前作『犬鳴村』以上に嫌な気分にしかならない映画だった。それを意図したのなら成功なのだろうが、こういう成功作を誰が見たいと思うのだろうか。作品の完成度は低く、ストーリーは安易だし、ゆるゆるで緊張感は全くない。なのに、不快感だけはMAXである。怖いのではなく、ムカムカするのだ。清水崇は『呪怨』を撮ったとき、その不快感をきちんと恐怖へと昇華させていた。だから凄いと思ったのだが、今の彼はただ不快を提示するだけで、見ていてムカムカさせられるばかりだ。2時間ずっとそれが続くのだからこれは拷問だ。今回は怖がらせようともしていない。気味の悪さもそれだけで、ここで起きていることが何かにはつながらないから、お話としての満足感もない。なぜ、こんな映画を作ったのだろうか。ホラーの新機軸を目指したはずなのに、着地点は見えないまま見切り発車をしてしまい、迷走しただけ。そんな印象を受けた。
これなら樹海である必要もない。樹海のなかにある死者だけの村、という設定のはずなのに、映画はその村を作っていない。もちろんそんな村が見たわけではないけど、このタイトルなのにこれでは嘘になる。
指を切断して箱に入れることに何の意味があるのか。その箱を手にした人は必ず死ぬという設定も思い付きの域を出ない。なのにその設定が話の中心に居座っている。前作がヒットしたから二匹目のドジョウなのだけど、それにしてもあまりにつまらなさ過ぎて、見ていて情けなくなる。中田秀夫といい、清水崇といい、どうしてこんなことになったのだろうか。