『刻まれない明日』に先立つ三崎亜記の短編集だ。やはりこの人の短編は、いつも星新一のショートショートを読んでるような気分にさせられる。今回もやはりそうだった。(と、言いつつも僕はもう30年以上星新一を読んだことがない。でも、中学生の時にありとあらゆる星新一を読破した。それくらいに、彼が好きだったのだ。)
だが、それはこれを褒めているというわけではない。アイディは悪くないが、軽すぎる、ということ . . . 本文を読む
ウディ・アレンの最新作だが、劇場で見るまでもない。たわいない映画だ。こんな観光映画をウディ・アレンが作る時代が来た、だなんて、なんだか嘆かわしい。ニューヨークを離れても映画が作れるウディ・アレンは、成長したというべきなんでしょうか。僕にはもう無残としか言いようがない、と思うのですが。確かに『マッチ・ポイント』はつまらなくはなかった。だが、わざわざ彼が撮らなくてもいいんじゃないか、と思った。今回も . . . 本文を読む
テリー・ギリアムの新作である。ヒース・レジャーの遺作でもある。撮影途中で主役である彼が死亡。映画は完成せずにお蔵入り、というピンチを乗り越えて、無事完成。ほんとによかった。テリー・ギリアムはほんとに災難ばかりだ。あのドンキホーテに続き今回も未完成のまま終わっても不思議ではなかったはず。ヒースの遺志を受け継いで3人の大物俳優が鏡の世界でのヒースを演じる。美談である。そういうわけでこのなんとも豪華な . . . 本文を読む
扇町MSで初めて遊◎機械/全自動シアターを見てから、もう20年くらいが経つ。時の経つのはほんとに早い。あの時見た芝居は『僕の時間の深呼吸』だ。とてもおもしろかった。
でも、正直言うとあの頃は面白い芝居がたくさんあったから、当時はあれを特別凄いとは思わなかった。同時期に見た自転車キンクリートなんて、つまらないとしか思わなかったくらいだ。まぁ、感傷に耽っていてもしかたないが、あの頃は凄かった。あ . . . 本文を読む
アクサルの芝居を見て、初めて感動した。ここまでよく出来てるとは想像もしなかった。今回初めて本格的にオリジナル脚本に挑んだ古谷光太郎さんのアイデア勝ちである。だいたい滝沢馬琴による『南総里見八犬伝』の舞台化は不可能だ。あの膨大なお話である。そのどこに焦点を絞ろうとも中途半端なものにしかならない。2時間程度では難しい。壮大なスケールのお話は、盛りだくさんでまとめようもない。
昔、深作欣二監督がこ . . . 本文を読む