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毎年1本ずつ新作をコンスタンスに発表するウディ・アレンの2014年公開作品だ。今年の新作『マジックインムーンライト』が今週末には公開されるから、その前にこの映画を見ておこうと思った。別に順を追って見るべきとは思わないけど、ついつい借りてきてしまった。今回の作品は残念ながら、いつもの軽妙な作品ではなく、思いっきり暗い。
「ケイト・ブランシェットを主演に、上流階級から転落したヒロインが再起をかけて奮闘し、苦悩する姿を描いたドラマ」と解説には書いてあったが、まぁ、確かにそうだし、その説明はわかりやすいけど、そんな簡単なものじゃない。ウディ・アレンがこれをコメディとして作ってはいないことはもちろん誰も眼にも明らかだが、どこかの解説にこれをコメディとして受け止め書いてある文章も発見。なんだか、いろんな受け止め方があるんだと改めて思う。ふだんは他人の書く批評はあまり読まないのに、今回はいくつか、読んだのは、この作品があまりにいつものアレン作品と違いすぎるからだ。その戸惑いは決していやだ、というわけではない。昔彼が『インテリア』を作った時、それはないやろ、と思ったけど、(それは彼がああいう深刻な映画を作ったことではなく、それがベルイマンのモノマネに見えたからだ)今回は、別の意味でこれはないわ、と思った。痛々しいにもほどがある。
こういう痛い女をアレンが描くとは思わなかった。でも、見ているとやはりこれは彼らしい。こんな話なのに悲惨ではなく、だんだん仕方ないなぁ、と思えてくる。まるで反省はないし、懲りない。妹の所に寄生して、でも、またぞろ同じようなことをして、で、また、悲惨なことになる。でも、彼女をバカだなぁ、と思いつつも、許してしまう。こういう女性なのだ。可愛いではないか、なんて。妹も姉の横暴を困ったなぁ、と思いつつ許している。彼女のことが好きなのだ。恋愛を描きながら、勝手でわがままな行為を描きながら、それでも、生きている。
もちろん、映画は彼女の話だけではなく、妹の問題にも触れていて、ふたりのお話はどちらも別の意味で痛い。シンプルなお話だが、単純ではない。いい映画だと思うけど、なんだか複雑な気分になった。