シリーズの第6作。とても楽しい。こういうアットホームな小品連作って、ファンにしてみればたまらなく心地よいものなのだろう。先日からTV放送されている『東京バンドワゴン』は昭和の家族を描くが、この中西邦子によるシリーズは平成の家族を描いている。その差は興味深い。
中西さんはストーリーではなく、シチュエーションを大事にして、3兄弟とゲストとのやり取りだけで、作品を成り立たせている。それが結果的にたわいもない日常の、でもとても愛しいスケッチとなる。80分という上演時間もいい。無理せず、軽く流していく。バラエティ番組と芝居の中間くらいのスタンスで作られる。それって一見簡単に作っているように見えるが、実は結構難しい作業なのだ。軽さと自由度が枷になる可能性もある。嫌みにならないように立ち上げなくてはならないからだ。ここから感動的なドラマを期待する人は誰もいない。でも、ほっこりして、笑顔になれる。素直によかった、とうなずき合える。それって大事だ、と思う。そういう意味で、中西さんのライバルは空晴の岡部尚子さんだろう。彼女もまた、平成の大家族をテーマにして、芝居を作っている。立ち位置がとてもよく似ている。ただ、中西さんは大家族を描くのではないけど。(でも、そういうと、岡部さんも、大家族を描こうとするのではない)
今、家族の形態について考えることは、きっと重要な問題だ。核家族から再び、大家族へと移行するべきかもしれない現代において、その中間の緩やかさをこのシリーズは描こうとしている。3兄弟と、彼らの母親である(でも血のつながりはない。彼らの父親の再婚相手であり、年齢は接近しているから、姉弟のような感じ)中西さん自身が演じるよう子さんとの関係を核にして、新しい家族の形態を探る。「家族の再編」こそが隠されたテーマなのだ。
不在がちな父親(芝居には登場しない)をドラマの外側に置き去りにしたまま進行するこのシリーズは、他者の訪問をきっかけにして、(彼との交流を通して)彼ら一人一人が、今ある家族との関係を見つめなおしていく、というスタイルになっている。他者の参入によって、生じる小さな揺らぎが、もともと仲の良い兄弟だが、その絆の再確認となる。きっとふだんは彼らも個(孤)として生き、この家の中で別々に生活しているはずだ。というか、実際にこの家にいる時間なんて、わずかしかない。一家そろっていつも食卓を囲む習慣なんかないはずである。それが平成の家族の肖像であろうし、そのことはもうどうこう言うことはできないはずだ。
しかも、「今、ゆるやかに家族がいつも寄り沿って生きていく」という、本来あるべきライフスタイルへの回帰が望まれている。寄り添うことの大切さが再認識される時代の中で、中西さんがこのシリーズを続けていくことの意味は大きい。この先、彼らがどこに向かうことになるのか。次回も楽しみだ。
中西さんはストーリーではなく、シチュエーションを大事にして、3兄弟とゲストとのやり取りだけで、作品を成り立たせている。それが結果的にたわいもない日常の、でもとても愛しいスケッチとなる。80分という上演時間もいい。無理せず、軽く流していく。バラエティ番組と芝居の中間くらいのスタンスで作られる。それって一見簡単に作っているように見えるが、実は結構難しい作業なのだ。軽さと自由度が枷になる可能性もある。嫌みにならないように立ち上げなくてはならないからだ。ここから感動的なドラマを期待する人は誰もいない。でも、ほっこりして、笑顔になれる。素直によかった、とうなずき合える。それって大事だ、と思う。そういう意味で、中西さんのライバルは空晴の岡部尚子さんだろう。彼女もまた、平成の大家族をテーマにして、芝居を作っている。立ち位置がとてもよく似ている。ただ、中西さんは大家族を描くのではないけど。(でも、そういうと、岡部さんも、大家族を描こうとするのではない)
今、家族の形態について考えることは、きっと重要な問題だ。核家族から再び、大家族へと移行するべきかもしれない現代において、その中間の緩やかさをこのシリーズは描こうとしている。3兄弟と、彼らの母親である(でも血のつながりはない。彼らの父親の再婚相手であり、年齢は接近しているから、姉弟のような感じ)中西さん自身が演じるよう子さんとの関係を核にして、新しい家族の形態を探る。「家族の再編」こそが隠されたテーマなのだ。
不在がちな父親(芝居には登場しない)をドラマの外側に置き去りにしたまま進行するこのシリーズは、他者の訪問をきっかけにして、(彼との交流を通して)彼ら一人一人が、今ある家族との関係を見つめなおしていく、というスタイルになっている。他者の参入によって、生じる小さな揺らぎが、もともと仲の良い兄弟だが、その絆の再確認となる。きっとふだんは彼らも個(孤)として生き、この家の中で別々に生活しているはずだ。というか、実際にこの家にいる時間なんて、わずかしかない。一家そろっていつも食卓を囲む習慣なんかないはずである。それが平成の家族の肖像であろうし、そのことはもうどうこう言うことはできないはずだ。
しかも、「今、ゆるやかに家族がいつも寄り沿って生きていく」という、本来あるべきライフスタイルへの回帰が望まれている。寄り添うことの大切さが再認識される時代の中で、中西さんがこのシリーズを続けていくことの意味は大きい。この先、彼らがどこに向かうことになるのか。次回も楽しみだ。