地方にある農業高校の教師になった新米教師の1年間を追った前作の後を受ける2年目のお話。読みやすくて、楽しい。こういう田舎の学校を描くドラマは昔から大好きだから、ついつい手に取ってしまう。現実から逃避して、夢のような世界に浸る、というのは、映画や小説の最大の目的だが、今は気分が殺伐としていて、なかなか物語の世界に染まれない。毎日があまりにしんどくて、本を読んでいても、映画を見ていてもすぐに現実に想いを寄せてしまい、集中できない。
出来るだけ軽いものを読むようにしているけど、そんな軽さに乗り切れない。あさのあつこは『ランナー』の完結編『ラストラン ランナー4』(でも、まだまだ続編が出そう)も先日読んだし、結婚式を舞台にした群像劇『末永くお幸せに』も読んだ。今年に入ってもうこれで三冊目になる。読み流して、何も考えないし、電車の2往復で1冊が読めるから、楽。小説の世界を旅しながら、結局は現実世界を底に投影している。現実と小説や映画はリンクするのだ。
たわいないお話だが、教師2年目、20代半ばの女の子が、子どもたちと過ごす時間を心地よく受け止める。いろんなことを体験し、少しずつ成長していく姿が微笑ましい。
先月読んだ本は、畑野智美『神さまは待ってくれる』がベストだったが、甘糟リリ子のエッセイ『鎌倉の家』と舞城王太郎『されど私の可愛い檸檬』もよかった。初めて読む人では、伊与原新『月まで3キロ』がなかなかよかった。