白くて太くて大きな木が舞台の中央に、どん、とある。そして、そのまわりに3つのベンチがあるだけ。2時間の芝居はフラットでなだらかな曲線を示す。変わらないのに、少しずつ変わっていく彼らの想いが、静かな会話劇として綴られる。
とてもストレートで気持ちのいい芝居。言いたいことが直で伝わってくる。もちろんここには明確な答えなんてない。そんなもの、どこにもないかもしれない。長 . . . 本文を読む
いつものアート小説だ。だが、話の作り方は少しいつもとは違う。今回はゴッホを主人公にする。フィンセントとテオの兄弟と浮世絵をフランスに広めた林忠正とその助手重吉、彼ら4人の話として綴っていく。テオと重吉のふたつの視点を通してお話はゆっくりと展開していく。1886から91年までの5年間の軌跡を描く。ストーリー展開は時代を追う。正攻法のドラマ作りだ。
その中で描かれる4 . . . 本文を読む