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映画・演劇のレビュー

空の驛舎 『ブルーギル』

2010-08-18 21:15:07 | 演劇
 中村賢司さんらしいまじめで重い芝居だ。昭和64年1月と、平成22年8月という2つの時間、同じ場所(とある高校の、かつては宿直室であり、今は女子職員の休憩室となっている部屋)でのドラマが、高校という閉鎖的な空間での様々な問題を浮き彫りにしていく。これはよくあるような学園ものではない。だいたい生徒たちは一切出てこない。  夜の学校にたむろする卒業生たちを描く昭和のパート。ここでの彼らは、なんだか懐 . . . 本文を読む
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生田紗代『それいゆ』

2010-08-18 21:13:14 | その他
 大学の演劇サークルを舞台にした青春小説である。生田さんがこういうものを手掛けるなんて驚きだ。普通の女の子、南夕夏が主人公。彼女は大学に入学してサークルに入ろうとする。その時、今まで経験したこともない芝居をやってみようとしたのは、高校時代、ある女の子が演劇をしていたのを見ていたからだ。彼女は教室ではまるで目立たないのに、ESSで英語劇をしている時だけはまるで別人のように生き生きしていた。誰もそんな . . . 本文を読む
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『ちょんまげぷりん』

2010-08-17 21:47:30 | 映画
 前半が圧倒的にすばらしい。いきなり江戸時代から現代にタイムスリップしてきた侍がたった一人で、このへんちくりんな世界に立ち尽くすという構図が素晴らしい。  何もしゃべらず、ただ立ったままで、周囲の風景、人々を呆然と見守り続けるだけ。何が何だかわからない。そんな錦戸亮を、ともさかりえと彼女の幼い子供が見つける。そしてこの男を助ける。これは彼ら3人の物語だ。母子は仕方ないから彼をしばらく居候させる。 . . . 本文を読む
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束芋 「断面の世代」展

2010-08-17 20:49:24 | その他
久々に美術展の会場に足を運んだ。だって束芋の個展が国立国際美術館で2カ月も公開されているのだ。これに足を運ばなくて、どうするというのだ。  キリンコンテンポラリーアワードでデビューしたころからずっと彼女の描く世界に魅了されてきた。今回こんなにも大々的な展覧会が大阪で開催されてうれしい。吉田修一の『悪人』の挿絵を新聞連載時に担当し、その原画を一挙公開するというのが今回の目玉なのかもしれないが、そ . . . 本文を読む
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山本甲士『戻る男』

2010-08-14 20:37:04 | その他
 こういうエンタメ小説が読みたかったのだ。ドキドキしながら、ページを繰る。意外な展開。読めそうで読めない先の展開。そのくせ予想どうりの展開が心地よい。それはないでしょ、という無理さがないのだ。 スランプに陥った小説家が、たった50万で過去にタイムスリップし、後悔ばかりが残る過去をやり直せれるという怪しい誘いを受けて、雑誌の取材がてら体験してみるのだが、本当に過去に戻って、自分の些細な歴史を変え . . . 本文を読む
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関口尚『潮風に流れる歌』

2010-08-14 20:24:17 | その他
 連日地獄のように暑い試合会場で、生徒の試合が始まるのをを待ち続ける日々が続くので、1日1冊のペースで本が読めてしまう。なんだかなぁ、である。毎日10試合以上を真剣に見ているから、凄く疲れる。クタクタだ。ということで、読む小説は、軽い青春小説をチョイスしているのだが、そのどれもが楽しい。それだけがせめてもの救いだ。  さて、本作だが、4人の男女を主人公にして、それぞれの事情を背景に彼らが今の自分 . . . 本文を読む
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DRY BONES『オカリナ Jack & Betty -わたしたちののぞむものは-』

2010-08-14 19:04:17 | 演劇
 竹内銃一郎、作、演出という金看板は僕たちの世代にとっては凄い威光だが、この芝居を見に来ている若い学生たちにとっては、「誰?その人?」って感じなのだろうか。劇場の客席を見渡すと、そこには20歳前後の劇団員の知り合いと思しき人たちばかりだ。普通の学生劇団の公演となんら変わりはない。竹内さんの新作が見れるのに、それがここまで日常の中に埋もれているってなんだか凄いことだ。  竹内さんが若い人たちと一緒 . . . 本文を読む
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『ベスト・キッド』

