕にはそんなことはどうでもいい。お話自身をどこまで面白くみせれるか、それだけがまず大事なのだ。最初にも書いたように。
特別な話はいらない。それよりどこにでもあるような話をどれだけ新鮮なものにして、描くか、それが大事なのではないか。これは結局のところ、自分が好きだった女の子のクローン人間を作って、彼女を自分のものにして、一緒に生きたいと願う天才科学者の屈折した愛の物語。これって、ポルノ映画が好きなお話ではないか。それを出来るだけそういう話だとは悟らせないで見せる。だってネタばれした時点で、なんだ、となるから。残念ながら、つまらない。