習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『抱擁のかけら』

2010-02-17 22:03:52 | 映画
 アルモドバルの新作だ。14年の歳月を経て、もう一度生き直そうとする映画監督の姿を描く。14年前(1994年)彼にとっての最後の映画に係わる話と、現在(2008年)の話を交錯させながら、自分を失った男が、もう一度自分に戻るまでの物語だ。話がなかなか読めないまま展開していく。でも、おもしろいから飽きることはない。一体何がどうなってるのか、なかなか明確にはならない。でも、わからないまま緊張を持続させる . . . 本文を読む
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logbook制作向上委員会 『logbook ver.4』

2010-02-17 19:43:49 | 演劇
 今回で4回目になる。(写真は以前のもの) でも、何回見ても新鮮でおもしろい。今までで一番スケールの大きな作品になっている。作品自身は前回をベースにしてあるが、音楽を(ザ・喫茶店の2人組が担当)入れ替えしたことで、がらりと印象が変わる。70年代テイストのサイケな雰囲気が作品をカラフルなものにしている。これは寺山修司が生きた時代の雰囲気に近い。  だが、それは必ずしも、時代色を出そうという意図では . . . 本文を読む
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『猿ロック THE MOVIE 』

2010-02-17 19:37:10 | 映画
 昔よくあった添え物映画を思わせるB級映画。どうでもいいようなつまらない2本立の1本。おまけでしかない映画。今はほぼ全ての映画が1本で上映されるから、こういうタイプのあからさまに力の抜けた映画は作られない。日本では70年代まで盛んにこういう映画も作られていた。低予算で誰からも期待されないし、すぐに忘れられるような映画だ。これを見ながら、腹が立つ、というよりもなんだか懐かしいなぁ、と思わされた。 . . . 本文を読む
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山崎ナオコーラ『ここに消えない会話がある』

2010-02-15 22:27:43 | その他
 平易で読みやすい。往復の電車の中で読み終えてしまった。たった1日で終了だ。あっけない。でも、そこがこの小説にぴったりだ。  あっさりしてて、別に何があるというわけでもないが、読んでいて、とても心地よい。これはTV局の番組表を作成している会社のお話。そこには社員が6人。彼らの会話が綴られていくだけ。話らしい話はない。そこはいつもの通りだ。 別にここには何もない。ただ、たわいもない会話がある。 . . . 本文を読む
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コメディユニット磯川家『ザ・ベストマンション  vol.2F』

2010-02-15 22:19:10 | 演劇
 今回はマンションの一室を舞台にしたシチュエーションコメディーだ。シリーズの第2弾ということで、サブタイトルに『2F』とある。さらにこのシリーズは続き、今年の夏にはなんと『3F』が東京で公開される。磯川家は絶好調だ。前回に続きこのシリーズは今回も3本立である。それぞれが長編の独立した作品になっている。(当然、次の東京公演も3本立だ)  これはこの集団の勢いを感じさせる企画だ。作、演出の保木本真也 . . . 本文を読む
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浮狼舎『君が嘘をついた』

2010-02-15 22:11:23 | 演劇
 とても嫌な男の話だ。そんな男を中山治雄さんがうまく演じている。神原さんが彼に当て書きしたらしい。ねちっこくて、しつこくて、彼の持ち味がよく生かされている。こんなにも嫌なヤツなのに、彼から目が離せないのは、この男の弱さも含めて、その危険な部分が興味を惹くからだ。嫌なヤツであるという前提がまずある。これが現実の話なら、誰もこんな男と関わり合いを持ちたくはないはずだ。だが、芝居の中なら、興味を持つ。 . . . 本文を読む
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空間悠々劇的『透明人間の告白』

2010-02-15 21:56:11 | 演劇
去年、この集団の短編集を見せてもらった(『悪魔の大実演会』)が、あれはかなりおもしろいコメディーだった。不条理にはなりきらないが、簡単なコメディーでもない。その安定感のなさが面白かった。それは拙いというのとは少し違う。わざと混ぜ返すようなことをする。でも、それは決して計算されたものではなく、なんだか思い付きの域を出ない。ふつうそれはしない。でも、まるで今やってることに飽きたように滅茶苦茶にしてし . . . 本文を読む
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豊島ミホ『やさぐれるには、まだ早い!』

