『ハムレット』を使ってこんなにも真剣に遊んでしまうなんて、伊藤さんはなんて素敵な方なのだろう、と改めて彼のファンになってしまった。今までもずっとFrance_panは大好きだったが、なんだかタイミングがあわなくて、全然見れないでいた。今回だって連絡を頂かなかったら、また見逃していたかもしれない。でも、これからはちゃんと全部見るから。全てに優先して見ようと心に決めた。(大袈裟だなぁ)それくらいに、素敵な作品だったのだ。
今回の『Hamlet!!!!!!!!』は彼がどんな姿勢で自分の作品を作り上げていこうとするのかが、とてもよくわかる作品だった。初めて既成の戯曲に挑みしかも、かの有名なシェイクスピアである。しかし、彼は自分のアプローチをゆるがせない。3本3ヶ月連続上演という画期的なアプローチを見せる。先月の第1回『読む』はリーディングとして、そして、今回は『遊ぶ』は、ワークインプログレスとして、さらには来月『創る』は演劇として。こういう進化を通して3つのハムレットを見せていく。
今回はハムレットを通して遊ぶというスタンスを取りつつも実は、的確すぎるくらいに正確にこの作品の本質を鋭く突いてくる。伊藤さんはハムレットという青年の内面を、その歪な心情にスポットを当てて見せる。
この長編戯曲を縮尺してそのストーリーを再構築するのではなく、ひとつの心象風景として作り上げていこうとする。もちろんそれがダイジェストなんかになる訳はない。いくつかのシーンを使い、よく知られているストーリーは損なうことなく、反対に知られていることを武器にして、その本質をゆがめることなく核心に迫っていこうとする。
こんなにもわかりやすく、遊びも満載させているにも関わらず、それがただのおふざけなんかにはなることがない。体を思いっきり使った表現(役者泣かせの芝居だ)は彼らの追い詰められた心情を見事に体現していく。登場人物を絞り込み、エピソードも整理して、ハムレットの中にある純粋な思いを切り取ることに成功している。たった1時間30分に纏め上げ、しかもその半分近くが、セリフのない身体表現やら、ただの暗闇だったりして、なのにそれがハムレットの本質を離れることはない。タイトルにある「遊び」というものが、とても趣味よく提示されてある。ふざけているのではなく、真剣にこの題材と遊んでいるから、ハムレットの意外な側面まで見えてくる。彼の真面目さと弱さがこの作品のスパイスになっている。まだ若い役者たちは、いくつになっても大人になりきれない現代の20代の大人たちを象徴しているようで、それも興味深い。
坪内逍遥の擬古文による台本を使ったのもいい。ストーリーではなく、心情をダイレクトに伝えるためにも効果的だった。顔の「ハム」という落書きやら、風船やらペットボトルの水を使った印象的な場面も含めて、実によく考えられてある。
次回、演劇バージョンへの期待は高まる。偶然かもしれないが、今回の作品はある意味で伊藤さんのハムレットに対するアプローチとしての完成型を示すものができてしまった気がする。これをやってしまった以上、次回何をしようとするのか。考えただけでもドキドキする。リスクの大きさを反対に力にして、舞台狭しと駆け巡る『ハムレットの大冒険』を期待している。
今回の『Hamlet!!!!!!!!』は彼がどんな姿勢で自分の作品を作り上げていこうとするのかが、とてもよくわかる作品だった。初めて既成の戯曲に挑みしかも、かの有名なシェイクスピアである。しかし、彼は自分のアプローチをゆるがせない。3本3ヶ月連続上演という画期的なアプローチを見せる。先月の第1回『読む』はリーディングとして、そして、今回は『遊ぶ』は、ワークインプログレスとして、さらには来月『創る』は演劇として。こういう進化を通して3つのハムレットを見せていく。
今回はハムレットを通して遊ぶというスタンスを取りつつも実は、的確すぎるくらいに正確にこの作品の本質を鋭く突いてくる。伊藤さんはハムレットという青年の内面を、その歪な心情にスポットを当てて見せる。
この長編戯曲を縮尺してそのストーリーを再構築するのではなく、ひとつの心象風景として作り上げていこうとする。もちろんそれがダイジェストなんかになる訳はない。いくつかのシーンを使い、よく知られているストーリーは損なうことなく、反対に知られていることを武器にして、その本質をゆがめることなく核心に迫っていこうとする。
こんなにもわかりやすく、遊びも満載させているにも関わらず、それがただのおふざけなんかにはなることがない。体を思いっきり使った表現(役者泣かせの芝居だ)は彼らの追い詰められた心情を見事に体現していく。登場人物を絞り込み、エピソードも整理して、ハムレットの中にある純粋な思いを切り取ることに成功している。たった1時間30分に纏め上げ、しかもその半分近くが、セリフのない身体表現やら、ただの暗闇だったりして、なのにそれがハムレットの本質を離れることはない。タイトルにある「遊び」というものが、とても趣味よく提示されてある。ふざけているのではなく、真剣にこの題材と遊んでいるから、ハムレットの意外な側面まで見えてくる。彼の真面目さと弱さがこの作品のスパイスになっている。まだ若い役者たちは、いくつになっても大人になりきれない現代の20代の大人たちを象徴しているようで、それも興味深い。
坪内逍遥の擬古文による台本を使ったのもいい。ストーリーではなく、心情をダイレクトに伝えるためにも効果的だった。顔の「ハム」という落書きやら、風船やらペットボトルの水を使った印象的な場面も含めて、実によく考えられてある。
次回、演劇バージョンへの期待は高まる。偶然かもしれないが、今回の作品はある意味で伊藤さんのハムレットに対するアプローチとしての完成型を示すものができてしまった気がする。これをやってしまった以上、次回何をしようとするのか。考えただけでもドキドキする。リスクの大きさを反対に力にして、舞台狭しと駆け巡る『ハムレットの大冒険』を期待している。