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映画・演劇のレビュー

劇団ひまわり『チルドレンズ いっぱいの愛をこめて』

2015-04-10 22:23:03 | 演劇
教育活動の一環としての演劇には興味があるので、劇団ひまわりによるこのタイプの[発表会]も時間の許す限り見させていただいている。幼少の子供たちから高校生、さらには大人まで含めて研修生たちが1本の作品にかかわる。自分たちが学んだことを1本の舞台作品の中でどう生かし、自分をしっかりとアピール出来るのかがここでは大切なのだろう。 総勢70名に及ぶキャストを抱え、(3プロ編成なので主要キャストはダブル、あ . . . 本文を読む
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坂木司『ホリデー・イン』

2015-04-10 22:22:13 | その他
『ワーキングホリデー』が、かなり面白かった。こういうベタな話は、どうかと、思うけど、坂木さんは正々堂々とそれをやりきってくれたから、気持がよかったのだ。父と息子の話で泣かせる。もとヤンキー、今、ホストのバカ男、ヤマトのもとにいきなり小学生の男の子(進)がひとりで訪ねてきて、「お父さん、」と言う。自分に息子がいた、だなんて、知らずに生きてきた彼は吃驚仰天する。人間として、とてもよく出来たその小学生の . . . 本文を読む
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原田マハ『奇跡の人』

2015-04-07 21:21:14 | その他
これは凄まじい。日本版ヘレンケラーなんて、しかも、雪に閉ざされた津軽を舞台にして、明治20年という時代の話だし。読むのは気が重かった。いつまでたっても食指がそそられず、他の本を何冊も先に読み、置いたままになっていたのだが、ようやく意を決して読み始めた。 すると、これがおもしろい。というか、止まらない。こんなにも力強く、強烈な小説で、でも、それが昔ながらの「意地と根性」のスポ根タイプの展開ではな . . . 本文を読む
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『マダム・イン・ニューヨーク』

2015-04-07 21:20:40 | 映画
ひとりで言葉も分からない国にやってくる。そんな彼女のドキドキがダイレクトに伝わってくる空港のシーンがいい。そこからは一気に作品世界に引き込まれる。それまでの毎日の生活を描く部分(ここはどこだ、と思うくらいに豊かな世界がそこにはある。インドのセレブの世界は凄い)も面白かったけど、アメリカに降り立ってから映画の世界は一転する。 インドの裕福なマダムが、ニューヨークで暮らす姉から姪の結婚式の手伝いを . . . 本文を読む
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『おじいちゃんの里帰り』

2015-04-07 21:19:46 | 映画
移民のお話だ。トルコから言葉も分からない土地にやってきて、そこで生きた夫婦の物語。やがてそこに根付き、そこで生を営み、家庭を(家族を)そこに作り、そこが新しい祖国になる。 そこでは確かによくあるような苦難の歴史が描かれてある。当然の困難だ。だが、それを家族が団結して乗り切っていき、今の暮らしがある。今、ようやく落ち着いて改めて自分というものと向き合うとき、少し寂しい気分になる。母国語を話さない孫 . . . 本文を読む
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『ある過去の行方』

2015-04-05 19:04:13 | 映画
『別離』(2011)でアカデミー賞を受賞したイランのアスガー・ファルハディ監督が初めて海外で作る作品。フランスを舞台にした家族の物語。今回も離婚を巡るお話になっている。男女が別れ、それぞれ別々の生活を送っている。彼女は再婚するため、イランに帰った元夫をパリにの呼び出す。正式に離婚手続きをしてもらうためだ。冒頭の空港での再会シーンから、実にミステリアスで、別にこれはミステリーなんかじゃないのに、こん . . . 本文を読む
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あさのあつこ『グリーン・グリーン』