2010-02-14 21:51:33 | その他
 豊島ミホ初のエッセイ集。で、同時に最後のエッセイ集。『リテイク・シックスティーン』で作家活動に終止符を打った彼女のここ数年の心境を語ったもの。「L25」に掲載されたものをまとめた。書き下ろしも数編ある。  どこにでもいるふつうの女の子のつぶやきが綴られる。正直言ってありきたりなことを書いただけのつまらいなエッセイでしかない。時間を割いてわざわざ読むまでもない。途中で辞めようかとも思ったが、せっ . . . 本文を読む
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dracom  Gala『対局時計』

2010-02-12 19:03:05 | 演劇
 明確なストーリーのあるドラカンなんて想像もつかない。でも、そんな芝居に初めて筒井さんが挑戦した。芝居の中に話があり、意味すらある、そんなドラカンと対面する。  無意味としか言いようのないものに持てる情熱の限りを注ぎ、そこから奇跡のような作品を作り続けるのがドラカンの本来のあるべき姿なのだが、今回はそんな彼らがストレートプレイに挑む。彼らのくだらなさと背中合わせのパフォーマンスが感動的なのは、そ . . . 本文を読む
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『ミルク』

2010-02-11 21:41:45 | 映画
 かって見たドキュメンタリー映画『ハーヴェィ・ミルク』と比較する必要はないはずなんだが、どうしても較べてしまう。昔、あのドキュメンタリー映画を見た時の衝撃は大きい。まだ子供だったから(と、いっても20代だったはずだが)かもしれないが、そこに描かれる出来事に圧倒された。同時に彼の生き方に興味を持った。ゲイに対する理解もなく、ただこんな人がいたんだ、という事実に圧倒されたのだ。今とは時代が違うし、考え . . . 本文を読む
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演劇農耕者『別れのうた』

2010-02-10 21:21:17 | 演劇
 こういうタイプの題材を小劇場で取り上げるなんて実に珍しいことだ。ショパンを主人公にして、彼の最後の10年ほどを追いかけていく。生真面目に正攻法で見せていくのも、いい。だが、なんだか見ていてもどかしい。どうして、こんな芝居を作ろうとしたのだろうか。よくわからない。  男装の麗人ジョルジュ・サンドとの出会い、彼女の生き方に共鳴するものを感じ、2人は恋に落ちていく。ここに描かれるこの2人の愛憎劇は、 . . . 本文を読む
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石田衣良『6TEEN』

2010-02-10 21:19:25 | その他
 前作『4TEEN』の4人組が16歳になって、帰ってきた。前作は4話からなるオムニバスだったが、今回は10話もある。その分、各エピソードの密度が薄くなる。さらりとして読みやすいし、恋愛の話が中心で、軽いタッチの作品が多い。その分、物足りない。  今回の主人公は明らかにテツローになっている。(もしかしたら前回もそうだったかもしれないが)彼を中心にして、彼の1人称で、話は展開していく。もちろん彼と3 . . . 本文を読む
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ニュートラル『ゆきのふる』

2010-02-10 21:16:17 | 演劇
 1月の『さよならココア』では、小劇場演劇について語る、ある種、テーマ主義のメッセージ芝居を展開した大沢秋生さんが、今回はいつものフィールドに戻って感覚的な作品に挑む。  最初はナレーションによる無言劇として、別々の2人(大沢めぐみ、河上由佳)の、それぞれの時間が描かれる。あらゆる面で2人を対照的に見せる。左右で、2人が装備(マフラーや、手袋です)を外す、付ける、行為が描かれるところから始まる。 . . . 本文を読む
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コレクトコレクション『仮。』

2010-02-08 20:48:31 | 演劇
 仮。いったい何が『仮』なんでしょう。松本さんに聞けばよかった。気になる。  今回、コレクトエリットの上演会なのに、彼らの作品を見られなかったのが残念でならない。土曜日なら、3本立だったらしいが、この日はスペシャルで、6本立。4時間近くに及ぶ豪華ラインナップで、断念した。当然トリが彼らなので、仕方ない。  と、言うことで、今回は4本の短編を見た。シリアスなドラマが2本。コントが2本。いずれもお . . . 本文を読む
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鹿殺し『スーパースター』

2010-02-08 20:08:16 | 演劇
 なんとなくとても懐かしい作品だ。鹿殺しが東京に拠点を移してから、始めて見た。5年振りということになる。別に避けていたというわけではなく、案内も来なくなったし、なんとなく見る機会がなかったというだけの話だ。今回久々に見せてもらって、ほんとうによかった。上手くなっていたとか、そんな話ではなく、(もちろんとても上手くなってるのは、当然のことだ)この芝居は僕の胸にしっかり響いてきたということだ。とても好 . . . 本文を読む
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