2010-08-12 20:14:24 | 映画
 あの『ベスト・キッド』がなんとジャッキー・チェンを師匠役に迎えて再映画化される。しかも主人公の少年はウイル・スミスの息子で父と共に『幸せのちから』で主演したジェイデン・スミス。さらには舞台が北京。アメリカのメジャーが、本格的に中国を舞台にして映画を作るのは、これが初めてのことではないか。北京の街並みをどう切り取り見せるのかも楽しみだった。だが、仕上がった映画はべつに舞台が北京である必要のない映画 . . . 本文を読む
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桃園会『a tide of classics ~三好十郎・浮標~』

2010-08-11 18:44:50 | 演劇
 あとわずかな時間の後、死んでいく運命にある妻、美緒子(武田暁)と、彼女の看病のためにすべてを投げ出す夫、五郎(紀伊川淳)、彼ら2人の物語である。3時間30分に及ぶ大長編。オリジナル台本(三好十郎)をカットすることなく、舞台化した。  これは傑作である。そして、きっと今年のベストワンとなる芝居である。それが深津篤史さんの桃園会での復帰第1作だったということを心から喜びたい。こんなにも優しくて厳し . . . 本文を読む
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『エアベンダー』

2010-08-09 21:24:44 | 映画
 これは3D上映で見ようと思った。シャマランのハッタリ映画が、3Dに挑戦したのである。きっと中身がない分、ハッタリは効きまくっているものと期待した。『シックスセンス』で衝撃的にデビューして、もう何年? 相変わらずの映画ばかりでさすがにもう誰も彼には期待しなくなった。今回だって、少なくとも日本では誰も期待してないはずだ。劇場には閑古鳥が鳴いている。(まぁ、この映画に限ったことではないが)  一応こ . . . 本文を読む
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有沢佳映『アナザー修学旅行』

2010-08-09 21:03:45 | その他
 中学の修学旅行は絶対だ。小学校でもダメで、高校でもダメ。中学生というかなり微妙な時間の最後で、みんなが一緒の別世界へと旅立つたった3日間ということに深い意味がある。だから、その旅行に行けなくなるなんて、本人たちにとっては、この世の終わりだろう。  この小説はそんな不幸な子どもたち6人(プラス1名)が主人公だ。しかたなく学校に登校してきて、することもないのに、教室に押し込められて、自習とか、旅行 . . . 本文を読む
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小池昌代『わたしたちはまだ、その場所を知らない』

2010-08-09 20:27:21 | その他
 こんなにも何もない小説はなかなかお目にかかれないだろう。あまりのことに、腹を立てる人もいるはずだ。青春小説として、読み始めて、どんな事件があるのか。どんな子どもたちが出てくるのか。普通ならそれを楽しみながら読み進めるはずだ。  だが、見事に何もない。ストーリーらしいストーリーもない、というのではない。話はある。確かにある。だが、この小説はそんな話を語るためにあるのではない。2人の主人公は、ある . . . 本文を読む
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追手門学院高校『農業少女』、千里高校『ノベル』

2010-08-09 19:53:11 | 演劇
 HPFが終了して、1週間になる。16日間23作品のうち10本を見ることが出来た。近年では久々のことである。二桁を記録したことは。この時期は日程的にもスケジュール的にもなかなか厳しいものがあり、どうしても5.6本程度になっていた。だから、今年は最初からかなり融通を利かせて計画した。その結果である。しかも作品自体も充実したラインナップで満足している。  さて、僕の最終日である7月30日に見た追手門 . . . 本文を読む
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コトリ会議『びゅいーん、瓶』

2010-08-08 09:39:16 | 演劇
 見事なまでに何にもない話。ストーリーに仕掛けられたものが、やがては見えてきて、どんな展開が待っているのか、と期待していると、肩すかしを食らう。宇宙人が攻めて来たり、大統領のリコールがあったり、この星が滅びたり、と(それって、かなり凄いはず、の展開でしょ)盛りだくさんなのだが。  実はそんなことも含めて、ここには見事に何もない。大きな歴史の中にあっては、それくらいのことは、なんでもない、というこ . . . 本文を読む
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『人生に乾杯!』  7月末から8月の初めで見た映画、読んだ小説。

2010-08-08 08:25:15 | 映画
 この2週間でたまった映画や小説のことを書きたい。でも、あまりに膨大すぎて、どこから手をつけたならいいのだか、想像もつかない。それに芝居だって先週分を書いていない。昨日、合宿から帰ってきた。だから、この1週間は何もしていない。まぁ僕のプライベートなんか、どうでもよいことなのだが、あまりに時間が経つと、いくらなんでも忘れてしまうので、簡単に要点だけでもメモしておこうと思う。また、時間が出来たなら、ゆ . . . 本文を読む
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