2015-04-04 19:10:07 | その他
タイトルはこの小説の主人公のあだ名なのだが、こんなあだ名ないわ、と思いつつも、まず、こんなあだ名になった理由が、彼女の名前にあり、翠川真緑って、そんな名前、誰がつけるんじゃ、である。きっと親が付けたにしても、被りすぎじゃないか。と、ここまで書きながらそんなこと些細なことでこの際どうでもいいのだが、なんだか、気になり書いてしまった。 ということで、タイトルは『グリーン、グリーン』である。田舎の農業 . . . 本文を読む
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『複製された男』

2015-04-04 17:59:30 | 映画
これは一体何なんだ、と唖然とするラストだ。90分の映画なのに、ラスト5分になっても収拾がつかない。これは! と思った時、いきなり終わる。あの蜘蛛なんですか? それまでもイメージショットとして出てきていたけど、それにしても、そこで終わりますか? ありえない。 あまりにわかりやすいタイトルだから、その謎を解いてくれるか、と思う。なのに、はぐらかされていく。静かに、淡々としたタッチで見せていく。自分と . . . 本文を読む
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『ブルージャスミン』

2015-04-04 17:58:47 | 映画
毎年1本ずつ新作をコンスタンスに発表するウディ・アレンの2014年公開作品だ。今年の新作『マジックインムーンライト』が今週末には公開されるから、その前にこの映画を見ておこうと思った。別に順を追って見るべきとは思わないけど、ついつい借りてきてしまった。今回の作品は残念ながら、いつもの軽妙な作品ではなく、思いっきり暗い。 「ケイト・ブランシェットを主演に、上流階級から転落したヒロインが再起をかけて . . . 本文を読む
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『ジュピター』

2015-04-02 21:28:10 | 映画
『マトリックス』のウォシャウスキー姉弟の最新作である。「この春、これを見ずして、何を見る?」と、それくらいにワクワクする。今回は、どんな思いもしない世界を展開してくれるのか。楽しみでならない。彼らなら想像を絶する冒険を見せてくれるはずだ。僕たちのイマジネーションの先の先へと連れて行ってくれるはず。前作『クラウドアトラス』も、奇想天外なお話を壮大なスケールで見せてくれた。並行して描かれる6つのお話 . . . 本文を読む
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『エイプリルフールズ』

2015-04-02 21:00:24 | 映画
実はちょっと期待もした。(でなければ見ないし。)もっと毒のある映画ではないか、と。 一見安易な企画に見えて、でも、これはうまく作るとかなり面白いものになるのではないか、と思ったからだ。どこまでだますのか。それがこの作品の勝負どころだろう。これだけの役者を集めて、彼らの競演というだけでも、商売になる。 作品としては『THE 有頂天ホテル』に代表される三谷幸喜映画のようなスタイルだが、もう少し軽い . . . 本文を読む
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『それでも夜は明ける』

2015-04-02 20:59:39 | 映画
スティーブ・マックイーン監督の新作なのだが、こういう大作映画を彼が手掛けて、こんなにも普通に感動的な作品に仕立てた。映画はよかった、とは思うけど、正直言うと、あまりにありきたり(想像可能な苦難のドラマ)で、なぜ、今こういう映画が作られたのか、なんかよくわからない。 ウイキペディアには「原作は1853年発表の、1841年にワシントンD.C.で誘拐され奴隷として売られた自由黒人ソロモン・ノーサップ . . . 本文を読む
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山本渚『吉野北高校図書委員会 2・3』

2015-04-02 20:58:04 | その他
なんと漢字だけで10字のタイトルだ。こういうのって実はかなり珍しいことではないか。ふつうタイトルには、どこかで必ずひらがなが入る。なのに、この小説は漢字オンリーだ。しかも、無理してそうなったのではないことは見たらわかる。こういうどうでもいいようなタイトルは、なかなかない。まぁ、大したことではないのだが、そんなことをふと思った。 この平凡な何の工夫もなさそうに見えるタイトルが実は斬新だ。だいたい図 . . . 本文を読む
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