地方にある農業高校の教師になった新米教師の1年間を追った前作の後を受ける2年目のお話。読みやすくて、楽しい。こういう田舎の学校を描くドラマは昔から大好きだから、ついつい手に取ってしまう。現実から逃避して、夢のような世界に浸る、というのは、映画や小説の最大の目的だが、今は気分が殺伐としていて、なかなか物語の世界に染まれない。毎日があまりにしんどくて、本を読んでいても、映画 . . . 本文を読む
AIが限りなく人間に近いものになる、というのはアトムの時代からSFで散々に描かれてきた話だ、いまさら、なのだが、この映画の新鮮さは、そんなありきたりに密室サスペンスを導入したところにある。しかも、世界から隔絶した広大な空間。2人の人間とAI。2人の男とひとりの女。彼らが織りなすドラマは恋愛ものに見えて、そこから大きくはみ出す。
『ブレードランナー』なんかを持ち出す . . . 本文を読む
これはとても痛ましい芝居だ。しんどい話である。こういうお話をどういうふうに見せるのかが成否のポイントとなるのだろう。ウエットになりすぎると、ちょっと重いし退いてしまう。難しい。感情移入を拒否して主人公たちと距離を取る。だけど、客観的すぎてもよくない。バランスが難しいのだ。
このくらいの距離の取り方が適切でいいと思った。近くもなく遠くもない。中村ケンシはドラマチック . . . 本文を読む
こういうタイプの家庭劇って最近少なくなった気がする。とてもオーソドックスな芝居だ。特別なことは一切ない。ある家族の風景を切りとる。父親の3回忌の法要に集まった家族の1日。昼過ぎに実家に帰ってきたところから始まり、接近する台風のさなか、その日の夜の団欒が描かれる。台風が近付くドキドキが子どもの頃を思い出させる。4人家族だった。典型的な核家族だ。人と人とのつながりが希薄になってきた今と . . . 本文を読む