小6と小4の男の子を主人公とする。鹿児島と福岡。2つの場所で別々に暮らすことになった兄と弟だ。彼らの日常のスケッチを淡々と描き、ラストの奇跡に至る。兄は、新しく開通する九州新幹線の「つばめ」と「さくら」の一番列車がすれ違う瞬間を見ると奇跡が起こるという噂を聞く。子どもたちは奇跡に向けて旅に出る。
ここで描かれる奇跡とは、ふつうの奇跡ではない。(ようするに、「なんか思いもしないような凄いこと」ではない、ということだ。ややこしい。)これは是枝裕和監督の最新作である。なんと子どもたちが主人公だ。『誰も知らない』も子どもを主人公にしていたが、今回はまるで児童映画のような内容である。そう言えば、こういうタイプの児童映画って最近はなかった気がする。(昔「にっかつ児童映画」っていうのがあり、ロマンポルノと並行して子どもたちのための良質の映画を作っていた。余談だが、僕はそこでバイトをしていたことがある! あの頃は毎日が楽しかった。映画会社で働くことに憧れていたから大学そっちのけで、夢中になって働いた。)
この映画の中で描かれる奇跡は、彼らがひとつの場所で出会い、言葉を交わし、一晩を共に過ごし、再び別れていくことだ。そんなとても小さな奇跡だ。その小さな旅そのものが奇跡なのだ。
子供たちだけで、1泊の旅をする。行き当たりばったりで、何かあったらどうするのか、心配になる。観客の方が家族より心配してる、それってどうよ、と思う。家族は彼らを信頼し、見て見ぬふりをする。というか、協力する。それにしても、なんともいいかげんで計画性のない旅だ。都合よくいい人と出会えたからよかったけど、そうじゃなかったらどうなっていたことか。あの老夫婦との出会いが奇跡だと思う。だから、とても嘘くさい。そんな都合よくいくわけがないと思う。子供たちだけでこんなこと、出来るわけがない。たとえ平和な今の日本であったとしても、危険はいっぱいだ。でも、彼らはそれをやり遂げてしまう。大人たちの無償の協力の下で。
なんとかなる。そして、それぞれがお互いに今の生活に戻る。バラバラになった家族が、もう一度ひとつになったなら、と彼らは願う。でもそれはとても難しいことだと、子供心にもわかる。だけど、彼らはあきらめたくない。今いる場所でしっかり生きる。その上で夢はあきらめない。自分で出来る努力は続ける。それって、なんて素敵なことだろう。この夢のような映画はそんな彼らの姿を描く。
ダメ親父をオダギリジョーが演じる。けなげに頑張る母親を大塚寧々。この2人の周辺の大人たちを『歩いても歩いても』のキャストが固める。こういう小品を是枝監督が作るなんて、なんだか嬉しい。
ここで描かれる奇跡とは、ふつうの奇跡ではない。(ようするに、「なんか思いもしないような凄いこと」ではない、ということだ。ややこしい。)これは是枝裕和監督の最新作である。なんと子どもたちが主人公だ。『誰も知らない』も子どもを主人公にしていたが、今回はまるで児童映画のような内容である。そう言えば、こういうタイプの児童映画って最近はなかった気がする。(昔「にっかつ児童映画」っていうのがあり、ロマンポルノと並行して子どもたちのための良質の映画を作っていた。余談だが、僕はそこでバイトをしていたことがある! あの頃は毎日が楽しかった。映画会社で働くことに憧れていたから大学そっちのけで、夢中になって働いた。)
この映画の中で描かれる奇跡は、彼らがひとつの場所で出会い、言葉を交わし、一晩を共に過ごし、再び別れていくことだ。そんなとても小さな奇跡だ。その小さな旅そのものが奇跡なのだ。
子供たちだけで、1泊の旅をする。行き当たりばったりで、何かあったらどうするのか、心配になる。観客の方が家族より心配してる、それってどうよ、と思う。家族は彼らを信頼し、見て見ぬふりをする。というか、協力する。それにしても、なんともいいかげんで計画性のない旅だ。都合よくいい人と出会えたからよかったけど、そうじゃなかったらどうなっていたことか。あの老夫婦との出会いが奇跡だと思う。だから、とても嘘くさい。そんな都合よくいくわけがないと思う。子供たちだけでこんなこと、出来るわけがない。たとえ平和な今の日本であったとしても、危険はいっぱいだ。でも、彼らはそれをやり遂げてしまう。大人たちの無償の協力の下で。
なんとかなる。そして、それぞれがお互いに今の生活に戻る。バラバラになった家族が、もう一度ひとつになったなら、と彼らは願う。でもそれはとても難しいことだと、子供心にもわかる。だけど、彼らはあきらめたくない。今いる場所でしっかり生きる。その上で夢はあきらめない。自分で出来る努力は続ける。それって、なんて素敵なことだろう。この夢のような映画はそんな彼らの姿を描く。
ダメ親父をオダギリジョーが演じる。けなげに頑張る母親を大塚寧々。この2人の周辺の大人たちを『歩いても歩いても』のキャストが固める。こういう小品を是枝監督が作るなんて、なんだか嬉しい。