なんともシンプルなタイトルだ。フリーは「自由」の意味だと思っていたが、タイトルには「FLEE」とあるから、スペルが違う。調べたら「〔危険などから〕逃げる、逃れる 〔安全な場所に〕避難する、」とある。こちらはさらにシンプルなタイトルではないか。あまりに単純で簡単すぎて映画のタイトルだとは思えないほど。たくさんのひとたちの立姿が描かれたチラシを見たとき、これを見たいと思った。ひとりひとりの姿がとても印 . . . 本文を読む
空前絶後の不入りを記録している河瀨直美の新作。2部作で今回はアスリート編。オリンピックの公式記録映画のはずなのに、とてもミニマルな視点から全体ではなく部分だけが描かれていく。こんなのありか、と「お偉いさん」は憤慨しているのではないか。市川崑が64年の『東京オリンピック』を撮った時も、非難ごうごうだっただろうけど、あれは空前の大ヒットとなった。今回は非難さえ聞こえないくらいに悲惨な興行。公開2週目か . . . 本文を読む
11篇からなる短編集なのだが、これがとんでもなく怖い。いずれも怪異譚だ。だから特異なことを描くのが、それをとてもさらりと描くので、余計に怖い。日常に潜む「何か」が、ほんの少し肥大化したり、ずれてしまったりしたとき生じる出来事。あり得ない話ばかりなのに、ありえても仕方ないと思える。というか、ありえると思える。『雨月物語』の現代版という趣だ。
動けないし、しゃべれない病床の男が、魂になって友人である . . . 本文を読む