たった86分の映画だ。これだけのスケールの映画なのにこの上映時間。でも、この悪夢は半端じゃない。まさかの展開でいったいこれはどこに行きつくのか、想像もつかない怒濤の展開を見せる。冒頭の結婚パーティ。上流階級の贅沢な式の様子が延々と続く。『ディアハンター』ほどではないけど、結構長い。だが、徐々にそこに不穏な空気が流れ始める。7年前にやめた使用人が娘の手術のために大金を借して欲しいとやってくる。母親は . . . 本文を読む
これまで読んだ2冊(『山の上のランチタイム』『山のふもとのブレイクタイム』)と同じで、この人の文章はわかりにくい。こんな話なのになんだか読みにくいのだ。きっと文章を書くのが下手なんだろう。読んでいてイライラする。もっとシンプルにお話が流れてくれたっていいはず。なのに、まどろっこしい。それはストーリー展開のさせかたなのだが、同時にこの物語の主人公たちの心の問題でもある。作者と主人公たちはとてもよく似 . . . 本文を読む
この長いタイトルの映画はシャンタル・アケルマン の75年作品。今から45年以上前の映画だ。だけど色褪せることなく、それどころかそのへんで公開されている今の映画以上に新鮮で刺激的な作品だった。しかもなんと3時間22分の大作である。こんなにも何もない映画なのに、これだけの長尺で、登場人物は、ほぼ主人公のジャンヌ・ディエルマン(デルフィーヌ・セイリグ)のみ。そんな映画ありですか。
彼女の3日間が描かれ . . . 本文を読む
なんとまぁ、そっけないタイトル。でも、この味気ないタイトルがこの映画にはふさわしい。感動の実話の映画化、ではなく、こんなことがあった、という記録に徹するような勢い。宣伝では「世界が震撼した[衝撃の実話]、世紀の国家スキャンダル〈ドレフュス事件〉映画化」なんて感じで煽られているけど、そういう映画じゃない。だけれどもドキュメンタリータッチというわけでもない。劇映画としてしっかり作られてある。
これは . . . 本文を読む
このタイトルは明らかに川本さんの『いまも、君を想う』を連想させる。川本さんこの映画好きかな? きっと面はゆいけど、嫌いじゃないはず。昔の自分を想起したりして。きっとまた奥さんのことを思い出すことだろう。幾分甘い映画だけど、悪くない。
妻を失った老人がバスを乗り継いでイギリスの北端から南端までを旅をする話。90歳の老人には身寄りがない。最愛の妻を亡くし、50年以上、ずっとふたりで暮らした家を離れて . . . 本文を読む