とてもいい映画だ。しみじみとした気分にさせてくれる。とてつもなく小さな映画だ。描くこともささやか過ぎてこれでは手ごたえが無い、だなんて言う人もきっと沢山いるだろう。だが、確実にこの映画は見てる僕たちの胸に沁みてくる。
だいたい今までどうして藤沢周平の小説は大作として作られてばかりだったのだろうか。山田洋次が作ったりしたからかなぁ。まぁ『たそがれ清兵衛』も『隠し剣 鬼の爪』も素晴らしい映画だった。あのイメージがあまりに強い。『蝉しぐれ』も大作仕立てだった。それに比べ今回の作品のささやかさよ。
主人公の田中麗奈と東山紀之が同じ場所で言葉を交わすシーンは最初の桜の木の下でだけである。2人はその後、同一フレームに入ることはない。こんなラブストーリーってありなのか。最後の最後ですら2人は会えない。だが、2人の心がきちんと重なり合う。田中麗奈が徐々に彼に心惹かれていく過程が実に繊細なタッチで描かれていく。なんでもないシーンの積み重ねからそれが描かれる。寡黙な映画である。美しい風景を背景にして静かに時の流れに寄り添うように彼女の生活が描かれていく。
あまりに密やか過ぎて見過ごしてしまいそうな映画だが、篠原哲雄監督は丁寧に丁寧に2人この恋の顛末を描いて見せる。ほんの短い描写で彼女の心情のすべてを描く。そこから観客に感じさせるように作るのだ。人知れずひっそりとこんな映画が存在するのだ。だから今の日本映画は奥が深い。
だいたい今までどうして藤沢周平の小説は大作として作られてばかりだったのだろうか。山田洋次が作ったりしたからかなぁ。まぁ『たそがれ清兵衛』も『隠し剣 鬼の爪』も素晴らしい映画だった。あのイメージがあまりに強い。『蝉しぐれ』も大作仕立てだった。それに比べ今回の作品のささやかさよ。
主人公の田中麗奈と東山紀之が同じ場所で言葉を交わすシーンは最初の桜の木の下でだけである。2人はその後、同一フレームに入ることはない。こんなラブストーリーってありなのか。最後の最後ですら2人は会えない。だが、2人の心がきちんと重なり合う。田中麗奈が徐々に彼に心惹かれていく過程が実に繊細なタッチで描かれていく。なんでもないシーンの積み重ねからそれが描かれる。寡黙な映画である。美しい風景を背景にして静かに時の流れに寄り添うように彼女の生活が描かれていく。
あまりに密やか過ぎて見過ごしてしまいそうな映画だが、篠原哲雄監督は丁寧に丁寧に2人この恋の顛末を描いて見せる。ほんの短い描写で彼女の心情のすべてを描く。そこから観客に感じさせるように作るのだ。人知れずひっそりとこんな映画が存在するのだ。だから今の日本映画は奥が深い。