「うんこなまず」という、あり得ないような強烈なインパクトを持つ劇団名を今回、改名した。そうすることで、彼らの過激さが影を潜めることになったなら、イヤだな、と心配したのだけど、そんなこと要らぬお節介とばかりに、繁澤邦明は変わることないマイペースで90分を駆け抜ける。難しいことを考えるのではなく、バカバカしいまでに単純に笑いながら見ていればいい。その先に答えがあるかもしれない。ないかも、しれない . . . 本文を読む
こんなにもストレートでわかりやすい芝居なんてめったにないだろう。ふつうどこかで無意識にでも捻りを入れてしまうのが作家の常だ。三名刺繍だって、普段ならこんな作劇はしない。彼女は無邪気を装うのではなく、信じる。だから可能な芝居なのだろう。こんなことをすると、普通なら嘘くさくなったり、バカバカしいものになりかねない。だが、そうはならないのだ。
Ho―Me―I―Ku音楽劇と銘打たれた本作は、 . . . 本文を読む
これで4回目となる能と現代演劇(小劇場演劇)とのコラボレーション。今回は「巴」を取り上げた。これは同時に、岡部尚子と林慎一郎という異色の才能のコラボでもある。ふたりが台本を書き、岡部主演、林演出で贈る。全く接点を感じさせない異なる個性を持つふたりが役割分担をきちんとして、がっちりとタッグを組んで、「能」を題材にした作品に挑む。能を取り込みながら、自分たちの芝居を目指すというスタンスが、これま . . . 本文を読む
池田屋事件をメインにして見せる後半戦は土方歳三(田中尚輝)と沖田総司(鐘ヶ江洸)を主人公にする。どうしてもまとめに入ってしまうのが、2部作(あるいは3部作)の後半戦の宿命だ。これはミニマムな視点から新撰組の歴史と、その分岐点を描く大作である。2年間の焦点を絞って、4人の視点から描く。
土方の弱さ、沖田の優しさがちゃんと描き切れたなら成功なのだが、作品全体を池田屋事件に照準を合わせすぎ . . . 本文を読む
こうして今見ると、これは変わることのないいつもの青年団の芝居なのだが、この作品がこんなにも何でもない会話がだらだら繰り返されるだけの芝居である、という事実に驚かされる。チラシにも告知されてあるけど、「くだらない人情喜劇」と一刀両断され、そこに「青年団史上」とついていることも含めて、この作品の特別さが際立つ。その存在意義も含めて芝居を見ながら改めていろんなことを考えさせられた。
この平田さん . . . 本文を読む
30年以上の歳月を経ての待望の続編。いや、そんなことではない。ようやく手塚眞の新作映画が見られる、ということが、まず嬉しいのだ。彼が新作長編に挑むだけでもいいのに、それが32年の歳月の果ての「星くず兄弟」というのも、なんだか彼らしくて、期待は高まる。前作を公開時に見た時、興奮した。こんなばかばかしい映画が作れるのだ、と感動した。そこに意味なんかなくていい。その後、彼は渾身の超大作『白痴』を作 . . . 本文を読む